世界一細い0.2のシャープペンシル(Pentel orenznero 0.2)

建築屋だったので、1980年代から0.2のシャープペンシルが存在していたのは知っていましたが、0.3でもポキポキ折れて実用的ではなく、 Pentel Graph 1000 For Pro 0.4 を購入した経緯があるので、0.2なんて自分の筆圧では無理だと決めつけていました。
しかし、ぺんてるでは独自に進化させていたようで、2014年にオレンズシステムが発表されます。その後、2017年にはオレンズネロが登場し、その製図ペンライクなたたずまいにかなり魂をグラグラ揺さぶられたのは事実です。
しかし、どこかで0.3の悪い印象があって、試してみることもないまま数年が過ぎてしまいました。文房具マニアとしては失格です。

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オレンズシステム(orenz system)

そんなイメージだったのですが、たまたま立ち寄った近くの文具店が閉店セールをやっていて、全品3割引きセールをやっていました。そこで遅ればせながらはじめて0.2を手に取りました。芯を出さずに書くという、今までの既成概念を捨てた新しい発想のもとに開発されたオレンズシステムは、確かに慣れるまでは違和感がありますが、0.2の芯でも全く折れず、すらすらと書けます。ちょっと目から鱗でした。これは素晴らしい。
3割引きの後押しもあって、即購入です。芯も2Bまであるので、2Bの芯も一緒に。

ぺんてるすごい

35年愛用しているGraph 1000 FOR PROもぺんてるですが、この会社のこだわりと技術力の高さはぴか一です。まず、0.2の芯は、ぺんてる以外未だにどこも製造できません。ぺんてるだけの技術です。したがって、0.2のシャープペンシルもぺんてるしか作っていません。どれほど需要があるのか分かりませんが、ぺんてるの独占販売です。
今はCADの時代なので、0.2のシャープペンシルで図面を描く人はあまりいないとは思いますが、シャープペンシルフリークな方々は、使わなくてもこれは買うでしょう。だって0.2ですよ。しかも折れずに普通にスラスラ書けるのです。筆箱に0.2のシャープペンシルが存在するだけでニンマリできます。

オレンズネロ(orenznero)

ぺんてるの開発者はマニアの心をとらえる天才です。形といい、重さといい、バランスといい、色といい、大変良くできています。図面の用途は少なくなっていると思いますが、それ以外のアーティストや細かい数字を扱う会計の分野などでも使いやすいのではないでしょうか。とにかく、普段使いできる0.2のシャープペンシルです。

ちなみに、orenznero という名前はアルファベットで回文になっています。前から読んでも後ろから読んでもorenzneroです。折れないという意味を込めた「折れんず」と黒を意味する「ネロ」の合成で、さらに回文にしているこだわりが素晴らしいと思いました。

先端

はじめは違和感ありますが、芯は常時パイプに覆われています。後ろを一回ノックするとパイプが飛び出るので、そのまま書きます。0.3や0.5だと、ここからさらにノックしてパイプからちょっと芯を出して使いますが、オレンズシステムの場合は芯が減ると同時にパイプが引っ込み、持ち上げた時に芯とともに元の長さに出ます。そのため、芯は常に一定の長さに保たれていて、ノックする必要がないのです。というか、ノックして芯を出してはいけません。何もせず、そのまま書き続けられます。革命的です。

先端の超マクロ撮影をしていたら、ブンチョウがつっつきにきました。細い尖ったものが大好きです。芯が常にパイプでカバーされているので安全です。

こんなに小さな字が書けます。手前は楊枝のコケシです。もう老眼で見えないので、心眼で書いています。米粒にもきっと書けます。
だから?とは聞かないでください。

クリップ

さすがぺんてる様は分かっていらっしゃいます。一生使うことに決めたGraph 1000と同様、クリップは着脱式になっています。昔の建築屋はペンを回しながら使う癖がついているので、クリップがすこぶる邪魔なのです。すぐに外しました。すっきりです。

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オレンズネロ 0.2
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Pentel orenznero 0.2 衝撃的な0.2のシャープペンシルです。
そんな細い芯じゃ折れて書けないだろうと思うと大間違いです。
筆圧が高い私でも折れずにすらすら書けます。若干癖がありますが、画期的です。
何より0.2を一般レベルで使えるようにしたオレンズシステムのお蔭です。

家内に見せたら、なんと私も欲しい、と予想外の反応でした。筆記具マニアのダンナに付き合うのに嫌気がさしていると思っていましたが、ポジティブな反応だったので、さっそくもう一本購入しました。何に使うのかと思ったら、教科書やプリントに書き込むためでした。塾講師をしているのですが、英語、国語、古文、漢文を教えています。英文や古文では行間に意味を書いたり、漢文には返り点や読み、意味などを書き込むのに細いシャープペンシルが欲しいと思っていたとのことです。確かに0.2なら行間にたくさん書けます。
そういう職業の人にもおすすめです。

替え芯

ぺんてるの技術が詰まった替え芯です。0.2の芯を製造している、というか、製造できるのはぺんてるだけです。芯がなくなったときに、コンビニに行っても0.2は売ってないので、予備を持っておくことをおすすめします。個人的には柔らかくて濃い方が書きやすいと思うので、シャープペンシルの芯は2Bを使っています。硬めが好きな方はHBかな。いずれにしてもその辺では売っていません。通販でストックを置いておくことをおすすめします。

ポストスクリプト

呼び径直径(mm)
0.2 0.27〜0.29
0.3 0.37〜0.39
0.40.46〜0.48
0.50.55〜0.58
0.70.69〜0.73
0.90.88〜0.92

シャープペンシルの芯の太さはJISで決められています。
右の表のように、0.5のシャープペンシルの芯は、0.55~0.58mmの太さです。実際は0.6mm近いものまで0.5の範囲として認められています。私が愛用する0.4は0.46~0.48mmなので、こちらの方が四捨五入すると0.5に近いのです。0.2に至っては0.27~0.29mmが0.2の芯です。0.5以下は四捨五入ではなく、小数第2桁を切り捨てると呼び径と同じになります。切り捨てで考えましょう。0.7以上は四捨五入でちょうど良いですね。

しかし、ぺんてる様は利用者に誤解を与えないようにという配慮から、商品名の芯の太さを表す表記からすべてmmの表記を外しています。すべて、0.2、0.3、0.4、0.5、0.7、0.9という表記です。シャープペンシル本体も芯も製品名にmmはついていません。こんなところにシャープペンシルの老舗としてのこだわりを感じます。

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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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建築文房具
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