野鳥との距離感

歳とともに体力や視力は衰えますが、面白いことに未だに毎年野鳥がどんどん見えるように進化しています。野鳥撮影をはじめた頃はまったく見えませんでした。専門家に教わったり、何度もフィールドに出ることによって徐々に見えるようになりますが、野鳥が普通に見つけられるようになるまでに、2、3年はかかるのではないでしょうか。
その後は「世の中の野鳥が増え続けているのではないか」と錯覚するほど鳥がどんどん見つけられるようになります。それまでは、いても見えなかっただけなのですね。

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距離感

野鳥が見えるようになっても、撮影となるとまた別で、最初はなかなか撮らせてくれません。不用意に近づきすぎてしまったり、動きが早かったりして飛ばしてしまうのです。野鳥との距離感や動き方がわかっていないからです。

許される野鳥との距離は、種類や年齢、個体によっても異なりますし、環境によっても異なります。種によっては人が見えただけで逃げてしまうこともある一方、数メートルの距離まで近づいても平然としている種もいます。また、公園によっても人への慣れ方が大きく異なるようです。

こういった距離感も何年か修行をしていると、だんだんと分かってくるものです。
また、野鳥の表情や動作からもなんとなく読めるようになります。安心しているか、警戒しているかを読み取って、もうちょっと近づけるか、これ以上は近づかない方が良いということがわかるようになります。
経験から、ゆっくり動作するようにもなります。
これは本を読んでも人に言われても身につくものではありません。何度も失敗をしながら体得するしかないでしょう。しかし、これは野鳥とってもストレスを与えるだけなので、野鳥と関わる以上、必ず身に着けねければならない能力です。

ロクロクサンの最短撮影距離4m近くでまったりと日向ぼっこをしてくれるジョウビタキのメス。一番好きな野鳥です。横を向いている時は、こちらを見ています。

最初は友達から

みなさんも経験があると思いますが、撮りたい野鳥が見つかり、「撮ってやるぞー」と思いながら近づくと飛んでしまうものです。しかし、鳥に興味がない人が普通に野鳥のそばを通り過ぎたりする光景を見たことがないでしょうか。
初対面の我々は警戒されるのに、農地で作業している方々には至近距離まで近づいている光景をよく目撃します。どうも彼らは我々の精神活動を読んでいるかのような行動を示します。

野鳥のことを考えず、目を合わせず、知らん顔をしながら歩くと意外と近寄れたりすることがあります。そして無欲で「絶対撮ってやるぞー」などという思いはすてて通り過ぎるふりをしながら、そっとレンズを向けると案外逃げなかったりします。種にもよりますが、その方法は結構有効です。

個人的には、彼らは我々の思考が読めているのではないかと思うことがしばしばあります。

鳥好きオーラ

長年野鳥撮影をしていると、好きな鳥種というものができてくると思います。猛禽類に魅力を感じる人、水鳥が好きな人、カワセミに魅せられる人など、人それぞれです。
私の場合はジョウビタキのメス、家内はアオジでした。とにかく好きで、何時間でも対峙して撮影できてしまいます。

鳥愛が異常に強いためか、何度も会いに行くからなのか、好きな野鳥のことを想い続けていると、その想いが通じるようで、野鳥の方もそれに応えてくれるようになります。
おそらく毎日顔を見せていると単に慣れるだけで、危険はないと思われるだけなのでしょうが、心が通じ合っているような気にさせてくれます。単なる思い込みなのでしょうが、そう思っていたほうが幸せです。

安全だと認識してくれると、こちらを観察しながら向こうから近づいて来てくれます。これもロクロクサンの最短撮影距離4m以下まで近づいて来てしまったので、撮影のためにあとずさりしたくらいです。

鳥を飼育しているとわかりますが、鳥はかなり頭も良く、家の中の空間の把握や人の識別もできます。野生動物であっても、毎日顔をみせていれば個体識別してくれて、「あ、この人は安全だ」と思ってくれているのかもしれません。

