空調服

空調服

歳とともに猛暑日に何時間も野鳥を追いかけるのが辛くなってきました。空調服は昨年から気にはなっていましたが、本当に効果があるのかどうか半信半疑で、冒険するにはいささか高価なこともあり、ずっとためらっていました。
しかし、熱中症も心配な年頃になり、炎天下を数時間歩き続けると具合が悪くなります。特に体が小さい家内が30度超えの日の撮影ではかなりグロッキーになる様子を見て、このままだと危険であると察しました。安全第一、健康第一なので、勇気を出してまずは自分用として冒険してみました。どこを探しても野鳥撮影での空調服の評価記事がなかったので、夏のフィールドの暑さ対策として同じように検討されている方の参考になれば幸いです。

スポンサーリンク

空調服とは

簡単に言うと、ウィンドブレーカーのような薄手の上着に、バッテリーで駆動されるファンが取り付けられているものです。腰のあたりから常時外気を内側に送り込む仕組みで、体表を回る空気が汗を蒸散させ、袖口や首回りから排出されます。考想としては昔からあったのでしょうが、近年の飛躍的なバッテリー性能の向上から、バッテリーのサイズ・重量と駆動時間が現実的になったのでしょう。数年前から様々なメーカーで作られ、猛暑の炎天下の工事現場や暑い工場内の作業、フィールドワークなどで普及しはじめています。昨年くらいからさらに大容量のバッテリーなどが各社から出され、8時間以上連続使用可能になってきています。電池が切れたら単に暑苦しい上着なので、仕事着としては実労働時間は最低限バッテリーが持たないと使い物になりません。その点がクリアされて普及に拍車をかけたのでしょう。
ただし、まだ価格が高く、一式そろえると2万円前後になります。
絶大な効果があるのであれば、冬のコートを考えれば法外に高いとは思いませんが、ネットの口コミなどを見ても、涼しいと言う書き込みと、効果ないという評価の人もいて、どうも絶賛できるほどでもないようで、判断に迷うところです。少なくとも、今まで野鳥フィールドで空調服を着ているバーダーたちに出会ったことはありません。だまされたつもりで、試してみるしかありません。

仕組み

理屈としては、体と空調服の間に空気を流し、汗を蒸散させる気化熱で体温を下げるというものです。送り込む空気は外気そのもので、特にそれを冷却したりすることはありません。外気温が30度であれば30度の空気が導入され、外気温が35度なら35度の空気が導入されるだけです。しかし、空気が流れてさえいれば、汗は効率よく蒸散され、体は気化熱を奪われるという寸法です。したがって、水分を蒸散させやすいインナーを着た方が体温は下がるようです。気温が高くても汗をかいた体に扇風機の風をあてれば涼しく感じるのと同じ理屈です。
理屈ではわかりますが、はたして、外気温が高い時や、湿度が高い日はどうなのでしょう。猛暑日の炎天下のフィールドでも快適に過ごすことが可能なのでしょうか。
これは自分で体験してみるしかない、という結論に達しました。

たくさんありすぎて困る

いざ試験的に何か買ってみようと思って調べると、ヒットし過ぎて、迷ってしまいました。何かの宣伝でやっていたように、人間、選択肢が多すぎると選べなくなってしまうものです。混乱してしまったので、自分の中で絞り込むための指標を作りました。

  • 2020年モデル
  • 最強のバッテリー
  • 最強のファン
  • 地味な色柄

です。
せっかくはじめて空調服を買うので、見た目は気にせず、性能を最も重視してみました。 2020年モデルで、最強のものを評価しないと意味がないと思ったからです。服の色やデザインを気にする人が多いようですが、個人的にはファッションには興味がないので、とにかく性能優先で、服は最も目立たなそうな無地のものにします。

バッテリとファン

空調服のかなめはバッテリーなので、12Vの2020年モデルとその組み合わせで使えるファンのセットに絞り込みました。結果、最終的に選択したのは、サンエスの 2020年モデル RD9090J と、 フラットハイパワーファンRD9020H の組み合わせです。
決め手は、バッテリーにスマホなどの外部電源としても使えるUSB給電機能があることと、バッテリーにBluetoothが搭載され、スマホや専用コントローラで出力のコントロールができる点です。バッテリーは放置すると劣化してしまうので、オフシーズンはスマホやタブレットの充電用電源として使えます。これは便利です。
さらに、サンエスさんのバッテリーは国内生産と書かれていました。これもポイントが高いことです。大容量のリチウムイオン電池はいいかげんな作りだと発火や爆発などの事故が発生することがあるので、高出力をうたいながら安い電池は不安です。多少高くても、バッテリーだけは信頼できるメーカーの製品を選択することをおすすめします。良いバッテリーを買っておけば長く使えるので、総合的には安上がりになるでしょう。
バッテリーが決まると必然的にファンも決定するため、駆動装置のセットは一択となり、後は適当な服を選ぶだけになりました。


