AISの授業その4:自叙伝(Autobiography)

国語、つまりAmerican International School(AIS)でのことなので英語の時間ですが、中学生になっていきなり自叙伝を書くという課題が出ます。これも何週間もかけて先生に指導されながら完成させます。自分のことは書きやすいので、これも的確なテーマだと思います。生徒たちは生まれて初めて何十ページもの文章を書くという経験をします。

途中経過で何度か提出させられるのですが、ページの上に赤で数字が書かれて返ってきます。本文中には何のしるしもなく、上の余白に7とか11とか数字が書いてあるだけです。

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間違いの数

その数字は、先生が見つけたそのページ内にある間違いの数です。個数だけの表記で、どこが間違っているかは一切教えてくれません。本当に教えてくれないのです。わからなくて聞きに行っても、「自分で考えなさい」と言われてしまいます。そこは徹底していました。

これも凄く面白い教育だと思いました。自分が書いた文章が、間違い探しのクイズになってしまうのです。何度も何度も見直して訂正して持って行くと、上の数字が書き直されて返ってきます。大抵は減って行きますが、増える事もあります。最終的に0になるまで続けられます。何十ページもあるので、生徒も大変ですが、今自分が学生のレポートなどを読む立場になると、先生が一番大変だったのではないかと思います。大学生のレポートを読むのとは比較にならないくらい大変なことは想像に難くありません。

おかげさまで、学生たちは大変楽しく学習する事ができました。何度も突き返されて、間違いを見つけた時の喜びはひとしおです。そして最終的に間違いが0になった時の安堵感は今でも覚えています。こんな経験をすると、二度と同じ過ちを繰り返さなくなるでしょう。

これも先生がすべて校正をしていたら、全く記憶に残っていなかったと思います。普通の授業として忘れ去られていたことでしょう。
他でこんな教育をしているのを見たことがありません。日本だったら親切丁寧に赤ペン先生が間違い箇所に赤で正解を書いてしまいます。それではダメなのですね。
この授業では、正解を書かないどころか、間違った箇所も教えてくれないのです。唯一教えてくれるのは間違いの数だけです。
これは教育や学習ということの本質を本当にわかっている人が作り上げた方式なのだと思いました。

やっている最中は「ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃん」とか「先生は意地悪だ」などと生徒たちには思われていましたが、徹底して教えない姿勢が自分たちのためになったことは、後になって皆わかります。途中で教えてしまったら意味がなくなっていたことでしょう。とことん生徒に考えさせ、自分で解決する力をつけさせる教育です。
この授業で人生が変わった生徒も多かったと思います。少なくとも自分は大変感銘を受けました。考えることは楽しいし、考えたことはずっと覚えているのです。それを知るだけでも大きな収穫です。

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