バードウォッチング初心者にまず読んでもらいたい本:見つけて楽しむ身近な野鳥の観察ガイド

「野鳥に興味を持ちはじめたけど、どうしたら良いか分からない」という人が結構いらっしゃるようです。いきなり論文を読み漁る人はいないと思いますが、多くの人は図鑑を買ったり、雑誌を見たり、野鳥観察会に参加したりするのだと思います。
しかし、最初に出会う本や出会う人が、初心者にとっては重要で、せっかく芽生えた野鳥への興味が萎えてしまったら台無しです。多くの図鑑や本、雑誌は初心者向けではなく、はじめて野鳥を観察する人はハードルが高いと感じてしまうかもしれません。

まずは肩肘を張らず、身近な野鳥の観察からはじめることをおすすめします。日本には数百種類もの野鳥がいますが、都市部に住んでいても50種類以上もの鳥種に出会えます。なにも山奥に入る必要はないのです。電車やバスで行ける近くの公園で十分バードウォッチングや野鳥撮影は楽しめます。

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初心者歓迎

何をはじめるにしても、誰だって最初は初心者です。野鳥観察は大変人気が高いジャンルで、大学教授や鳥類学者、研究所の研究員から、調査員、保護活動をされている方々、とにかく珍しい野鳥の写真を集めている人、双眼鏡で観察する人、庭先で野鳥を愛でる人々など、多くの方々が幅広い目的で、様々な方法で、野鳥の観察をしています。野鳥を傷つけたり、脅かしたりしない限り、それぞれの楽しみ方があっても良いのです。
野鳥の本は数多く出版されていますし、現在ではインターネットで検索すればいくらでも情報が出てきます。たくさんの本を出している人も、野鳥の素晴らしい写真集を出している人も、下手な図鑑を遥かに超えたブログを書いている人も、最初は野鳥初心者だったはずです。
かく言う私も十年前までは完全に初心者でした。スズメとカラス、ハトくらいしか知らない状態です。

しかし、初心者で、野鳥のことをあまり知らない状態は、実は最高の状態なのです。特に好奇心や向上心がある人間にとって、野鳥の世界は奥深く、知る喜び、発見するワクワク感の宝庫だからです。

このページを読んでいるあなたが、野鳥に興味を持ちはじめた初心者でしたら、「おめでとうございます。素晴らしい野鳥ワールドへようこそ」と申し上げたいと思います。

野鳥と向き合うスタイル

前述のように、野鳥との付き合い方は人それぞれです。研究対象として論文を書く学者さんもいれば、庭先に来るスズメを見て楽しむ人もいます。

バードウォッチングと言っても様々なアプローチや楽しみ方があるのです。そのため、野鳥に興味を持って、自分が何をしたいのかも徐々に考えておくことをおすすめします。それによって装備や使用する機材なども変わってきます。

大きく分けて、「観察系」と「撮影系」に分かれると思います。
観察系の人は、双眼鏡やフィールドスコープといった機材と筆記具などを持ち、野鳥を観察したり、記録をつけたりします。発見したり、行動を観察したりするのが主な目的です。
撮影系の人は、野鳥の撮影が目的ですから、カメラと超望遠レンズが必要です。
観察系は費用もかからず、軽装備で気軽にはじめられる反面、映像としての記録が残らない点が寂しいところです。一方、撮影系は映像の記録が残りますが、撮影に夢中になり、野鳥の行動観察などが疎かになりがちです。

最初は観察系からはじめて、写真にも興味が出てきたら撮影系に移行するという人もいますし、撮影系だった人が、重い機材を持ち歩くのが嫌になって観察系に移行する人もいるようですが、むしろ初心者の皆様は、最初からどちらかに決まっているように思います。

要は、「写真を撮りたいか」どうかで判断して良いと思います。野鳥には興味があるけど、写真にはさほど興味がない場合はあなたは観察系の人間なので、双眼鏡やフィールドスコープを買いましょう。
鳥の生態よりも、とにかく美しい野鳥の写真が撮りたいという場合は、あなたは撮影系の人間なので、ちょっと値が張りますが、カメラと超望遠レンズを揃えましょう。

