Pininfarina Leonardo forever filum:ピニンファリーナ レオナルド フォーエバー フィルム:エテルグラフ(イーサーグラフ)

また超マニアックなペンを買ってしまった。ペンと呼べるのかどうかも疑問な代物です。インクも芯も使わず先端の特殊な金属を紙にこすりつけるだけで線が書けるという不思議な筆記具です。

2019年はレオナルド・ダ・ヴィンチの没後ちょうど500年だったので、イタリアではずいぶんと記念行事が行われたようです。今回買ったこの筆記具も、ピリンファリーナの工房が500年祭として企画したLeonardoシリーズの一つです。

発表とともに一目ぼれしたのですが、なんだか半信半疑だったのと、ほぼ使えなさそうなものに対してはちょっと高価だったので、数年間躊躇していました。

Pininfarina

イタリアにはカロッツェリアと呼ぼれるデザイン工房がたくさんあります。さすがに芸術の国です。ジウジアーロ、ベルトーネ、ピリンファリーナなど、有名なカーデザイナーたちも自動車メーカーの職員ではなく、カロッツェリアのデザイナーで、自動車のデザインだけではなく、あらゆる工業製品のデザインをメーカーから請け負っている純然たるデザイナーです。中でもピニンファリーナはイタリアで一番大きなデザイン工房であると言われ、イタリアンデザインの中核をなしているデザイン集団です。

Ethergraf

日本ではイーサーグラフと書かれることが多いようですが、イタリア人の発音を聞くとエテルグラフの方が近いと思います。特許を取得した特殊な合金としか記述がないので、どのような元素が使われているのかわかりませんが、酸化作用で黒い筆記を残すとあります。詳しい化学反応は良く分かりませんが、確かに書けます。しかし、筆跡は大変薄く、10Hくらいの感覚です。

金属なので減らず、永久に書けると説明しているサイトもありますが、実際は減り、交感チップも売られています。しかし、減りは極めて少ないので、おそらくチップを交換するまで使うことはないと思われます。ほぼ一生使えるのではないでしょうか。

レオナルド・ダ・ヴィンチが活躍した頃はまだ鉛筆もない時代だったので、特殊な処理を施した紙に銀の棒で描いていました。その感覚を現代に蘇らせるために作られたのがこのエテルグラフです。

エテルグラフのチップをつけた軸は様々なものがありますが、特に気に入ったのがこのPininfarina Leonardo forever filumです。

チタンの粉末を強力な炭酸ガスレーザーで焼結させるという特殊な製法で作り上げている美しい軸です。 Leonardesque knots(モナリザの首もとなどに使われている組紐紋様) にインスパイアされたという3次元メッシュ構造です。素材も軽いチタンなので、すべて金属でできているにも関わらず、18gしかありません。また、全体形状は紡錘型で、手にフィットする大変持ちやすい形状です。

購入

最初はいつも筆記具を買っているイタリアのショップで見つけました。一目ぼれです。当時は国内ではどこも取り扱っていませんでした。こんなマニアックな筆記具を買う変な日本人はあまりいないのでしょう。仕方ないのでまた直輸入しました。

お店の人と交渉して、2本買うということでちょっぴりディスカウントになりました。イタリア人ですが、英語が通じるので楽です。注文して1週間で届きました。早い。
想像を遥かに超えるすばらしい出来でした。このチタンメッシュの製造工程をぜひ見てみたいものです。

イタリアの高級軸にはすべて製造番号が刻印されています。この個体は193番でした。発売からずいぶん悩んで買ったのですが、販売数は意外と少ないようです。やはりこんなマニアックな筆記具を買う奴は世界中でもそうそういないということなのでしょう。

先端と尾部に付いている円錐形の金属が不思議なエテルグラフです。普通に硬い金属の塊です。

手に持った写真がなかったのでスケール感が分からなかったのですが、こんな感じです。思ったより大きいと感じましたが、自分は手が大きいので丁度良い大きさです。

自分にとっては完璧なフォルムです。

ちょっと値が張りましたが、何も補充する必要がなく一生使えるとのことなので、納得しています。

使用感

うーん。微妙です。

まず紙を選びます。比較的良く書ける紙と全く何も筆跡が残らない紙があります。コピー用紙には書けましたが、手元にあったメモ帳や付箋紙には書けませんでした。家内からは「なんでそんな書けないペン買うの」(バカじゃないの?と顔に書いてありました)と言われましたが 、自分は満足です。

書ける紙でも筆記は大変薄く視認性は良くありません。ほとんど書けない筆記具です。でもいいのです。こんなに素敵な材質と構造と形状の筆記具は他にありませんから。

その後

書ける紙が見つかりました。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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