今の時代、本を作るのは誰でも簡単にできます。データを作りさえすれば、オンデマンドで印刷、製本までしてくれる会社はたくさんあります。売れるかどうかは別として、作ることに関してはかなりハードルは低くなっています。
自分は一時期出版社で編集の仕事もしていたので、レイアウターのソフトでレイアウトを行い、PDF化して印刷所にデータ入稿して本を作るという作業は特に問題なくできます。
本は出版社だけが作れるものではなく、言論の自由があるので、誰かが何かを書いて、それを配布したり販売するのは自由です。倫理的に問題があるものは法的に問題なくても世間からはバッシングされるでしょうが、人の役に立つ情報であれば概ね歓迎されるでしょう。
撮影、編集、文章校正、レイアウト、データ作成の技術をたまたま持っていたので、今まで動物関係、獣医関係の本を作って来ました。自費出版なので、セミナーや通販などで販路が確立されている場合だけですが、需要がある限り、赤字覚悟でも作り続けて行こうと考えています。特にそれによって動物たちが救われるのであれば自腹を切ってでも出そうという覚悟でいます。
出版者登録
2020年というゴロが良い年号だったので、よい機会なので出版者登録をしてみました。単に自己満足で終わらせないよう、世に出すものはきちんとISBNを取って国会図書館に納本したいと思ったのがきっかけです。
ISBNを取得して、国会図書館に納本すると出した出版物は、基本的には永久保存されます。1000年後に誰かが見て、1000年前の人たちはこんなことを考えていたんだー、と分かる資料としても提供できます。それは何だかとっても気持ちがよいことです。
ISBN番号はきちんと手順さえ踏めば、比較的簡単に取得できます。ただし、誰かが常駐する場所(事務所でも自宅でもOK)と固定電話が必要です。バーチャルオフィスやスマホだけでは取得できません。また、時間と費用も掛かります。費用は発行できる桁数によって異なります。詳しくは日本図書コード管理センターのウェブサイトを参照ください。仕様や条件、費用などは時々変わるので、ウェブサイトを参照していただくのが的確です。
YIL出版
生きているうちに、あと100刷は出すかな、と思い、6桁の出版者コードを申請しました。2020年当時で37,000円+税でした。
3週間ほどかかります。その間に、電話や郵便物で、そこに実際存在しているかどうか確認されます。架空の事務所では取得できないようにチェックされます。
問題なければ、めでたく出版者コードが発行され、ISBN番号を生成する権利が与えられます。YIL出版は978-4-910237です。現在のISBNは13桁なので、ISBN978-4-910237-**-※という形で、**の2桁を自由に使ってよいという権限が与えられます。※はチェックディジットです。
ISBN番号は出版者が自分で管理することになります。出版者は、00~99に対してどの本が何番なのか、リスト化して重複しないように管理する義務が発生します。
ISBN
さて、これではれてISBN付きの本を堂々と出せるようになりました。2020年以降に出している本はすべてISBNを付番しています。過去に作った本も増刷する可能性があるので、せっかくなのでISBNを付番しました。すでに20刷分番号を消費してしまいました。あと80刷です。
ISBNをつけると、中身は変わりませんが何となくワンランクアップしたような、単に趣味で作っている自費出版本じゃないよ的なイメージを植え付けることができるような気がします。表4(裏表紙)にJANコードを入れるといかにも「本」という感じですし、実際Amazonで売ることもできます。Amazonで販売するためには、ISBNコードとJANコードは必須なのです。
納本
ISBNを付番した本は国立国会図書館に納本する義務が生じます。あらゆる出版物は納本することによって永遠に保管されます。どこにどのくらいの保管庫があるのか分かりませんが、今までのすべての出版物を保管しているとすると、かなり膨大な量になっていることでしょう。
納本すると、きちんと受け取ったという記録と、お礼の文が返ってきます。国立国会図書館に行って検索すると出てくるようになります。それだけでうれしくなります。
もちろん国立国会図書館のウェブサイトで検索してもきちんと出てきます。
試しにYIL出版のハイパーブックレット「イグアナ」のISBNは9784910237008なので、検索欄に「 9784910237008 」を入れるとすぐに出てきます。これから作る本もすべてISBNをつけてどんどん納本していくつもりです。
やはり本は人類が築いた文明の証です。インターネットの時代になっても本は本なのです。