AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR

AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
Nikon Imaging https://www.nikon-image.com/
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR MTF
Nikon Imaging https://www.nikon-image.com/

このレンズは、MTF曲線ではなく「MTF直線」だとよく言われるように、ほぼすべての曲線が天井に張り付いています。グラフが描かれていないのではなく、4本がすべて重なっていて見えないだけです。放射方向も同心円方向も、ほぼ画面の全域に渡って最高のコントラストで、最高の解像度を発揮しているということです。特にDXフォーマットで使用した時の像高15mm付近まではほぼパーフェクトな状態で、理論通りの理想的なレンズであることが分かります。

FLの名が示すように、前玉に2枚フローライト(蛍石)のレンズを使用しています。フローライトはガラスよりも分散が少なく、色収差を抑える効果があります。また、ガラスよりも遥かに軽いため、500mmF4の単焦点レンズとしては大変軽く作られています。特に一番重量に影響する大口径の前玉が軽くなっているため、従来のレンズよりも前方が軽くなり、バランスが良くなることからより軽く感じます。

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絞り値による画質変化

さすがNikonが技術の粋を集めて作り上げた500mm単焦点です。非の打ちどころがありません。開放F4から高解像度高コントラストで安心して使えます。開放から2段絞ったF8まではほとんど変化なく高解像、高コントラストを維持します。F11で若干甘くなってきますが、実用域でしょう。F22では回折の影響で甘くなります。
しかし、本レンズを使用するシチュエーションを考えると、ほとんどの人は開放から1段絞った間で使うと思います。このレンズを使うような人は、プロか、ハイアマチュアと思いますから、せっかくの開放F4を最大限に活かした撮影になるでしょう。

ただし、開放で近距離で使う場合は被写界深度が極めて薄いので、高度なピント精度が要求されます。前後数mmしかピントが合いません。ピンポイントで正確に野鳥の目に合わせないとボツ写真を量産することになります。

F4

F5.6

F8

F11

F22

実写サンプル

500mmF4E FLのメリットはテレコンバーターが使えることです。2倍テレコンはさすがに画質もあやしくなってきますし、F8になってしまうので、一眼レフではAFも限界が近くなり、歩留まりが悪くなります。1.4倍のTC14E-IIIは画質の劣化はほとんどなく、700mm F5.6のレンズになります。さらにそれをDXフォーマットで使うと、35mm判換算で1050mm F5.6相当という、夢のようなレンズになります。

特筆すべきことは、この換算1000mmを超えた焦点距離の超望遠レンズを手持ちで使えるということです。手振れ補正は公称4段なので、VRなしで1/1000秒が手持ち限界として、1/60まで手持ち撮影ができるということになります。実際、フィールドで使う時は1/60秒までは結構使います。完全とは言わないまでも、かなりの成功率で撮影可能です。しかし、動きが速い野鳥では手振れよりも被写体ブレの方が多くなるため、現実的には1/100秒から1/200くらいが限界でしょう。しかし、1000mm相当の望遠レンズを手持ちで1/100秒のシャッターが切れるなどと言うことは、フィルム時代には考えられなかったことです。

以下はすべて本レンズとD500で撮った写真です。適宜トリミングはおこなっています。

TC14E-III使用:F5.6(開放)
TC14E-III使用:F7.1
TC14E-III使用:F5.6(開放)
TC14E-III使用:F7.1
最短撮影距離近くの撮影では、開放だと被写界深度が浅すぎるので、若干絞ります。これは開放から2/3段絞っています。
TC14E-III使用:F7.1
上の写真の部分拡大。羽枝の1本1本を解像しています。
1.4倍テレコンを使っているので、開放がF5.6です。そこから2/3段絞ってF7.1でこのくらいの被写界深度です。目の周りのツブツブにピントを合わせますが、それでようやく嘴付近までピントが合います。喉の辺りはもうボケています。

総評

とにかく最高のパフォーマンスを求める人にはこのレンズしかありません。解像度、コントラスト、AFの速さ、逆光耐性、手振れ補正など、すべてにおいて5つ星です。これ以上のものはないので、このレンズを使った失敗写真はすべて自分のせいです。

開放F4では被写界深度が極めて薄いので、フォーカシングと絞りを使いこなせる技術を持っている必要があります。そういう意味では使う人を選ぶレンズです。たとえ1匹の小鳥でも、絞りをコントロールできないとまともに写らないでしょう。とにかくどんな角度でどの方向を向いていようと、目が写っている限り目にピンポイントでフォーカスを合わせ、そこから前後にどのくらいピントを合わせるかを瞬時に絞りで調整できるようにならないとこのレンズのパフォーマンスを引き出せません。撮影距離、被写体の大きさ、などから最適値を導き出します。そのためには、かなり練習が必要です。

絞れば体全体にピントが合いますが、それでは解像度が落ち、背景や前景がうるさくなります。このレンズを使う意味がなくなります。常に被写界深度や解像度、背景のボケ具合などを考えながら、いつも絞りは開ける方向でぎりぎりのところのせめぎ合いをしながら撮影しています。それがこのレンズの醍醐味であり、それを楽しいと思えない人は使うべきではないレンズです。逆に、とにかくこだわって最高の一枚に仕上げたいと思っている人にはおすすめできるレンズです。そういう人は買って後悔することはないでしょう。おすすめです。

予算がクリアできるのであれば500mmのレンズでは最高の選択肢となります。明るさ、解像度、AF速度、色消し、コントラスト、手振れ補正など、レンズとしてのあらゆる性能がぴか一です。おそらくどこにも不満がでない、究極のレンズだと思います。
野鳥撮影用として500mmは標準レンズと言われていますが、これ以上焦点距離が長い600mmや800mmは手持ちで振り回すのは困難で、個人的には体力的にこの500mmが限界と思っています。
500mmF4でも、DXフォーマットで、1.4倍のテレコンを使うと35mm判換算で1050mmF5.6相当となり、野鳥撮影システムとしてはかなりの望遠となります。
著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、出世するのが嫌で退職。現在は大学非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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