キャノピ2号:ホンダジャイロキャノピー

以前、長年愛用しているキャノピの記事を書きました。

それが2023年秋にとうとうエンジンが修復不能なまでに壊れてしまいました。異音がしていたのですが、そのまま乗り続けた結果、クランクの軸受けがお釈迦になってしまいました。いつもみていただいているバイク屋さんに持って行ったら「さすがにこれは直せません。エンジン交換レベルなので、程度の良い新しい中古を買った方が安いよ」と言われてしまいました。

そもそも2006年に中古で5万円で買って、17年間使い倒したので十分元は取れています。製造番号から検索したら、1997年製なので、もう26歳です。この手の業務用バイクはスゴイですね。メーターは何週回ったのか分かりませんが、数十万kmの単位でしょう。ご苦労様です。
今はなき2ストです。パワーはありますが、環境にも良くないので、残念ですが引退していただき、買い替えるしかありません。

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新しいキャノピ:Honda Gyro Canopy:TA-03

なじみのバイク屋さんに良い出物を探してもらいました。新車は60万もするので、もちろん中古です。キャノピーはハードユーザーが多く、素人が手を出すと痛い目を見ます。特に4ストのキャノピーはきちんとオイル交換をしていた個体でないと、見た目はキレイでもエンジンはスカスカになっているものも多いようです。ここはプロの確かな目で見てもらって紹介してもらいました。

こだわらないので色は何色でも良い、と言ったら赤の中古が見つかりました。製造番号から2011年製の4ストジャイロキャノピーです。バイク屋さんを信用してこれを購入しました。わが家のキャノピ2号です。

それにしても、高々50㏄(ヤクルトの容器より小さい)の単気筒レシプロエンジンで、よく吸気・圧縮・爆発・排気の4行程で回せるものだと感心しています。イメージ的に4サイクルは2気筒以上ないと、勢いで圧縮工程をスムーズに行うのは厳しいのではないかと思ってしまいますが、さすがは世界のホンダです。50㏄単気筒4サイクルの難題を見事にクリアしています。大変スムーズに回ります。

壊れた旧キャノピ1号はバイク屋さんの倉庫に置いておいてもらったので、ストッカーなどの備品はすべて移植しました。製造年度が14年ほど違いますが、さすが業務用、荷台のネジの位置や規格に変更がなく、そのままぴったり据え付けられました。

総評

一度キャノピーに乗ってしまうと、あまりに便利で他の原付は考えられなくなります。やはり雨の日にも乗れるメリットは大きく、「今日は雨だからバイクで行こう」と思えるバイクはなかなかありません。本当に傘代わりに使えるのです。寒い日も風防のお陰で多少はよいのでしょう。1年中活用できます。唯一の弱点は風です。風が強い日だけは控えています。

また、積載量が多いのも他のバイクにはない優れた点です。元々業務用に作られたバイクですから、後にはデッキが付いています。原付でこれほど荷物を積めるバイクも少ないでしょう。
そんなわけで、1代目が壊れても、2代目はやっぱりキャノピーです。

エンジンの大きな違いは、2ストから4ストへの変更です。2ストキャノピーはパワフルで人気があるようですが、燃費が悪く、燃料とともにエンジンオイルも燃焼させるため、オイルを常に補充する必要があります。また、エンジンオイルが燃えて白煙を吐き、構造上の燃焼むらによるCOやNOxなどの排出量も多く、環境に悪い仕様です。そのため、ホンダも2008年から全面的に4ストに変更しています。パワーは若干落ちたものの、燃費はすこぶる良くなったようです。もちろん、排ガス規制もクリアしています。

乗った感じは、大変スムーズで、恐れていたパワー不足は感じません。1号がもう壊れかけだったからかもしれませんが、むしろ2号の方がパワフルに感じます。それでいて、音も静かです。これは気に入りました。

唯一、時々レスポンスの悪さを感じます。特に発進時にアクセルをあけても一瞬反応しないタイムラグを感じることがあります。単気筒4サイクルなので、燃焼室がどの工程にあるかによってレスポンスが異なるのでしょう。おそらく、コンマ何秒かの遅れだと思いますが、一瞬「ん?」と感じることがあります。

ただし、遅れを感じるのは発進時だけで、エンジン回転数が上がると全く感じなくなります。

グリップ交換

付いて来たグリップは細い上ゴムが摩耗してツルツルの状態だったので、交換しました。自分は手が大きいため、太目のグリップでないと握りにくいのです。樽型のグリップを見つけて交換しました。これがドンピシャで、大変握りやすくなりました。グリップだけでもこんなに操作のイメージが変わるとは思いませんでした。細いグリップが握りにくいと感じられている方にはおすすめです。シンプルだけどこれが自分にはベストでした。
グリップの中央が太くなっているため、アクセル側を回転するトルクが稼げて操作が軽くなります。

バイクのグリップは直径や長さなどで合ったり合わなかったりしますので、選ぶときには注意が必要です。合わないと事故にもつながるので慎重に選んでください。今回装着したものは入念に測定したので、キャノピーには径も長さもピッタリでした。

追記

上記エンジンのレスポンスについて考察してみました。
キャノピ2号は4ストなので、1回の燃焼サイクルでクランク軸は2回転します。2ストでは1回の燃焼サイクルでクランク軸は1回転です。
今、アイドリング回転数を960rpmと仮定すると(1000rpm前後と思いますが、計算の都合上端数が出ないように960rpmとしているだけです)、1秒間に16回まわっていることになります。4ストの場合は1回の燃焼サイクルで2回転ですから、アイドリング時は1秒間に8回の燃焼サイクルということになります。1/8秒で吸気・圧縮・爆発・排気を行っている計算になります。
単気筒なので、アイドリングからグイっとアクセルを開いても、最大で1/8秒レスポンスが遅れることがあるという計算になります。アクセルを開くタイミングが燃焼室の排気工程だった場合と吸気直後かによってこの1/8秒以内で変動があるはずです。
1秒は結構長く、1/10秒の違いでも人は結構分かるものです。4スト単気筒の発進時のレスポンスにむらがあると感じるのはこんな理由なのでしょう。
回転数が2倍の約2000rpmになればレスポンス時間は半分の1/16秒以下、4倍の4000rpmになれば1/32秒以下と、どんどん短くなるので遅れは感じなくなります。ちなみに4ストキャノピーのエンジン最高回転数は7500rpmです。ずいぶん回りますね。

2ストだと1秒に16回転は燃焼サイクルも16回なので、アイドリングからの発信でもレスポンスの遅れは最大でも1/16秒になります。遅延は4ストの半分になります。

人の感覚って思ったより鋭いことが分かりました。F1ドライバーなんか1/100秒くらいのレスポンスでも気になるのでしょうね。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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