長年苦労を重ねて、何度も試作品を作って来た徹照像撮影用の照明装置ですが、それらをすべてボツにするくらい、2005年にニコンから衝撃的なストロボが発売になりました。 「ニコンクローズアップスピードライトコマンダーキット R1C1」 です。
マクロ撮影用に、レンズ先端に小型ストロボ(SB-R200)を取り付けられる仕様です。ストロボは、ホットシューに取り付けたワイヤレススピードライトコマンダー (SU-800 )から無線で制御されます。
そもそもレンズ先端に光源を置くような使い方なので、少しだけストロボ光をレンズ光軸近くに導入できれば徹照像照明装置はできてしまいそうです。
早速制作にとりかかりました。
とにかく、ストロボ光を集光し、ミラーで折り曲げてレンズ光軸近傍まで持ってきて開放するだけです。アクリルでそんなアダプターを作ってみました。
実使用
これは大変うまく行きました。元々のR1C1の仕様が良く、露出制御がほぼ完璧なのでしょう。そのストロボ光をちょっと延長しただけなので、R1C1の良いところをそのままに、レンズ光軸側近から光を出すようにして、積極的に赤目現象を起こさせることに成功しました。これでかなり歩留まりは上がりました。
光量も十分で、かなり絞り込んだ徹照像画像が撮影できます。
準同軸照明装置は、徹照像の照明だけではなく、普通では照明光がけられて撮影困難な被写体にも大変効果があります。
一番良く使うのが、口腔内撮影です。エキゾチックアニマルは口も小さいものが多く、臼歯の撮影などは極めて困難です。しかし、準同軸照明装置を用いると、ウサギの臼歯くらいであれば問題なく撮影できるようになりました。
その他、鼻孔、外耳道、有袋類の袋の中など、予想外の被写体で活躍しています。10年以上使用していますが、未だに現役です。
ただし、完全な無影撮影になるため、立体感が消失します。出っ張っているのか、凹んでいるのかは、医療画像としては重要な情報なので、使う場面を選びます。改めて影の重要性を認識しました。