画期的な一脚

30代の頃は星見に夢中でした。ある日、口径25㎝の望遠鏡を車の後部座席に積もうとして、変な体勢になり、ぎっくり腰になってしまったことがあります。結構ひどく、杖がないと歩行もままならないくらいでした。

そろりそろりと歩きながら、近くのデパートに杖を買いに行ったのですが、あなたの身長に合う杖はありません、と言われてしまいました。そこで思いついたのが一脚です。再びそろりそろりとカメラ店に行き、一脚を買ってきました。体重をかけても大丈夫なように、横からレバーでかしめるマンフロットの意外と値が張る良い一脚です。杖と違って上がT字型などになっていませんが、ストラップが付いているので、いくらか歩行は楽になりました。それが最初の一脚です。

その頃は撮影であまり一脚を使う用途は無かったので、ぎっくり腰が治った後は眠らせていました。
時はめぐって野鳥撮影が仕事になると再び一脚が日の目を見ることになります。自分の撮影スタイルは基本的には手持ち撮影にこだわっています。機動性が高く、動き回る野鳥に対応できるからです。しかし、夕方や、暗い森の中などで感度が上がりすぎてしまう場合は、手持ち限界以下にシャッター速度を落とさなければならないことがあります。そう言うときに一脚の出番があります。

キビタキ:500mmF4E FL+1.4倍テレコン:開放:1/60s:一脚使用
薄暗い森の中で突然目の前にキビタキがとまりました。瞬時に一脚を
伸ばして、シャッター速度を限界まで落として何とか撮れました。

写真のブレはほとんどがミラーやシャッターによる縦のブレなので、一脚を使うだけでかなり防ぐことができます。
仕事写真では、感度を可能な限り低く抑えたいので、暗い森の中などでは、500mmに1.4倍のテレコンを付けた状態で、1/60秒位まではよく使います。さすがに35mm判換算1050mm相当で1/60秒での手持ちは成功率が低いので、一脚の出番となります。ちょっと支えがあるだけで歩留まりがかなりアップするのです。被写体ブレは防げないので落ち着きがない鳥の場合は1/100~1/200秒位が限界ですが、あまりちょこちょこ動かない鳥は1/100秒以下に落としても撮れる確率が高くなります。

野鳥撮影は一瞬が勝負なので、一脚は必要なときに瞬時に使える長さに伸び、普段は邪魔なので瞬時にコンパクトになるものが理想です。一脚はすべて数段に別れた伸縮式のポールですが、その固定方法は様々です。一段毎に横からレバーでかしめるもの、リングを回してかしめるものなどが主流です。しかし、普通はどれも一段毎に固定するため、結構時間がかかります。使おうと思って伸ばしているうちに鳥はいなくなっています。

ぎっくり腰の時に買った一脚は、杖としても使える大変頑丈で良い一脚ですが、伸ばすにも縮めるにも時間がかかり、野鳥撮影には使えませんでした。瞬時に伸縮できる一脚はないものか。

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ウルトラスティック BK7

ようやく現在の目的にかなう最高の一脚を見つけました。ベルボン(ビックカメラオリジナル)のウルトラスティック BK7です。ビックカメラとAmazonでしか売っていません。ベルボンのウルトラスティックシリーズは、ポール自体が絶妙な断面形状をしていて、全体を捻(ねじ)ると解放されて自由に伸び縮みでき、逆向きに捻るとその長さで固定されます。畳んだ状態から数秒で使う長さに伸ばせます。段数が何段に分かれていようとロックと解放は一瞬です。7段、8段になると縮小時は大変コンパクトになります。これは素晴らしい発明です。
捻った摩擦で支えているだけなので、三脚の脚だと1か所縮んでしまうと転倒する可能性があるので危険ですが、一脚は基本的にカメラはずっと人が支えているので、危険は少ないでしょう。それよりも利便性が勝ります。

仕様

  • ウルトラスティック BK7 製品仕様
  • 全高:1370mm(伸ばした時)
  • 縮長:255mm(縮めた時)
  • 重量:276g
  • 推奨積載重量:3kg
  • 最大脚径:27mm
  • 段数:7段

となっています。機構上、耐加重はあまり高くはなく、推奨は3kgとなっていますが、しっかり捻れば4.5kgほどになるD500+500mm F4 FLを乗せても耐えています。しかし、メーカーの推奨値を超えているので、自己責任でお願いします。私は肩からレンズストラップでレンズをぶら下げているので、たとえ一脚が壊れてもレンズの安全は確保した状態で使用しています。基本的には3kg以下の重量で使うことをおすすめします。

一脚の上面には一般的に雲台などを設置します。自分はマンフロットのゴム雲台(現在入手不可)を付けてその上にアルカスイス互換のクランプとプレートをつけています。

静止画の撮影時は、レンズを一脚に固定しません。上面のプレートにゴムのスポンジを貼り、レンズをその上に乗せるだけの状態で使用しています。速射性を重視するため、クイックシューに固定したり外したりする時間も惜しいのです。
乗せて使うだけであれば、使おうと思ってから一脚を伸展し、カメラを乗せて撮影態勢になるまで数秒ですみます。ブレの多くはミラーブレとシャッターブレ、および人為的にシャッターボタンを押すときのブレなので、すべて縦のブレです。そのため、何かに乗せるだけでもブレはかなりキャンセルされます。レンズのVR機能とも相まって、鳥が静止していれば1/60秒程度でもブレずに撮影できてしまいます。

ゴムを貼ったプレートを外すと普通のアルカスイス互換のクランプになっているので、動画撮影用のカメラなどを取り付けて使用することもできます。

使い終わったらまた数秒で片づけられるのもポイントです。手持ち撮影の時は一脚は邪魔なので、縮めてすぐにリュックの紐にぶら下げられるようにカラビナを付けています。

これで人に迷惑をかけず、使いたい時にさっと出して使って、すぐにしまえるようになりました。

基本が手持ち撮影で、シャッター速度が遅くなってしまう場面など、限定的に一脚を使うスタイルの人にはお勧めの一脚です。

注意点

推奨積載重量を超えているためと思いますが、ロックするときは、比較的強く回さないと途中でずるずると縮んでしまうことがあります。特に重いセットを乗せる場合はご注意ください。強く締めるようにすれば問題ありません。

本体ポール部分はアルミ合金です。カーボンではないので、見た目よりも重く感じるかもしれません。しかし、次に紹介するカーボン製の新製品よりも小型で重量も軽く作られています。

カーボンタイプがついに登場

待望のカーボン製のウルトラスティックが登場しました。UCスティックR60です。耐加重が4kgとなり、見た目も頑丈そうになりましたが、少しだけ大きく、かつ、重くなってしまいました。しかし、瞬時に伸縮できる利便性は同じなので、3kg以上のセットを使っている場合はこちらをおすすめします。
カーボンという響きと、あの独特な炭素繊維の織り込みパターンが男の子の心をくすぐります。

UCスティックR60
ベルボンのウルトラスティックシリーズにカーボンタイプが登場しました。 UCスティックR60 です。 重さ315gでちょっと重くなり、縮めた時の長さも365mmで少し長くなっていますが、剛性が増したようで、推奨積載重量 は4㎏になっています。見た目も頑丈そうです。重い望遠レンズにはこちらの方が良いかもしれません。
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