徹照像撮影04

長年苦労を重ねて、何度も試作品を作って来た徹照像撮影用の照明装置ですが、それらをすべてボツにするくらい、2005年にニコンから衝撃的なストロボが発売になりました。 「ニコンクローズアップスピードライトコマンダーキット R1C1」 です。
マクロ撮影用に、レンズ先端に小型ストロボ(SB-R200)を取り付けられる仕様です。ストロボは、ホットシューに取り付けたワイヤレススピードライトコマンダー (SU-800 )から無線で制御されます。

そもそもレンズ先端に光源を置くような使い方なので、少しだけストロボ光をレンズ光軸近くに導入できれば徹照像照明装置はできてしまいそうです。

早速制作にとりかかりました。
とにかく、ストロボ光を集光し、ミラーで折り曲げてレンズ光軸近傍まで持ってきて開放するだけです。アクリルでそんなアダプターを作ってみました。

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実使用

これは大変うまく行きました。元々のR1C1の仕様が良く、露出制御がほぼ完璧なのでしょう。そのストロボ光をちょっと延長しただけなので、R1C1の良いところをそのままに、レンズ光軸側近から光を出すようにして、積極的に赤目現象を起こさせることに成功しました。これでかなり歩留まりは上がりました。

光量も十分で、かなり絞り込んだ徹照像画像が撮影できます。

準同軸照明装置は、徹照像の照明だけではなく、普通では照明光がけられて撮影困難な被写体にも大変効果があります。

一番良く使うのが、口腔内撮影です。エキゾチックアニマルは口も小さいものが多く、臼歯の撮影などは極めて困難です。しかし、準同軸照明装置を用いると、ウサギの臼歯くらいであれば問題なく撮影できるようになりました。

その他、鼻孔、外耳道、有袋類の袋の中など、予想外の被写体で活躍しています。10年以上使用していますが、未だに現役です。

ウサギ徹照像
フェネックギツネ徹照像
ヘビ徹照像
ウサギ臼歯
順同軸照明装置は、徹照像だけではなく、普段照明光が届きにくい部位の撮影にも適しています。特に口腔内や外耳道、鼻孔などの撮影で威力を発揮します。
ウサギ臼歯
レンズ光軸側近から照明しているため、近距離のマクロ撮影でもけられることなく照明できる。光軸の上下から照射しているので、ほぼ無影撮影になります。

ただし、完全な無影撮影になるため、立体感が消失します。出っ張っているのか、凹んでいるのかは、医療画像としては重要な情報なので、使う場面を選びます。改めて影の重要性を認識しました。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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徹照像撮影
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