ちなみに、バッテリーとファンは必ず同じメーカーの同じ年度のモデルをセットにする必要があります。電圧や電流が違うため、異なるものを接続すると大変危険です。

空調服

さて、バッテリーとファンが決まりましたが、服も様々なタイプがあります。多くはファンの取付穴が90mmなので別メーカーの服に別メーカーのバッテリー・ファンセットを取り付けることは可能なようです。ただし、メーカー保証外なので、自己責任で選択してください。特にマキタの空調服は取付穴径が異なるので、注意が必要なようです。
合わなかったりしても面倒なので、最初はメーカーが推奨している組み合わせにしました。洗い替えを購入するときなどに、他メーカーの服との組み合わせにもチャレンジしてみます。

空調服には様々な形状があります。大きく分けて、袖のないベストタイプ、半袖、長袖の3種類あります。これは様々な口コミなどを参考にして、半袖タイプにしました。半袖が一番涼しく感じると言う人が多かったことと、個人的に長袖の袖が撮影の邪魔だと感じたからです。これで選択肢がまた減りました。

さらに、生地もポリエステル、綿、混紡糸(綿・ポリ)など、様々なものがあります。基本的には溶接やグラインダーの火の粉が飛んだりする工事現場や工場などでは綿が良いようですが、厚く、重くなります。また、フルハーネスと言って、工事現場などで安全金具を取り付けたりできるヘビーデューティーの仕様もあります。自分の目的は野鳥撮影のためにフィールドで着るだけなので、一番軽く、軟弱なポリエステル製で十分です。軽く、小さく折りたためることの方が自分にとっては重要です。

これでバッテリー・ファン、服の形状、材質が決まったので、後は好きな柄を選ぶだけで決定できます。目的が野鳥撮影なので、できるだけ地味な色で、模様もないものを選びました。

空調服選択方法のまとめ

目的や使用環境によりますが、野鳥撮影における空調服選択の個人的指標です。

バッテリーを決める

  • 後悔しないためにも、どうせなら最新最強のバッテリーがおすすめ
  • 高電圧のリチウムイオン電池は信頼できるメーカーのものを選ぶ
  • できれば国産
  • 個人的にはスマホの充電にも使えるのがグー

ファン

  • バッテリーが決まるとそのバッテリーで使えるファンは自動的に決まる
  • メーカーによっては若干の選択肢もある

空調服

  • 形状(ベスト、半袖、長袖)を決める
  • 材質(ポリエステル、綿、混紡)を決める。火の粉が飛ぶ環境では綿、そうでなければポリエステル
  • バッテリー・ファンと別メーカーの空調服を組み合わせる場合は自己責任で
  • あとは好みの色柄を選択。野鳥観察や野鳥撮影が目的であれば、鳥たちを脅かさないという理由で、迷彩柄や地味な色の無地のものがお勧めです。

上記がすべて揃ったセット品を販売しているお店が多いと思います。条件にあったセットがあればそれを選択するのが一番確実でしょう。



背中対策

野鳥撮影は、500mmの超望遠レンズを一眼レフに装着したセットを使うので、いつも巨大なリュックを背負っています。フィールドでカメラセットを出してもリュックはそのまま背負ったまま撮影に挑みます。そのため、空調服の性能がどんなに良くても、背中に空気が通らないことは最初から予測されていました。

購入したサイトを見ていたら、リュックを背負った時に背中に空気が通るスペースを開けるグッズが売られていました。空調服SPINR/インナースペーサーと呼ばれるものです。迷わずこれも一緒に注文しました。これでリュックを担いでいても背中に空気が通り、快適になるはずです。

実験

商品が到着してもまだ半信半疑でした。炎天下のフィールドでの涼しさを期待する一方、こんなもので涼しいわけがない、という思いが半々でした。
あいにく梅雨時で連日雨だったので、たっぷりと充電して、部屋で実験してみました。

