YILハイパーブックレット(Hyper Booklet)

スポンサーリンク

誕生秘話

過去にイグアナの飼育本を出版したことがありますが、読者からの問い合わせで多かったのが、「本読んだのですが、イグアナって何食べるんですか」といったような内容でした。これはショックでした。私に文才がないからかもしれませんが、飼育法の基本として餌は重要なポイントですから、丁寧に書いたつもりです。それがまったく伝わらなかったようです。

しかし、話を聞くと、こういった方々は本文はあまり読んでなく、写真とそのキャプションだけを見ているようでした。世の中には活字マニアという人種がいて、本の隅から隅まで、一語一句読む人もいる一方、パラパラッとめくって、写真や図だけを見て読んだ気になる人も多いということを知りました。写真や絵がないページは読んでくれません。しかも、スマホの影響からか、年々その傾向が強くなってきているように感じます。

最近は新聞を読む人も少なくなり、スマホやタブレットで写真や動画とともにニュースを見るようになってきています。特に若い世代の情報収集は、写真主体の記事によるものが多くなっているようです。漫画文化で育ち、小学生からスマホで育つ現代の人たちはそれが普通なのでしょう。それは否定しません。むしろ、時代とともにわれわれ情報提供者も改革が必要となってきているのだと悟りました。

写真+キャプション構成

それでしたら、いっそのこと、写真とキャプションだけで構成した本を作れないかということで作ったのがYILハイパーブックレットの企画です。

小単位のモノグラフ形式で、20ページ前後の小冊子です。内容は写真を主体として、写真中やその周辺にキャプションを配した構成になっています。こういった構成にすれば、小学生から大人まで正しく情報を伝達できるはずです。作り方よっては学術的な内容も扱えます。

このような経緯でYILハイパーブックレットは誕生しました。

なぜ紙媒体なのか

紙の本は作るのが大変ですし、費用も高くなります。今の時代、マニアックな情報を提供するのであれば、ネットやPDFなどの方が圧倒的に費用も安く、修正も簡単にできるので、優れた媒体であることは否めません。現にYILでは1980年代のインターネット黎明期からウェブサイトでイグアナの飼育情報を提供していますし、長年、CDに焼いたPDFの情報の販売なども手掛けてきました。少数の需要に対応するには大変優れた媒体です。

それなのに、なぜイマドキ紙媒体に戻るのか。

それは人間だからです。

単に旧人類だからなのかもしれませんが、個人的には、写真を見たり、文章を読んだりするのは紙媒体の方が落ち着きます。これはどうしようもないことです。何かを勉強しようと思った時、スマホで見るよりも、きちんと紙媒体で見たり読んだりした方が素直に頭に入ってくる気がします。20年以上電子媒体で情報提供してきたので、自分からは申し上げにくいのですが、「やっぱり紙だな」と最近は思っています。紙への回帰です。

電子出版が脚光を浴びはじめたころ、ペーパーレス化がうたわれ、世の中の書店がすべてなくなるのではないかと危惧されたことがあります。確かに書店は減りましたが、本はなくなることはありません。どんなにペーパーレスを呼び掛けても、結局その資料はプリンタで打ち出したりして使うので、紙の使用量はかえって増えています。紙は、パピルスが発明されてから数千年、人類に染みついている媒体なのです。今後もどんなに便利なメディアが産まれようとも、紙がなくなることはないと信じています。

なぜハイパーなのか

巻末のQRコード。スマホで読むと追加情報のページにジャンプできる。音声や動画など、紙媒体では不可能な情報もお届けできます。

10年以上、ある大学で授業を受け持っていますが、学生の動向も変化しています。10年前はスマホなどというものはまだそれほど普及しておらず、学生たちは校内の掲示板などをみて情報を収集していました。しかし、今は100%の学生がスマホを持っていて、大学からの連絡などもスマホ経由で行われます。昔は大学に来て掲示板をみてはじめて「休講」を知ることができましたが、今は家にいながら「休講」の連絡を得られるのです。私が行っている大学ではついに掲示板が撤去されました。

したがって、学生たちもスマホを持っていないと生きて行けない時代となり、授業でも研究室でも、座るとまずスマホを机の上に置きます。レポートもスマホ、論文もスマホ、本を読みながらもスマホを持っています。

これからの世代は何をするにも常にスマホを片手に持っているのです。食事中もスマホ、トイレでもスマホ、電車でもスマホ、授業や仕事でも片手にはスマホが常にあるのです。われわれ旧人類からすると、いささか疑問に思いますが、否定するのではなく、これを活かそうと思いました。本を読みながらでも片手にスマホを持っているならば、QRコードなどを使って内容を追記したり訂正することも可能ですし、紙媒体では表現できない音声や動画の情報を提供することもできます。

紙媒体と電子媒体の融合。それを目指したのがYILハイパーブックレットです。

YILハイパーブックレット

一般的な出版社は、最低でも数千部という単位で本を作ります。逆に言うと数千部以上売れる見込みがないものは作りません。

YIL出版では、エキゾチックアニマルを救うためという考えが根底にあるので、たとえ少部数でも必要とされている情報があれば作って行きたいと考えています。YILハイパーブックレットは、まさにそういったマニアックな需要に応えるために企画しています。

エキゾチックアニマルの飼育情報や獣医学情報など、大手出版社が手を出さないマニアックなテーマを少部数で製作することを考えています。つまり、一般にはあまり売れない内容ですが、必要な人には重要な情報をこれからも提供できればと思っています。

飼育書シリーズ (Care Manual)

まずはイグアナの飼育書を試験的に作りました。いざ、写真とキャプションだけで構成しようと思うと、それはそれでなかなか難しいものです。文章で説明することを極力避けるのですが、そのために新たな写真が必要になります。くどくど文章で書くよりも、1枚の写真の方が分かりやすい項目もある一方、写真よりも文の方が向いている項目もあるのです。色々と試行錯誤を続け、新たに写真を撮りながらようやく完成しました。YILハイパーブックレットのケアマニュアルシリーズの誕生です。

その後、ウサギ、モルモットと展開しています。

獣医学シリーズ (Veterinary Manual, Veterinary Surgical Gallery)

YILハイパーブックレットに賛同していただいた獣医師とのコラボレーションで、獣医学シリーズを製作しています。これこそ正にYILハイパーブックレットのコンセプトが活かせる内容で、他では作っていない超マニアックな小冊子を製作しています。

ヴェテリナリマニュアルシリーズ、ヴェテリナリサージカルギャラリーシリーズなどを展開しています。こちらも基本的に写真+キャプションで構成されています。

その他 (Acadimic Manual, Visual Archive, Wildlife Manual)

その他、大学や専門学校の教科書、セミナーの副読本、写真集、授業の補足資料など、YILハイパーブックレットのコンセプトに合う題材は多数展開しています。

YILハイパーブックレットの入手先

山内イグアナ研究所の通販サイト(飼育書メイン)

エキゾチックインフォメーションセンターの通販サイト(飼育書・獣医学ブックレット)

ハイパージョイントセミナーの通販サイト(手術屋のこだわりのブックレット)

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

Yamaをフォローする
書籍・写真集出版書籍・写真集
スポンサーリンク
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました