こだわりの鉛筆削り

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世界一の鉛筆削り DUX 4240-R

タイトルはいささかオーバーかもしれませんが、およそ50年前(1965年頃)、ドイツのお土産として叔父からもらった鉛筆削りです。以来、50年以上ずっと愛用しています。
1908年、Theodore Paul Möbiusによって設立されたDUX社が1960年頃に製造していた4240-Rです。

錫(スズ)の削り出しで作られた製品は、いかにもドイツ製らしいがっしりした作りで、刃さえ替えればおそらく半永久的に使えると思われます。
周りのリングと中央の刃を保持する部品は別で、右側のネジで固定されています。

このタイプはすでに製造中止になっているようですが、DUXの鉛筆削りは今でも人気が高く、刃は共通で使えます。
鉛筆を削るときはトルクがかかるため、できるだけ回転中心軸から離れたところを押さえたいわけですが、この円形のデザインは中央の両側を保持すると半径の長さが得られ、鉛筆を回しても安定します。

裏側には芯の先端が見える窓があり、削り具合を確認しながら削ることができます。シンプルですが極めて実用的な構造です。
刃を保持する中央のパーツは、錫の鋳造、もしくは削り出しのようです。側面のアール部分には切削痕が残るので、ブロックからの削り出しか、鋳造後の仕上げとして切削しているのでしょう。
実に美しい仕上がりです。

DUX 4240-R。誇らしげに MADE IN GERMANY と入っていますが、まさに機能美を追求しつつ、実質剛健なドイツらしいというか、ドイツでしか作れない仕様で作られています。

刃がよく切れるので、気持ちよく削れます。このリングの上下を軽くおさえるだけで鉛筆を回す回転トルクを抑えられます。
窓から鉛筆の先端が確認でき、削れ具合が一目でわかります。あまり尖らせたくない場合はここで具合を見て調整できます。
これは10Bの筆鉛筆なので、あまり尖らせずにこのくらいでやめます。

製造が中止されてしまったのは何とも残念です。
替刃もいくつか持っていましたが、消費してしまったため、切れなくなると刃を研いで使っていました。しかし、研ぎすぎると短くなってしまうため、装着しても削れなくなってしまいました。
しばらくあきらめていましたが、最近国内でもDUXの替刃が手に入るようになり、取り寄せたところ問題なく使えました。形状、ネジ位置など、50年前の仕様をそのまま継承しているところがメーカーとして素晴らしいところです。刃が手に入る限り、何世代にも渡って使い続けられそうな逸品です。
鉛筆の方が先に世の中から消えなければ良いのですが。

追記(2020年)

DUXから 4240-R に類似した製品が出されているようです。DX6241という製品ですが、よく見ると、DX4112の角を削ってリングにはめただけのようです。力学的に直径の長さでトルクを抑える構造は活きますし、ブレードは共通なのでよく削れるとは思います。しかし、中央部分の本体の仕上げを見ると、いかにも4112丸出しだし、リングとの隙間の処理などが雑で、イマイチ所有欲が湧きません。
4240-R が手に入らない今、DUXの機能美を体験するにはこれしか選択肢がなさそうです。これだったらM+Rの0602の方が理系男子の心をくすぐるかもしれません。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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