一番目立たない地味な色調のものを選んだので、見た目は大変シンプルです。普通に着ると、半袖の薄いウィンドブレーカーを着たような感じで、特に違和感はありません。全部で500g程度ですから、特に重さを感じることもありません。

さすがに後ろから見ると腰の上に変なものが付いているので違和感ありありです。何だかロボット見たいですよね。服の色に合わせてファンもグレーなら目立たないのに、フレームは黒で、ファンのプロペラはよりによって赤です。メーカーは空調服であることを強調したいのかもしれませんが、できるだけ目立ちたくない自分にとってはちょっとマイナスポイントです。

ファン
個人的にはもう少し目立たない方が良いのだが、メーカーとしては技術力を誇示したかったのかもしれません。確かに赤いファンを見ると、5枚羽根で適度なスキュー角が設けられ、高効率と騒音対策を施した設計であることがうかがえます。

作動

冷房が効いた部屋で試したらめちゃくちゃ涼しくなりますが、これは正しい評価ではありません。冷房が効いたお店などで試した場合も、環境温度が30度以上の現場とは全く異なりますので、間違った評価をしないようにご注意ください。

購入したサンエスさんの2020年モデルのバッテリーは、6V、9V、12Vの切り替えがあります。最強の12Vはやはり音が驚くほどうるさく、人前で使うのははばかられます。しかし、風量は最強で、冷房が効いた部屋ではすぐに寒くなるくらいです。工事現場や周りが相当うるさい場所であれば問題ないでしょうが、静かな場所ではかなり迷惑レベルなので、場所を選んでの使用になるでしょう。
9Vでも音は結構うるさく、公園や静かなフィールドでは問題になるかもしれません。何より、着ている本人が気になってしまうレベルです。
6Vに落とすと比較的静かになり、常用する場合はこのレベルでしょう。
おそらく、普段は6Vで使用し、着はじめや特に暑い時で周りに人がいないときに9Vにする程度で、12Vは滅多に使うことはないかな、と思いました。

作動中:正面図

作動させると、やはり空調服は膨らみます。太って見えますので、体裁を気にする方は注意が必要です。私は全く気にしません。
様々なサイトで、普段の洋服のサイズよりも大きめのサイズを買うと良いと書かれていますが、むやみに大きいサイズだと大きく膨らむだけで、冷却効率は悪くなるでしょう。私は身長183㎝、80kgオーバーの体格ですが、普段からXLとか3Lなどの表記のものを着ています。今回の空調服も3Lのものを購入しましたが、丁度よかったと思います。あまり大きすぎると隙間が空いてしまい、空気が設計通り流れなくなってしまいます。できればお店で着てみることをお勧めしますが、ネットで買う場合はご注意ください。

作動中:背面図

腰(裾)部分はゴムでしまるようになっており、下から空気が逃げないようになっています。ここが重要だと思いました。あまりブカブカで、ここに隙間があるとせっかく取り込まれた空気は体を巡る前に下から抜けてしまいます。
ファンを作動させると、空調服内に積極的に空気が送り込まれ、体表を回った空気は袖と首まわりから放出されます。チャックの閉め具合によって、首まわりからの放出を多くしたり、袖からの放出を多くしたり調整できます。

作動中:側面図

なかなかよく考えられています。おそらくここ数年でバッテリーをはじめ、各パーツも改良が進み、2020年モデルは最終形に近い完成度になっていると思われます。ファンの空調服への着脱も容易でした。

あとは実際の炎天下での評価です。

コントローラー

大変コンパクトなコントローラーです。

サンエスさんの2020年モデルの売りの一つに、バッテリーにBluetoothを搭載したことがあげられます。これはまだ他社にはない機能で、これによってスマホやタブレットなどから風量のコントロールが出来るとうたわれています。いざアプリをインストールしようと思ったのですが、自分のスマホが古く、対応していませんでした。残念。

バッテリーのボタンでコントロールすれば良いのですが、服の内側のポケットに入れているので、アクセスが不便です。探してみると、専用のコントローラーがあるので、追加で購入しました。風量はこまめに調整するのでスマホよりもこちらの専用コントローラーの方が便利です。

実際のフィールドでの使用

片手で握れるくらいコンパクトになります

さて、いよいよ晴天の休みが訪れました。晴れ、最高気温32.5度、湿度70%、降水量0mm、風速1m、まさに熱射病日和です。梅雨の合間なので湿度が高く、空調服のテストには最適です。いざ出陣。

いつも撮影に行く公園は電車とバスを乗り継ぐのですが、さすがに公共の交通機関で着用するのははばかられるので、現場まではカメラと一緒にリュックに入れて運びました。軽量のナイロン素材の空調服は大変コンパクトに折りたため、ほぼバッテリーとファンの大きさになるので、レンズとリュックの隙間に簡単に押し込めます。バッテリーはずっしりと重いのですが、ファンと服は大勢に影響がない重さです。カメラとレンズ、その他装備品で6~7kgのリュックを担いでいますから、そこに500gくらい増えても特に問題ありません。

いよいよフィールドに着き、空調服を着ました。着るときは一瞬でも暑そうで抵抗があります。背中対策の インナースペーサー を着てから空調服を着ます。そしてスイッチオン。

炎天下で長袖だとかなり目立ちますが、半袖だと意外と気づかないかもしれません。

おおお!なるほど。エアコンのように空気を冷やしているわけではないので、劇的に涼しいわけではありませんが、外気温が30度以上でも扇風機の前に立っているのと同様、快適です。「涼しい」という表現よりも、「気持ちいい」という表現が合っているように思います。「超涼しい」などと書いてあるサイトを目にしますが、これは誤解を与える表現だと思います。今日のように32.5度、湿度70%でほぼ無風な日だと、何もしないで炎天下を歩くと汗だくになって全身が大変気持ち悪い状態になります。暑さよりもその不快感で参ってしまう人も多いでしょう。しかし、空調服を作動させると、積極的に体表に空気を流通させてくれるので、汗だくにならないのです。汗はかいているけどシャツが汗でぐっしょりになるとか、動きにくくなる、ということはありませんでした。その分、気化熱が奪われているので、体温も下がっていたはずです。涼しいという感覚とはちょっと違い、暑いけど汗だくにならないので、快適でした。

インナースペーサーの効果もあるようで、いつもは背中がびっしょりになりますが、この日はまったく濡れませんでした。効率よく空気が背中にも流れていたのでしょう。リュックを背負う人にはお勧めです。

ファンの位置も絶妙で、リュックや腕と干渉しない位置です。

耐久性はもっと月日がたたないと正しい評価はできません。とりあえず今回は7時間ほど連続で使用しましたが、バッテリーは安定してファンを駆動でき、まったく問題ありませんでした。日本製は見えないところで安心感があります。1年後くらいに再評価します。

ワイアレスコントローラは秀逸です。バッテリーは内ポケットに収納するので、風量をコントロールするときにバッテリーにアクセスするため、空調服のチャックを開けないといけません。ワイアレスコントローラがあれば、Bluetooth接続で簡単にコントロールできます。スマホでもできますが、撮影中はスマホが邪魔なので、専用のコントローラの方が遥かに便利です。

やはりマックスの12Vは屋外で使ってもかなり音が気になるので、よほどのことがない限り使わないと思いました。普段は6Vで十分快適です。6Vだと音は相当静かになり、公園などではほとんど気になることはないでしょう。すれ違う人も気づかないレベルです。
もう少しパワーが欲しいときは9Vにします。多少うるさくなりますが、使えないことはないでしょう。その場所の騒音レベルによります。近くに道路があるような場所では全く問題ないと思いますが、静かな山奥などではうるさく感じると思います。
今回は6V、9Vを切り替えながら使用しました。

デメリット

価格

ほとんどがバッテリーの価格ですが、一式2万円前後はまだ高いという感覚はあります。一式で1万円以下になればもっと普及しそうですが、2万円となると「試しに買ってみよう」と思う人は少ないでしょう。もっと普及すれば加速度的に低価格になるのかもしれませんが、まだ出たばかりなのでしばらくは難しいでしょう。
バッテリー性能自体は年々より安く、より軽く、より大容量になってきているので、期待はしています。
コントローラも送料込みで5千円近くしました。シンプルですごく良いものですが、ボタンが2つ付いているだけのワイアレスコントローラとしてはちょっと高額な気がします。2千円くらいだと良いですね。もっと言わせていただくと、バッテリーに付属品としてついていれば最高です。すごく良いものですからセットで欲しいアイテムです。

弱くしても、ずっとフィーンとファンの音がしています。 仕方ないことですが、静かな環境で気になりだすと気になります。 それによって野鳥が逃げたりするほどではありませんが、静かな公園や山の中などでは気になる人もいるかもしれません。
しかし、私の野鳥撮影の現場は都市部の公園で近くに交通量が多い道路もあり、単独もしくは家内と二人での行動なので、特に問題にはなりません。
動画を撮影する場合は音を拾ってしまう可能性があります。動画目的の人は事前にテストすることをおすすめします。

