徹照像を得るためには、できるだけ撮影レンズの光軸近くから被写体を照明する必要があります。
一般的な写真では、ストロボを使って写真を撮るとよく発生するいわゆる赤目現象です。目に入った光が網膜上の血管や動物によってはタペタム(輝板)の反射で目が光って写る現象です。普通の写真では不気味に見えるため、嫌われている現象です。コンパクトカメラなどでは、ストロボの位置をレンズからできるだけ離したり、プレ発光して縮瞳させるなど、赤目現象が起きないように各社工夫をこらしています。
眼科検査の徹照像検査は、逆にいかにして効率よく赤目現象を引き起こすかがポイントとなります。網膜に届いた光を反射させ、その反帰光を利用して中間透光体(角膜、前房、水晶体、硝子体など)の濁りや色素沈着などの異常を見るものです。
レンズ光軸と同軸、もしくは、レンズ光軸の側近から照明光を照射すると徹照像が得られる確率が高くなります。しかし、市販のカメラアクセサリにそのようなものは存在しないので、作るしかありません。
実験用プロトタイプ
ストロボ光を単純にレンズ光軸近くに導入する方法として、単純にストロボ発光部に光ファイバーの端を取り付け、反対側をレンズ外周部に取り付けた簡単な実験装置を作ってみました。
写真の右側の光ファイバーがストロボ光の導入用で、左側の基盤とファイバーはLEDによるピント合わせ用の照明装置です。暗室での撮影なので、これがないと何も見えないのです。
結果、こんな単純なものでも徹照像が得られることが分かりました。
とにかく、何とかしてストロボ光をレンズ光軸近くに導きさえすれば、ストロボのTTL調光も使えて、安定した徹照像が撮れそうなことが分かりました。