公園での三脚使用の是非

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正直邪魔です

隙間はありますが、三脚が存在するだけでその間に入るには抵抗があります。三脚の脚が邪魔です。三脚と持ち主で、一畳くらい通路を占有してしまいます。持ち主が近くにいない三脚もあります。

野鳥撮影に行くと、いつも閉口することがあります。公園の野鳥出現スポットにずらっと並んだ大砲を乗せた三脚です。大変迷惑な行為だと思うのですが、当人たちは、何が悪いのか気づいていらっしゃらないようです。
公園は、読んで字のごとく、誰もが平等に利用できる公共の場です。三脚はひとたび立てると、少なくともその周囲半径1mくらいは近寄れない空間ができてしまいます。みんなが利用する通路や広場を勝手に占有してしまうことになるのです。平然と三脚を使用している方々は、そこは自分の場所だと思い込んでいらっしゃるのでしょうか。散歩をしに来た善良な市民は、鎮座した三脚のせいで迂回を強いられます。公園によっては三脚禁止の看板を掲げているところもありますし、三脚禁止とわざわざ放送している公園もありますが、そんなことはどこ吹く風、三脚は一向になくなりません。

ヌシ

ヌシとトリマキ

野鳥がよく出る公園には、必ずと言ってよいほど「ヌシ」が存在します。多くは毎日のように来られる、暇を持て余した?ご年配の方が多いようですが、こういった方々のヒトトナリが問題のように見受けられます(すみません、自分は棚にあがっています)。中には本当に公園や野鳥を愛し、正しい方向に人々を導いてくれる「良いヌシ」もいますが、自分勝手で勘違いしている「悪いヌシ」が存在しているのも事実です。

良いヌシ

  • 友好的:初対面でもにこやかに挨拶してくる
  • 情報共有:どこで何が見られたかなど、親切に教えてくれる
  • 撮影は手持ちか、せいぜい一脚で他に迷惑がかからないように配慮している
  • 野鳥の生態系に影響を及ぼすことはしないし、している人を見つけると注意をする。
  • 野鳥たちのメリットが最優先で、撮影させていただいている、という態度

悪いヌシ

  • 排他的:よそ者を睨んだり、アッチ行けオーラを出している
  • 情報隠蔽:仲間内(ヌシの子分)だけの閉鎖社会を形成
  • 大型三脚でベストポジションを独占する。撮影してない時も三脚を据え付けたままで、他人には決して譲らない
  • 良い写真を撮るために自然を破壊(邪魔な枝を折ったり、とまりやすそうな枝を立てるなど)したり、撒き餌をしたり、呼び寄せるために鳴き声を流したりする
  • 俺が全部お膳立てしてやってるんだ的態度
  • 野鳥たちのメリットなんか考えない。自分さえきれいな写真が撮れればオッケー的言動
ここに近づく勇気はありません。

ざっと思い返すと、こういった二種類のヌシがいます。鳥が好きで、写真を撮りたいと言う想いは共通なのでしょうが、アプローチや態度が正反対なのです。中には、この野鳥は、毎日餌をやって自分が育てていると勘違いしているヌシの方もいらっしゃるようです。残念なことです。

私の師匠の某K博士は、ある日公園で撮影していたら「そこは俺の場所だからどけ」とヌシに言われたそうです。これはもうマナーなどといったレベルの問題ではなく、ヤバイ人レベルの問題です。関わってはいけない輩です。某K博士はさすがに賢明に退散したそうですが、そのヌシはそこに三脚を立て、悠々と撮影準備をはじめたそうです。
嫌ですねそういうヌシに出会うと。せっかくの野鳥撮影の楽しみが台無しです。

そもそも野鳥撮影に三脚は必要か

手ブレ補正(以下VR)がない時代に手持ちでブレないように撮るためには、レンズの焦点距離分の1より速いシャッター速度が必要と言われてきました。500mmのレンズだったら1/500秒以上のシャッター速度が必要と言うことです。 先達はその条件の中、フィルム時代から素晴らしい写真を撮っておられますので、しっかり練習をすれば最新のレンズでなくてもきっちりと撮影はできます。
しかし、昨今はカメラもレンズも進化して、昔よりも遥かに簡単に野鳥撮影ができるようになっています。フィルム時代と比べて、VR機能がついていますし、フィルムと違って撮影中に感度を自由に変えられるようになっていますから、手ブレ防止のために三脚を使う必要はなくなってきています。