人目

長袖よりもましでしょうが、炎天下で空調服を着ていると結構目立ちます。作動させると膨らむので、一見、炎天下にダウンジャケットを着ているように見えます。「このクソ暑いのに何ダウンなんか着ているんだ」という奇異の目で見られます。なのに当人は涼しい顔をしているので、そのギャップに頭が混乱するのでしょう。



総評

真夏の野鳥撮影目的で炎天下のフィールドで着用する人にはおすすめできます。
もっと早くから使っていればよかったとも思いましたが、2020年モデルからバッテリーも一新されてより強力になったので、今年導入に踏み切ったのはベストなタイミングだったと思っています。
実際使うのは、梅雨明けから9月くらいまでの2ヵ月前後でしょう。空調服という名前なので、暖房機能があっても良いのですが、現在その機能はありません。あくまでも扇風機付の服です。

誤解を与えるといけないのでできるだけ正確に伝えたいと思いますが、「冷える」とか「涼しい」という表現よりも、個人的には「気持ちいい」とか「快適」という表現が合っていると思います。35度近い炎天下で使用して、個人的には「わー涼しい!」とは思いません。吸入する空気の温度を下げるわけではないので、冷房などのような冷気による空調ではありません。服の下に空気の対流層を作って、汗を効率よく蒸散させて温度を下げるものです。立っているだけで汗だくになるような状況で、空調服を着ると汗が常に乾いて、快適に過ごせるという表現が合っていると思います。
サイトによっては「超涼しい」などと表現しているところもありますが、これは誤解を招く恐れがあります。冷房が効いた店舗内などで試着して間違った評価をしている可能性が高いと思います。再度伝えておきますが、空調服は吸入する空気の温度を下げたりはしません。外気温が35度であれば、35度の空気を体に吹き付けるだけです。
「空調」という言葉や、「冷える」、「涼しい」というレポートから、過度に温度が下がる効果に期待しない方がよいと思いますが、 個人的には、汗だくで不快な感覚がなくなり、爽快感を得られるという効果を評価します。 何というか、暑くて汗をかくのに、空調服の中のTシャツは乾いている状態です。ですから、喉は乾きます。大量に汗はかいているのでしょう。能動的な空気の循環によって汗を蒸発させ、湿った空気を外に排出してくれます。その時に気化熱を奪うので、体温も下げてくれているのでしょう。しかし、それは冷房の下で涼むのとは異なり、体感的に「涼しい」という感覚とはちょっと異なります。あくまでも外気温の空気をそのまま循環させる扇風機と思ってください。そのイメージが一番近いと思います。涼しくはないかもしれませんが、快適です。

現在、沢山のメーカーから沢山の種類が販売されていますが、きちんと調べてから買えばそれほど失敗することはないでしょう。ただ、バッテリーとファンのセットだけは良いものが組み込まれたセットを選択することをお勧めします。前年のモデルを安く売っていることもありますが、バッテリー性能は1年で大きく進化することがあるので、よく比較して、向上しているようであれば、新型を購入することをおすすめします。特に2020年は数社から12Vのバッテリーも登場し、去年と大きく仕様が変わっています。

動画を撮影する人は音に注意してください。静かな森林などで野鳥の動画や声を録音するときはファンを止める必要が生じるでしょう。長時間録画する場合は単に暑い服になってしまうかもしれません。

ワイヤレスコントローラーは必須ではありませんが、バッテリーのボタンを直接アクセスしたり、スマホを取り出してコントロールするよりも遥かに便利です。ポケットに忍ばせておけばいつでもすぐにコントロールできるようになります。Bluetoothのワイアレスリモコンが使えるのは、今のところサンエスさんの2020年モデルだけなのでこの機能だけでもサンエスのバッテリーRD9090JとコントローラRD9072の組み合わせはイチオシです。予算が許せば、初めからコントローラも同時に購入することをおすすめします。

真夏の探鳥や野鳥観察、野鳥の静止画撮影には有用でしょう。特に炎天下や無風状態のフィールドに長時間滞在する必要がある場合は効果的だと思います。熱中症のリスクを軽減できますし、何より、空調服の存在のお蔭で、真夏の炎天下でも「出かけよう」という気持ちにさせてくれます。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

Yamaをフォローする
野鳥撮影その他
スポンサーリンク
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました