Nikon Z9:ファインダー(EVF)

生まれて初めて実物を見ないでカメラを買いましたが、過去にZ7などを店頭で見てNikonのEVFのクオリティの高さを知っていましたし、天下のNikonがフラグシップとして出す機器に間違いはないだろうと信用していました。
実際使ってみて、40年以上一眼レフを使い続けた自分にもまったく違和感がありませんでした。大変見やすく良く出来たEVFです(個人的感想です)。

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Z9のEVF

約369万ドットのEVFなので、特別に画素数が多いわけでもなく、リフレッシュレートが他社よりも速いものでもありません。しかし、なぜか覗いた時の印象は大変良いのです。おそらくNikonの技術陣が細やかな調整を行い、一眼レフユーザーが違和感なく使えるように心血を注いだ結果なのでしょう。

一眼レフユーザーが一番気にしているのはEVFのタイムラグだと思います。野鳥の飛翔写真は仕事の一部なので、Z9に移行して飛翔写真が撮れなくなったら致命的です。
しかし、両目を開けてレンズ前で高速に手を振っても認識できるようなタイムラグは見受けられません。
スポーツ写真など、よりシビアな追及をするカメラマンには不満点も出てくるのかもしれませんが、野鳥の飛翔写真レベルであれば、今までD500で撮影していた状態と変わりなく使えます。D500はOVFなので見ている映像は原理的にはタイムラグはありません。Z9はセンサーで読み込まれた映像を処理してEVFに表示するので、どんなに処理速度が速くてもゼロではありません。しかし、使ってみると少なくとも野鳥撮影で使う上では一眼レフと遜色なく、表示のタイムラグは感じられません。

Z9のEVFのすぐれた特徴は、EVFへの出力と撮影画像の記録が2系統に分けられていて、撮影中のファインダー像の消失がないことです。これも他社と比べたわけではありませんが、今まで使っていた一眼レフと比べてブラックアウトがないということはアドバンテージです。一眼レフの場合は、連写すると、ファインダー像が点滅状態になり、動体を追いかけるのが困難でした。ブラックアウトフリーのEVFは連写中もずっと像が見えているので、動体は一眼レフよりも追いやすくなったと感じています。

一眼レフからの移行

ミラーレスを段階的に使っている人と、一眼レフから移行した人で反応は違うと思いますが、一眼レフを使い続けた人は目から鱗かもしれません。レンズのF値が変わっても、ファインダーは適正露出で明るく見えます。F1.4のレンズをつけても、F8のレンズをつけても、適正露出に設定してあれば同じ明るさに見えます。また、当然のことですが、明るい日中でも、薄暗い夕方でも、同じ明るさに見えます。このあたりは、EVFの特徴であり、Z9の特別な機能ではありませんが、一眼レフを長年使い続けてきて、EVFのカメラに移行したときに一番とまどうことかもしれません。一眼レフでは暗いレンズをつければ画面は暗くなり、夕方になればファインダーは暗くなりました。EVFは表示モードによりますが、常に撮影結果を反映する表示で使うことが多いと思いますので、一眼レフの経験が長い人ほどEVFの驚きは大きいと思います。しかし、それはマイナスポイントではなく、その利便性の方が勝ってきます。

Z9のファインダー内情報表示

一眼レフ時代から、OVFでもフォーカスポイントや構図の補助線など、様々な情報を画面とインポーズして出力できましたが、表示内容は限られていました。しかし、EVFはデジタル映像なので、それこそなんでも表示できます。あまり表示すると本来の映像が見にくくなってしまうので本末転倒ですが、状況に応じて表示する情報を選択でき、大変便利になりました。一般的な撮影データのみならず、カメラの傾きやヒストグラムまで表示できます。

個人的には撮影する像を主に見ながら撮影するので、ファインダー内の情報は邪魔にならないように、絞り、シャッター速度、ISO感度、補正値を表示させる程度で使用しますが、補助線や傾き表示、ヒストグラムなどは落ち着いてじっくり構えて商品撮影、建築物、風景撮影などの撮影では重宝すると思います。

なお、シャッター速度や絞り値、ISOなどの基本情報は、上のサンプルでは映像の上に重なって表示されていますが、実際のファインダー像は撮影範囲の映像の外に表示され、映像が邪魔されないように配慮されています。HDMIの出力は重なって表示されます。実際の見え方は実物を覗いてみられることをおすすめします。

露出

EVFというか、ミラーレスカメラの最大の利点は、個人的には露出の反映だと思っています。一眼レフはレンズを通して撮影するものがそのまま見えるという素晴らしい発明でしたが、唯一、撮影するまで露出の過不足がわからないという重大な欠陥がありました。それを克服するためにカメラマンは経験値を積み、光線の具合や背景の明暗に応じて露出を補正する能力を身に着ける必要がありました。
ミラーレスカメラは撮るものが見えるのではなく、撮った結果が常に見えているようなものです。これによって、一眼レフ時代の露出の失敗はなくなりました。どんなに優秀なカメラマンでも、一眼レフ時代は露出の失敗が必ずあるものです。「あと1/3段アンダーにすべきだった」とか、「思ったよりも背景に引きずられて飛んでしまった」といった失敗は日常茶飯事です。そのために経験を積んだり、歩留まりを上げるためにブラケッッティングによって失敗をできるだけ回避することをしていました。

背景の水面が暗い時のコサギ
一眼レフの場合は経験と勘で白飛びしないように露出補正をする必要がありましたが、ミラーレスではファインダー像を見ながら直観的に露出補正ができます。白飛びしている場合はファインダーでも白飛びして見えるので、露出の失敗はなくなります。

ミラーレスカメラでは露出不足は暗く見え、露出過剰は明るく見えるので、直観的に露出補正ができます。露出の反映が見られるのはZ9だけの特権ではありませんが、露出の過不足を正確に再現して撮影者に伝達するためには諧調が豊かで自然な見え方がするZ9のEVFは有利であると言えます。一般的には背景の明暗や被写体の画面に占める割合などに応じて、経験と勘で露出を調整する必要がありますが、Z9ではファインダー像を見ながら直観的にダイアルを回すだけで適切な露出に調整することができます。露出過不足による失敗が圧倒的に少なくなりました。

レリーズタイムラグ

レリーズタイムラグはEVFの性能とは関係ないかもしれませんが、撮影者の感覚としては見ているものが撮れるという意味で一眼レフと同等な能力を実現していると思います。一眼レフではファインダー像にタイムラグがなくても、撮影時はシャッターボタンを押してから絞りを作動させ、ミラーを跳ね上げ、それからシャッター先幕が動き始めるという動作があります。一方、Z9の場合はミラーもメカニカルシャッターもないので、レリーズタイムラグについてはシャッターボタンを押してから露出を開始するまでの時間は短いと思われますので、EVFのタイムラグと相殺されて瞬間を切り取る能力は、感覚的に一眼レフと遜色ない気がします。
この辺りは正確に測定したわけではないので、一概には言えないと思いますが、一眼レフより遅れるとか、タイムラグを感じたことはありません。

予想外のEVFの利便性

ミラーレスカメラに移行するまで、EVFのメリット・デメリットは撮影時を想定して考えていましたが、再生時にその優位性を発揮できることを知りました。これは目から鱗でした。
自分は近眼ですが、カメラや顕微鏡を扱う仕事の時はコンタクトレンズを使用します。眼鏡はアイピースを覗くのに邪魔だからです。もちろん遠くの鳥が見えるように度数を調整しています。すると、老眼でもあるので、ピントの調整範囲が狭く、遠くはよく見えますが、背面の液晶が見えないのです。
一眼レフの時代は撮影した画像のチェックは背面の液晶でしかできませんので、細部が良く見えません。白飛び警告表示にしていたので、白飛びは分かりますが、老眼だと液晶でピントチェックはできないのであきらめていました。
ところが、ミラーレスカメラは、ファインダーで撮影した画像を閲覧できるのです。ファインダーはもちろん、コンタクトレンズを使用した視度に合わせていますから、再生画像も細部まではっきりくっきり見えます。これは嬉しい発見でした。お年寄りには朗報でしょう。
これは発売当時からZ50を使っている、同じく老眼の家内に教えてもらいました。カメラを変な方向に向けて覗いているので、「何撮ってるの」と聞いたら「いや、撮った画像みてるの」と言われました。長年ミラーレスを使っている人には当たり前なのでしょうが、一眼レフから移行した人には新鮮な使い方です。こんな便利な使い方があったのかー。素晴らしい。
それ以降、背面液晶はほとんど見なくなりました。画像のチェックも、メニュー設定もファインダーです。撮影して、構えたまま再生ボタンを押せばそのまま画像チェックでき、シャッター半押しで瞬時に撮影モードに戻るので、無駄な動作がなくなります。

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DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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