AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRに2倍テレコンTC20E-IIIは使えるか

普段、野鳥撮影では500mmF4FLにTC-14E-IIIを付けて使用していますが、特に拡大したい時のためにTC20E-IIIはいつも持ち歩いていました。F4に2倍テレコンをつけるとF8になってしまい、D500でもAFが微妙になってしまいます。また、暗くなるのでシャッター速度を遅くするか、感度を上げないとなりません。必然的に歩留まりが悪くなったり、画質が悪くなります。十分な光量があるシチュエーションで、動かない鳥を撮る場合のみの使用に限定されます。

先日、隣で家内がカイツブリの子育てを500mmF5.6PFで撮影していたのですが、もう少し雛を大きく写したいと言われ、試しに2倍テレコンをかませてみました。そういえば、500mmPFでテレコンは試したことがありませんでした。ならば無理を承知でやってみましょう。

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35mm判換算1500mmF11相当

家内が現在使っているシステムはZ50にFTZを挟んで500mmF5.6PFを付けています。FTZとレンズの間にTC20E-IIIを挟んでみました。DXフォーマットなので、35mm判に換算すると1500mmF11相当となります。
さすがにF11になるとAFは遅くなりますが、思ったよりもスムーズに合焦します。撮像面の位相差AFではなく、コントラストAFが優位になっていると思いますが、その分、ピントの精度は高いようで、D500 + 500mmF4FLで使用するよりも良く写ります。
しかも、テレコン分重くなるだけで、元が軽いので扱いは大変楽です。

何より、F11というかなり暗い開放F値にもかかわらず、ファインダーが暗くならず、ピントも構図もよく見えるところが目からウロコでした。一眼レフでは暗いレンズを使うとファインダーも暗くなり、ピントの山も見えなくなります。このあたりはミラーレスの恩恵です。

画質

もちろん、単体で使用するよりも画質は落ちますが、今まで一眼レフとの組み合わせで使った時よりも遥かに写りが良いように思います。一眼レフではテレコンを入れたセットでAFの微調整を行わないと、どこかピントが甘くなったような描写になるものです。ピント微調整は撮影距離によっても異なるので、どんなに追い込んでも距離の変化によっては甘い画像になっていたのでしょう。ところが、ミラーレスでは、テレコンを入れた場合でも像面位相差AFやコントラストAFが功を奏して一眼レフでの使用よりも高精度でピントが合うのではないでしょうか。開放F11では到底無理だと思っていましたが、Z50は頑張ってAFで何とか合わせてくれます。正直、期待以上の写りで驚きました。

もちろん、焦点距離が2倍になり、F値も暗くなってシャッター速度が遅くなるので、細心の注意でシャッターを押す必要がありますが、AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRの手振れ補正はかなり優秀で、手持ちでも歩留まり良く写せました。家内のカメラは現在絞り優先モードでシャッター速度の下限が1/200sだったので、感度がISO 2000前後に上がってしまいましたが、マニュアルでシャッター速度をもっと落とし、一脚を使えばより高画質になるでしょう。十分な明るさがある被写体では仕事にも使えるレベルに追い込むこともできそうです。

参考にいくつか掲載しておきます。

作例

以下すべてAF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRに2倍テレコンTC20E-IIIを装着し、FTZを介してZ50で撮影した画像を横幅800ドットに縮小したものです。

上の写真の部分拡大
解像感は多少失われていますが、ピント精度は大変高い。

ボケも素直だと思います。

元来MTF曲線が天井に張り付いているようなレンズですから、2倍テレコンを使っても像の悪化は許容範囲なようです。
明るく、あまり動かない鳥をじっくり撮る余裕がある場合限定ですが、ダメもとで使ってみたら、予想以上に使えた、という報告でした。

追記

読者の方から何件か質問をいただきました。テレコンを使ってF8より暗くなるとAFは使えないのではないかと。
同様な疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますので、ここに記しておきます。

AFにF8の縛りがあるのは一眼レフのみです。一眼レフは位相差検出方式のAFモジュールでAFを行うので、レンズのF値はAFの可否や速度、精度に影響を及ぼします。機種によって異なりますが、Nikonが実用可能と認めているのはF8までとしています。しかもすべてのフォーカスポイントではなく、多くは中央付近の何点かのポイントのみの対応となっています。それ以外はF5.6よりも明るいレンズが推奨されています。
実際F8より暗いレンズで試してみると、被写体のコントラストや環境の明るさなどによって異なりますが、まったく合焦しなかったり、何事もなく合焦したりと、挙動は不安定になります。

一方、ミラーレス一眼は撮像面で位相差検出とコントラスト検出の2つの方法でAFを行います。位相差検出ができる条件では位相差検出でAFを行い、微調整や位相差検出ができない条件ではコントラスト検出でAFを行っているようです。位相差検出ではどちらにピントがずれているか分かるので、高速にAFが行われ、コントラスト検出方式は遅いかわりに高精度でAFが行われると言われています。
ミラーレス一眼は位相差検出とコントラスト検出のハイブリッド機構でAFを行うため、ボディの仕様表にAFを行うためのレンズF値の条件は書かれていません。F8より暗いレンズでもAFは動作します。
ただ、F値が暗くなるほどコントラスト検出の比率が高くなるので、AF速度は遅くなります。

AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRの開放F値は5.6ですが、1.4倍テレコンTC14E-IIIを付けると1段暗くなるので、700mm F8相当となります。2倍テレコンのTC20E-IIIを付けると1000mm F11相当となります。F8まで対応の一眼レフでは、1.4倍テレコンでギリギリAFができるかどうかというボーダーです。2倍テレコンではF11になってしまうので、ボディのスペック上はAFできない暗さとなります。実際、F8でもフォーカスポイントの制限が出てしまうので、一眼レフとこのレンズの組み合わせでAFを使いたい場合、テレコンはおすすめしません。
ただし、元の素性が良く、光学性能的にはある程度はテレコン使用に耐える性能なので、マニュアルフォーカスで使うことが前提であれば使えないことはありません。

ところが、Z50などのミラーレス一眼ではTC20E-IIIを付けた1000mm F11相当でもAFは作動します。この暗さだとおそらくコントラスト検出になっていると思いますが、AFは普通に動作します。さすがにAF動作は素早いとは言えませんが、一昔前のビデオカメラと同等です。それほどストレスを感じる遅さではありません。

それよりも一眼レフでF11のレンズを使うとファインダーがかなり暗くなりますが、ミラーレスだと撮れる画像が表示されるので、普通に明るく見えるところが新鮮です。

実用レベルかと問われると、人によって評価ポイントが異なるので、一概には言えません。位相差AF並みの早いAFを求めている人には物足りないでしょうし、暗い分、ブレやすく、感度が上がって画質も落ちます。光学的にも劣化します。
どこまでが許容範囲かは個人差があると思います。個人的には普段はテレコンは使いません。どうしてもより拡大したい場合で、被写体があまり動かない場合のみ稀にテレコンを使う程度です。常用するものではありません。

ダメもとで使ってみたら予想以上に使えた、という個人的なレポートです。最終的な評価はNikonショウルームなどでご確認ください。

ご参考までに。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、出世するのが嫌で退職。現在は大学非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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