AFの人間検出・動物検出・乗り物検出

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人間の検出

D500でも顔の検出はできます。Z50では瞳検出も使えますが、少しもたつきを感じます。Z9ではより高速・高精度になることを期待しています。

昨今のデジタルカメラは、コンパクトカメラでさえ人の顔検出、瞳検出が当たり前となってきています。自分が人工知能の研究所で働いていた1980年代には別のグループでしたが社内で動画から顔を検出するロジックを開発していました。40年ほど前ですが、当時でもかなり高効率に映像から人間の顔を検出していました。Googleフォトなどでも顔を検出して人物の判定までして分類してくれる機能があります。
ディープラーニングの手法はここ数十年で驚くほど進化し、プロセッサの処理能力の向上とともに現実的になってきたのでしょう。

特にカメラがミラーレスになったことによって、常時画像の処理が可能となり、人物を探して顔を探して、顔の中の目を検出する、という処理が瞬時にできるようになりました。カメラを向けて、ファインダー内に人がいれば瞬時に人にピントが合います。適度な距離でこちらを向いている人物に対しては目を探し、瞳にピントを合わせてくれます。

これは画期的なことです。今まで微妙に目にピントが合っていないカットはすべてボツにしていましたが、AFの瞳検出によってかなり歩留まりが上がります。誰が撮ってもばっちり目にピントが来てつまらないという人もいますが、プロカメラマンでもピンボケ写真を量産してしまうこともありますので、AFの瞳検出機能があれば喜んで使うはずです。プロはとにかく失敗を恐れますから、AFで合わせてマニュアルで微調整する方法よりもカメラ任せで瞳検出させた方が歩留まりがよければ間違いなく新しい方法を使います。

人以外の検出

AFはさらに進化して、人の顔や目だけではなく、犬猫の顔や目も検出できるようになりました。動物検出など存在しない一眼レフの時代は、走り回る犬猫の目にピントを合わせるのはプロカメラマンでも至難の業です。横移動の流し撮りは対応できても、前後の動きに追従するのは相当大変です。それが最近のカメラでは被写体のあらゆる動きに対応して目にピントを合わせ続けてくれます。これは不可能を可能にする大きな進化です。動き回っている被写体でも、その中の犬であろう形や猫であろう形を検出して、頭の位置を判断して、その中の目らしきものを検出するということを瞬時にやってのけています。

Nikon Z9では9種類の被写体を検出できるようです。「人物、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機の検出が可能 」と発表されていますが、これらは純粋にソフト的に検出していることなので、今後ファームアップなどでどんどん増えてくる可能性も秘めています。すでに他の動物もある程度検出できるのかもしれませんが、すべての哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫など、目がある生き物は時間の問題で検出できるようになると予測しています。

飛行機:D500で撮影
上の写真の拡大:迫って来る飛行機のコクピットにフォーカスを合わせ続けるのはなかなか困難です。これを自動でしてくれるのはありがたい進化です。

車、バイク、自転車、飛行機も検出できるのも面白い進化です。後は植物、花、食べ物、建築物、天体などに対応すればほとんどの被写体が網羅されることになります。なんだかカメラというよりも人工知能を搭載したロボットのようでいささか恐ろしくなってきますね。しかし、近い将来そんなカメラがきっと登場するでしょう。

今まで培ってきたカメラマンの技量はAE、AFの進化によって必要なくなりつつあります。カメラマンの素質は、「その場にいるということ」と、「カメラを向けてシャッターを押すこと」くらいになって行くのでしょう。

ありがたい動物検出

自分は動物の撮影を仕事としています。しかし、可愛い野生動物やペットの撮影をするいわゆる動物カメラマンとは違って、獣医療系の撮影が8割、野鳥撮影が2割です。つまりほどんどが病気の動物や動物の中身の撮影です。しかし、エキゾチックアニマル専門の病院で専属カメラマンを長年やっているので、撮影した動物種の数は数百種に上るでしょう。病院に来院する珍しいエキゾチックアニマルはすべて撮影しましたし、エキゾチックアニマルのアトラス3冊(哺乳類編、鳥類編、爬虫類・両生類編)のために様々なショウやペットショップ、動物園でも撮影をしてきました。

その際、特殊な場合を除いて、画面に目が写っている以上、ピントは必ず目に合わせます。人物にしても動物にしてもそれは共通です。人は写真を見た時に真っ先に見るのは目です。そのため、目がピンボケだと写真としては台無しです。写真を整理するときに目にピントが来ていない写真は無条件で削除します。

Z50も犬猫に対応しましたが、ウサギもちゃんと認識してくれました。
上の拡大:きちんと目にピントが来ています。

様々な動物種を網羅するようなアトラスでは写真の構図も重要です。基本的に動物の一部が欠落することなく、全身を納めた写真が必要です。その状況で目に確実にピントを合わせるのは一眼レフ時代はなかなか困難で、少なからず失敗があります。動物は人と違ってじっとしてくれることが少ないので、常に戦いです。落ち着きがない生き物だと何百枚も撮って使えるのは数枚だったりします。

動物検出、動物の瞳検出が進化すると、こういった仕事は大変楽になることでしょう。もっとも、誰でも撮れるようになってしまうとカメラマンは必要なくなってしまうかもしれませんが。

もう一つの仕事である野鳥撮影に対しては、鳥検出、鳥の瞳検出は大変ありがたい機能です。野鳥撮影こそは「その場にいる」ことがとにかく大事なので、カメラマンの仕事が残されています。さらに鳥を見つけて超望遠レンズを確実にその方向に向けるにはある程度の技量が必要なので、まだまだカメラマンの存在が活かされる領域です。もうしばらくは仕事としてできそうです。

野鳥撮影も目にピントが合っていない写真は即ゴミ箱行きです。鳥の検出、鳥の瞳の検出がどのくらいの精度か分かりませんが、Nikon Z9の機能で個人的には一番期待している機能です。
飛行中の鳥も検出可能であれば、飛翔写真の歩留まりもかなりよくなることでしょう。ちょっと期待しています。実際に使ってみてまたレポートを書きます。

D500:もちろん鳥検出や鳥の瞳検出はないので、ピンポイントで目に合わせるのは熟練が必要です。Z50ではまだ鳥の検出はしてくれません。ファームウェアのアップデートで対応できるとありがたいのですが。
上の写真の拡大:一眼レフでは構図を考えつつ、目にピントを合わせるために全神経を集中する。

Z9でこれらの作業が軽減されれば、撮影範囲も広がるでしょう。

作品

獣医師・動物看護師向けカラーアトラスシリーズ。写真担当です。


カラーアトラス エキゾチックアニマル 哺乳類編(緑書房)

カラーアトラス エキゾチックアニマル 鳥類編(緑書房)

カラーアトラス エキゾチックアニマル 爬虫類・両生類編(緑書房)

野鳥図鑑。

見つけて楽しむ身近な野鳥の観察ガイド
野鳥写真を採用していただきました。
これからバードウォッチングをはじめたいと思っている方々にイチオシの図鑑です。
肩肘を張らず、まずは身近な野鳥を観察することからはじめられてはいかがでしょうか。都会に住んでいても、身近な公園をいくつかまわるだけで100種類近くの野鳥が見られます。多くの人は鳥を見つけられないだけで、ポイントさえおさえれば「野鳥ってこんなにたくさんいたんだ!」とビックリすると思います。

身近な野鳥カレンダーシリーズ。


身近な野鳥カレンダー2020年版(緑書房)

身近な野鳥カレンダー2021年版(緑書房)

身近な野鳥カレンダー2022年版(緑書房)
著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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