ふさがれた通路。完全に占有状態です。持参の椅子と三脚をよけながらこの通路を通過する勇気はありません。

暗い森や天候によっては感度が上がりすぎて画質が悪くなる場合は、もっとシャッター速度を落としたいことがよくあります。昔だったらあきらめていたシチュエーションも新しいシステムでは撮れるようになってきています。昨今のレンズもしくはボディーには、4-5段分のVR機能がついているのが当たり前になってきています。4段だとしても、500mmのレンズで、シャッター速度を1/30秒まで落としても手持ちでブレずに撮影出来るという性能です。VR性能が5段分でしたら、1/15秒まで行けるという計算です。これは驚異的なことです。実際そこまで下げると手ブレよりも被写体ブレを起こしやすくなるので、現実的には野鳥撮影のシャッター速度限界は1/200~1/100秒前後までだと思いますが、その位であれば手持ちで余裕でブレずに撮れます。したがって、ブレ防止という観点からは、三脚はもはや必要なくなってきています。

むしろ三脚は当人にとっても足かせとなることも多く、機動性が失われます。長年野鳥撮影をしている方は分かると思いますが、ちょっと枝が被ったり、構図の都合で数センチ左右に移動したり、ちょっとかがむことによって枝がかぶらずに抜けるといった状況はよくあることです。三脚を使っているとそういった微妙な撮影位置の調整に対応できなくなります。結果、手持ちでVRの恩恵にあやかった方が良い写真が撮れる確率が上がるのです。

ではなぜ三脚を使うのか

想像ですが、次の理由が考えられます。

1.動画撮影
2.重くて持てない
3.場所取り
4.自慢

動画撮影

最近はミラーレス一眼を使っている方も増えてきています。今までの一眼レフと比べると動画撮影がしやすくなっているため、動画撮影をしているカメラマンも多くなっています。静止画と動画を両方撮っているのかもしれません。しかし、ずらっと並んだ三脚の合間で動画撮影をして良いクリップが撮れるかどうかは、はなはだ疑問です。野鳥の動画といったら静かな場所で鳥の囀りや鳥たちの営みの音を同時に記録するのが醍醐味です。公園の三脚群の間で動画撮影をしても、音声は諦めるしかありません。マシンガンのようなシャッター音や人の声の方が遥かに大きく、超指向性のガンマイクを使ってもダメでしょう。
やはり動画を撮るなら深山の誰もいない場所で撮って欲しいですね。そう言う場所であれば誰にも気がねをせず、思い切り三脚を広げられます。

重くて持てない

考え方がずれているように思います。持っていられないようなでかいものを公共の場に据え付けて良いものでしょうか。どうしても大きな荷物を公共の場に持ち出す必要がある場合は、できるだけ人の迷惑にならないように振る舞うのが普通だと思いますが、悪いヌシたちはそんなことは考えないようです。体力(と財力)がある人はいわゆるロクヨンとかハチゴロウなどと呼ばれる超望遠レンズを振り回せるでしょうが、ヌシたちの多くは見たところご高齢の方々なので、はなから手持ちで撮影するつもりはないようです。しかし、これらの超望遠レンズも昨今は強力な手ブレ補正機能がついているので本来は機動性を重視した設計です。三脚に固定してずっと動かないのはもったいない使い方に思います。

場所取り

通路に三脚を立て、椅子まで使って場所を占有。「ここはわしの場所だからぜってー動かへんでー」的オーラ噴出。

三脚を据え付ける人は、撮影のために必要と言うよりも、場所取りのために三脚を使用しているように思えます。ベストスポットに「ここは私の場所だからねー、近寄らないでねー」と世間に宣言するためのツールとして三脚を使っているのでしょう。ピクニックでレジャーシートを広げるのと同じです。先に宣言した者勝ちで、後から来た人はおいそれとその陣地内に踏み込めません。まさにそれが目的で朝早くから来て三脚を広げるのでしょう。特に撮影スポットが限られた公園などでは、まさに三脚を先に広げたもの勝ちです。バズーカを付けた大きな三脚を担いで小走りしてスポットに向かうお年寄りをよくみます(元気だ)。カメラを乗せず、三脚だけ広げている光景もよく目にします。公共の場を専有してはいけません。
それで小競り合いが起きている場面に何度も遭遇しています。まるで子供の喧嘩です。

高価なレンズを自慢したいから

無法地帯:高価な超望遠レンズを陳列しているだけで、持ち主は椅子に座って仲間とだべっています。足をひっかけて倒したりしたら大変なことになりそうです。怖くて近寄れません。

中にはカメラ+レンズ+三脚+雲台などで、総額2百万円を軽く超えるセットを据え付けているお金持ちのヌシもいらっしゃいます。機材を自慢したいと言う気持ちがあるのでしょう。朝から夕方まで一番目立つ特等席に自慢のセットを設置して「どうだ!」とアピールするのが一番の狙いのように見受けられます。ですから、こういう方々は決して人里離れた場所に撮影に行くことはありません。人が集まる都市部の公園が、彼らにとっては最高のステージなのです。鳥を撮るよりも、公共の場を占有して自慢の機材を披露する、一種のパフォーマンスなのだと感じることがあります。
人に自慢話をするのに一生懸命で、概して写真はあまり撮ってない様子です。
ヌシと取り巻きのコロニーでは、焦点距離が長いほどエライ、開放F値が明るいほどエライ、金額が高いほどエライ、という構図が出来上がっているようです。新しい機種が出るとすぐに買い換えて常に話題の中心にいたい方々です。明るい超望遠レンズとプロスペックのボディを披露するためには、それに見合った大型の三脚と雲台が必要になります、彼らなりにそのポジションを維持するのは結構大変なようです。
機材に対するうんちくもぴか一です。ちょっとでも質問しようものなら、大変なことになります。下手なカメラ量販店の店員よりも遥かに饒舌で、しばらく解放してくれなくなります。バズーカを並べている方たちはその傾向が強いので、機材のことに決して触れてはいけません。