今まで野鳥に興味を持ちはじめた人を沢山見てきましたが、概ねこの2択に絞られるように思います。

野鳥の正しいはまりかた

野鳥に興味を持った人は、最初に教えてもらう人が重要です。野鳥への興味が衰退するか、何十倍にも増幅するかは指導者の影響がかなり大きいと思います。
初心者は、まず一度はベテランの良い指導者とフィールドに出ることをおすすめします。野鳥へのアプローチ、野鳥の見つけ方、観察の仕方、撮影の仕方、フィールドでのマナーなど、得られることは多いと思います。

多くのベテランの方々は、双眼鏡やカメラで野鳥を見つけるのではなく、発見する時は裸眼です。さらに、裸眼で発見する以前に重要なのが、音や声であることに気づかされます。
そういったことは机上でいくら本を読んでも分からないことで、フィールドで体感するうちに身についてくるものです。
「あの辺に何かいそう」という感覚が大事で、その情報を得るために五感を研ぎ澄ます必要があります。
ベテランの野鳥の探索方法を分析すると、
・耳でおよその位置を知り
・ 肉眼で位置を特定
・ 双眼鏡やカメラで確認
といった一連の動作になっています。いきなり双眼鏡で野鳥を探索するということはしません。基本は、自分の耳と目が頼りです。

ベテランの人とフィールドを歩くと、くやしいことに、自分にはまったく見えない野鳥をポンポンと、いとも簡単に見つけます。これはやはり経験値の差なのです。私たちも、はじめたころは野鳥を見つけるのが一苦労でしたが、数年経つと鳥がどんどん見えるようになり、世の中の野鳥が急速に増えていると錯覚するくらいです。

初心者にイチオシの本

自分の場合は、野鳥の専門家の影響で野鳥に興味を持ったので、最初から師匠がいました。それは大変恵まれた環境で、フィールドでの野鳥の見つけ方などを最初からみっちり伝授していただきました。

しかし、多くの方はそのような環境ではなく、何からはじめてよいのか分からず、困っていることと思います。そんな方々におすすめしたいのが、緑書房から出版された「見つけて楽しむ 身近な野鳥の観察ガイド」です。

一般的な図鑑とは異なり、前半は鳥の行動や実際のフィールドでの見え方や見つけ方、体の構造や不思議などに重点が置かれています。
後半は身近な鳥の図鑑になっていますが、鳥種は都市部でもよく見られる70種ほどに限定しています。 図鑑部分もいわゆる図鑑的な枝にとまった写真だけではなく、実践的にフィールドで見られる、何かをついばんでいる姿や群れで何かをしているシーン、飛翔シーンなどの写真を積極的に取り入れています。フィールドに出ると分かりますが、野鳥が枝にとまった美しいポーズを見せることは滅多にありません。多くはもっと泥臭い生活の匂いがするシーンのはずです。写真選びもそんなところにこだわりを見せています。

見つけて楽しむ 身近な野鳥の観察ガイド

野鳥に興味を持ちはじめたら、最初に読む本としてイチオシです。

見つけて楽しむ身近な野鳥の観察ガイド 見つけて楽しむ身近な野鳥の観察ガイド

これから野鳥観察や野鳥撮影をはじめたい方々におすすめできる一冊です。
人里離れた深山に入らないと見られないような珍しい野鳥ではなく、都市部の公園でも普通に見られる約70種類の野鳥を扱っています。実際、掲載している写真のほとんどは、東京都、神奈川県の都市公園で撮影された写真です。
野鳥を見たり撮影したりするために肩肘を張る必要はありません。気軽に近所の公園に行くだけでかなりの種類が見られるはずです。見つけ方さえわかれば、「世の中にはこんなに鳥がいたんだ」と思えるようになります。
著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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