同じ公園の同じ個体に会いに何度も通っていると、彼らも覚えてくれるようで、近づいても逃げず、逆に向こうから近づいてきてくれたりします。もちろん餌付けなどはしません。レンズを向けるだけで純粋に近づいてきてくれて、ポーズをとってくれるのです。
時にはピントが合わないほど至近距離まで来てくれることがあります。手を伸ばせば届くような距離です。
冬鳥など、冬の間だけ縄張りを持つ個体に何度も会いに行くと、探さなくても向こうから目の前に飛んできてくれることがあります。こちらも会いたいと思っていましたが、向こうもそう思ってくれていたのでしょうか。
もしくは、彼らにも人を観察したい好奇心のようなものがあるのでしょうか。

某K博士にそんな話をしたら、「気のせいでしょう」と一笑に付されました。「鳥は無駄な行動はしない」と。さすが科学者です。論理的にはそうなのでしょうが、それだけではない気がします。こちらが追いかけるのではなく、野鳥の方から近づいて来て、こちらをじっと観察するような行動によく遭遇します。

考察

そもそも野鳥たちは、なぜ都市部の公園に集まるのでしょうか。人と関わりたくないのであれば、人里離れた森に住めば良いものを、渡り鳥などはわざわざ都市部の公園に住み着きます。

大前提として餌付けなどはされていないという条件ですが、人と関わることは、彼らにとっては決して無駄なことではなく、何かメリットがあるように思えてなりません。イソヒヨドリのように、近年人との共存を選びはじめた鳥種がいますが、渡り鳥たちも都市部の公園をあえて選んでいるように見受けられます。

人と関わることによって考えられるメリットは、安全性ではないかと考えています。ネコなどの捕食動物は都市部の公園の方が多いと思いますが、彼らの真の天敵である猛禽類などは明らかに少ないのではないでしょうか。もしかすると、彼らの食料となる虫も、人里離れた森よりも、都市部の公園の方が多かったり、採取しやすかったりするのかもしれません。

いずれにしても、無駄な行動はしないとしたら、人と関わって、都市部の公園で人と共存することは相当なメリットとなっているのでしょう。そのために人に愛想を振りまいて人に気に入られるということは、決して無駄ではなく、極めて有効な戦略なのではないでしょうか。

そこまでは考えていないでしょうが、かわいい鳥が住んでいる公園、美しい鳥が毎年渡ってくる公園などは野鳥フリークには大事な公園として昇格し、毎年来てくれるように自然を守ったり、環境を変えないように人々は動くようになります。結果的に彼らが安心して暮らせる理想的な環境に近づいて行くのかもしれません。そのために美しい姿、可愛らしい姿を人に見せてアピールすることは、結果的に種にとっては最大のメリットになっているのではないでしょうか。

いずれにしても、至近距離に降り立ってかわいさを振りまく鳥たちにオジサンたちはまんまとやられてしまいます。

ヒタキの類は元来人を恐れない性格なようですが、毎日顔をみせていると、野鳥とは思えないほどこちらに近づいて来てくれます。

アオジも渡ってきた頃は警戒心が強いのですが、年明け頃からどんどん人との距離を縮めてきます。ピントが合わなくなるので、こちらが離れるほど近づいてくれます。

この動画のように、必要以上に近づいて来て、じっとこちらを見つめられたりするとイチコロです。

心が通じているのかも、と思うのは思い込みだったり気のせいかもしれませんが、いいのです。トリトリはそれだけで幸せなのですから。

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位相フレネルレンズ採用の通称ロクロクサンと呼ばれる600mmF6.3の単焦点レンズです。
全長278mm、重量1470gで、600mmの焦点距離からは想像できないほど小型軽量です。レンズ単体で5.5段、Z9やZ8との組み合わせではシンクロVR機構によって6段分のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると900mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで840mmF9、1200mmF13、DXで1260mmF9相当、1680mmF13相当となります。
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位相フレネルレンズ採用の通称ハチロクサンと呼ばれる800mmF6.3の単焦点レンズです。
800mmの超望遠レンズとしては驚くほど小型軽量で、全長385mm、重量2385gしかありません。レンズ単体で5段分、Z9やZ8との組み合わせでは、シンクロVR機構によって5.5段のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。
最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。

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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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