一脚はどうなのよ

微妙な問題です。一般の人から見たら三脚も一脚も変わらないでしょうが、こと公共の場を占有するかどうかという観点からみると、三脚と一脚はまったく別物です。一脚は自立しないので、上記三脚の間違った使用法は一脚ではできず、純粋にブレ防止に特化した機材です。占有面積も人単独とほぼ変わらず、他人に迷惑をかけることも圧倒的に少ないでしょう。
このように、自立して場所を占有してしまう三脚と、自立せず、場所を占有することもできない一脚はかなり異なるものですが、野鳥撮影とは関係ない方々にはバズーカを乗せた三脚も一脚も同じに見えるでしょう。足が三本か一本かは関係なく、巨大なレンズを棒状のものにつけて立っているだけで目障りになることがあるのでしょうから、一脚利用者も注意する必要があります。三脚は邪魔だけど、一脚は許せる、と言うのはカメラマンの勝手な思い込みかもしれません。
一脚は、どうしても薄暗いシチュエーションで撮らなければならない場合や、長時間シャッターチャンスを待たなければならない時には重宝しますが、一般的な野鳥撮影では、一脚も意外と機動性が制限され、邪魔になるものです。

個人的には暗い森の中や夕暮れで光が足りなく、どうしても手持ち限界シャッター速度以下になる場合に、一脚は使います。さっと出して、撮影して、さっとしまう使い方です。自分も邪魔なので。

まとめ

それぞれの事情があると思いますし、考え方の違いもあると思うので、あまり強くはいいたくありませんが、どんな事情があるにしろ、公共の場を占有する形での三脚の使用は控えて欲しいと思っています。三脚を否定しているわけではありません。自分も仕事では使いますし、動画撮影の仕事では大型のビデオ三脚は必須です。
しかし、仕事であっても野鳥撮影のために三脚を使ったことはありません。人様の迷惑になるからということもありますが、上で述べたように、機動性が失われ、野鳥を捉えられる確率が著しく低下するからです。野鳥撮影をはじめてからはずっと手持ち撮影にこだわっていますし、自分もジジイの端くれですが手持ちで望遠レンズを振り回せなくなったら、それが野鳥撮影のやめ時だと思っています。
三脚は、使っている当人以外の公園利用者は、みな多かれ少なかれ邪魔だと感じているはずです。Googleで「公園 三脚 トラブル」などで検索すると沢山ヒットすることからわかるように、公共の場で使うにはいささか問題が多い機材なのです。

野鳥出現スポットには、三脚を抱えたジジイご高齢の方々が続々と 集まってきます。通路に三脚を並べ、座り込む人もいます。さらに、あろうことか禁煙の公園で平気でタバコを吸うヌシもいます。まるで深夜のコンビニでたむろする不良を見ているようです。
ご高齢なのでモスキート音も効果ありません(^^)。
しかも、迷彩服が多く、ハンチングや野球帽を深々とかぶっています。私でも近寄りがたいので、若い女性なんか絶対近寄れないでしょう。こええ。

では、「三脚禁止」にすれば良いかというとそれはそれで問題で、三脚を使用する自由もあるのでしょう。個人的には全面禁止にしてほしいと思いますが、管理側にも大人の事情があるのでしょう。場所を占有するのがいけないと言っても、人が立っているだけでもその場所を占有することになりますから、手持ち撮影であってもずっと立っていたら三脚を据え付けるのと同じくらい罪深いことです。極論すると、人間の存在自体が邪魔なのですから。
問題は譲り合いの気持ちがあるかどうかだと思います。通路では、人が歩いて来たら三脚はすぐにたたむとか、近くに人が立っていたら場所を譲るとか、そういった常識的なマナーが実行されていれば問題は少ないように思います。一部のヌシたちが通路を独占して、「お前らがよけろ」という態度をとることが問題なのです。

野鳥が好きで、きれいな写真を撮りたいという想いは共通なはずなので、譲り合いの精神をもって、極力場所を占有せず、撮影は自然の光景の一部を記録させていただく、という謙虚な考えで楽しみたいものです。
自分もジジイの一員として、時に客観的な視点で自分の行動を見直してみる必要があるようです。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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