紫金山・アトラス彗星:速報

近日点通過後の状態が気になり、紫金山・アトラス彗星(ツーチンシャン・アトラスすいせい)を撮ってきました。
根性がないので、日の出前に見えていた頃は撮影しに行こうとも思いませんでした。夜型人間なので、夕方から見えるようになる12日以降です。
ネクラな天文少年だった頃のワクワク感を思い出しました。

なお、画像はトーンカーブ調整やノイズ除去等の処理を行っています。

紫金山・アトラス彗星

2024年10月12日

野鳥撮影の帰り道に探索しましたが、地平付近が雲に覆われ、観察不能でした。

2024年10月13日

いつも野鳥を撮影するフィールドで西が開けている丘があったので、日没から薄明まで待って撮影しました。野鳥用のハチロクサンの他、彗星撮影用にNIKKOR Z 24-120mm f/4 S と念のため明るめの Leica SUMMILUX-M 1:1.4/50 をリュックに詰めて持っていきました。ただでさえ重いのに、今日はぐっと腰にきました。ボディはZ9です。

24−120mmでも彗星撮影はさすがに手持ちは無理なので、できるだけ軽い小型三脚を持っていきましたが、へなちょこなのであまり役に立ちませんでした。リモコンを忘れたので、後で見たら結構ブレていました。

期待通り明るい彗星になってくれたようです。肉眼でもばっちり見えました。

NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

広角端24mm
肉眼よりもいささかよく写っていますが、ほぼこんな感じです。彗星のコマの位置は、金星よりもやや低い高度です。
背景の山は丹沢山系です。
70mm
まだ高度が低いのでどうかと思いましたが、思っていたよりもはっきり見えます。運よく雲がなかったので全貌を写すことができました。
120mm
暗くなると見やすくなりますが、それにつれて高度が下がるので大気の影響で見えにくくなります。14日~16日あたりの方が好条件でしょうか。それよりもこの手の淡い天体は天候やシーイングの影響の方が大きいので、神頼みになります。

Leica SUMMILUX-M 1:1.4/50

24-120のF4では暗いかと心配になってF1.4の本レンズも持って行きましたが、フィルム時代の古い設計のためか、ゴーストがかなり多く、コントラストが低下してしまいました。彗星撮影にはあまり向かないようです。

2024年10月14日

関東に住んでいるので、やっぱり背景(というか本当は前景ですが)は富士山にしたいですね。
彗星は13日よりも高度が上がって、金星の仰角よりもやや高い位置です。

NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

日の入り頃:彗星はまだ見えません。きれいな夕焼けになりましたが、夕焼けがきれいと言うことはガスや雲が多いということなので、シーイングはあまり良くない兆候です。厚い雲ではないだけでもラッキーと思います。
39mm:少しカスミがかかっていて、町明かりがかなり邪魔です。でも肉眼でばっちり見えました。
左端の輝点が金星です。金星を目印に探すとすぐに見つかります。13日は金星よりも低い位置でしたが、14日は金星の高度よりもやや高い高度です。これからどんどん高度が高くなる一方、遠ざかるので小さく、暗くなってしまいます。
36mm:空が暗くなり、彗星がはっきりしてくると、富士山が薄くなってきます。両方ばっちり写すのは困難です。
120mm:思ったよりも尾は伸びています。Z9のファインダーは優秀なので、肉眼で見るよりもよく見えます。
77mm:高度が低くなり、雲もでてきたのでこのくらいで撮影限界です。

NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

14日は同じく天文少女だった家内も連れて行きました。彼女のZ8だとセンサーはZ9と同じで面白くないので、彼女が以前使っていて今は私の顕微鏡カメラとして活躍してくれているZ50にNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRを装着して渡しました。
なんと、くやしいことに彼女が撮った写真の方がきれいに写っていました。ちゃちな三脚なのでブレていますが、高感度耐性が圧倒的に良いZ50の方が彗星のような淡い天体を撮るのには向いているようです。
恐れ入りました。

28mm:DXフォーマットなので、42mm相当です。彗星も富士山もきれいに捉えられています。

Z50やそこから派生したZfcが未だに現役で人気機種なのが分かります。感度を上げてもノイズが少ない大変良いセンサーだと思います。

2024年10月15日

14日の条件があまり良くなかったので、リベンジに行きました。結果、15日も薄い雲が出ていて、14日の方が良かったようです。明日から天候が優れないようなので、15日がラストチャンスかもしれません。

重い三脚は持って行きたくなかったので、チャチな三脚+リモコンにしました。ミラーレスなので、触りさえしなければ軽いへなちょこの三脚でもまったくブレずに撮影できます。最終的に4秒くらいの露出を使いましたが、問題ありませんでした。
Z9のリモコンは結構面倒で、ワイヤレスリモートコントローラー WR-R11aとワイヤレスリモートコントローラー WR-T10が必要です。他のカメラで使えているWL-L7はZ9やZ8には対応していません。

NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

広角端24mm:一番星の金星が見えはじめました(左端下方)。彗星は画面中央やや左あたりにあるはずですが、まだ見えません。
42mm:18時過ぎには肉眼でも見えます。左下の輝点は金星、右下にうっすら富士山が見えます。金星の高度よりもずいぶん高くなりました。
絞り f4、ISO 1000、露出 1.6秒
51mm:薄い雲が多かったのですが、雲よりも明るい長い尾が確認できます。
望遠端120mm:コマがずいぶん明るいのが分かります。人工衛星の直線状の輝線がたくさん写りこんでいます。
開放 F4、ISO 1000、露出 4秒

2024年10月16日-18日

仕事や悪天候で撮影断念。

総評

都会は光害によって空が明るいので彗星の撮影には限界があります。空が暗い地域ではよりはっきりと見え、徐々に暗くなる尾の先端まで移しとれることでしょう。
それでも座間市や江の島で肉眼で見えるほどの大彗星になってくれました。期待以上でした。次に戻ってくるのは8万年後のようなので、一期一会です。

星などの暗いターゲットを撮影するとき、Z9の「スターライトビュー」の機能が重宝します。露出などの反映はされなくなってしまいますが、一時的に昼間のように明るく表示することができるので、構図を決めたりピントを合わせるのに大変便利です。自分はファンクションキーに割り当てて、ボタンを押すだけでオンオフを切り替えられるように設定しています。
スターライトビュー時はファインダーでもモニターでも彗星の尾まで良好に見えます。ピントを合わせ、構図を決めたらスターライトビューはオフにするのを忘れないようにしなければなりません。露出決定はオフの状態で行います。

星を撮る人のために、ご親切にも「赤色画面表示」なる機能もあります。暗闇に慣れた目でメニューなどを見るとせっかく暗順応した目が解除されてしまうので、すべて赤色表示にする機能です。自分だけではなく、周りの方々への配慮にもなります。
しかし、今回の撮影場所は街灯もあって十分に明るく、他に彗星を撮っている人もいなかったので使いませんでした。

Z9は何だか至れり尽くせりの不思議なカメラです。野鳥を撮っているときは鳥撮り人用に開発されたのではないかと思うほど機能を発揮する一方、彗星を撮ろうと思ったら星撮り人用に設計されたのではないかと思う機能が満載です。万能性にちょっとビックリです。

ミラーレスであり、かつメカニカルシャッターレスであるZ9、Z8は超望遠撮影や顕微鏡撮影で威力を発揮しますが、星野写真の長時間露出時にも効果的です。一眼レフ時代はミラーアップしてもシャッターブレが発生したので、黒い紙でレンズを塞いだり、レンズキャップを使って露光制御をしたものですが、Z9、Z8はミラーもシャッターもないので、絞り開放では絞り機構も作動しないので完全なる無振動撮影が可能です。もちろん、他のミラーレスでも完全電子シャッターで使える機種では無振動撮影が可能です。
電波制御のリモートコントローラーがあれば、簡易的な三脚だけでまったくブレない写真が撮れます。しかし、軽いへなちょこな三脚は信頼できないので、カメラストラップは首にかけたまま使いました。

露光中に誤作動するといけないので、手ぶれ補正はオフにしておきます。焦点距離は最長で120mmで、露出も数秒なので、赤道儀などは必要なく、固定撮影で十分です。

画質は高感度ノイズと長秒時ノイズのせめぎあいになりますが、Z9は高感度に弱いイメージがあるので、感度はISO 2000までに抑え、露出時間を長くしました。カメラの長秒時ノイズ除去をオンにしましたので、1コマ撮影するたびに露出と同じくらいの時間でノイズ除去の処理が入ります。日没から薄明終了の明るさに応じてISO 100から2000まで手動でコントロールしました。

最近はPCでのノイズ除去がAIの技術を応用して素晴らしい発展を遂げていますが、はたして高感度ノイズと長秒時ノイズのどちらが除去しやすいのかはわかりません。今回は長秒時ノイズ除去はカメラにまかせて、高感度ノイズをPCで処理しました。
良い時代になりました。
Z9ではじめて彗星を撮りましたが、若い頃、フィルムカメラで苦労してハレー彗星を撮影したときとは雲泥の差です。

中学生の頃に藤井旭さんの「星空の四季」に出会い、自分もこんな写真が撮りたいと思って天体写真を撮るようになりました。しかし、まったく近づくこともできず、挫折したことは言うまでもありません。藤井さんの写真集は今見ても素晴らしい作品ばかりで、フィルム時代にこれだけの作品を作り上げられたことに脱帽です。

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カラーアルバム星空の四季
天体写真をはじめるきっかけとなった藤井旭さんの名著です。
フィルム時代にこれほどのクオリティの天体写真を撮られていたことに脱帽です。1970年代の出版なので、かれこれ50年ほど前ですが、今見ても新鮮で素晴らしい写真集です。
もう廃版となっていますが、古本でも見つけたらおすすめします。自分が持っているのは箱入りのハードカバー本ですが、ペーパーバックもあるようです。

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カメラ関連




Nikon Z9


Nikon Z 9 ボディ

野鳥撮影にも最強のパフォーマンスを発揮するミラーレスフラグシップです。被写体検出機能で野鳥も認識して目にフォーカスを合わせてくれます。本格的に野鳥撮影をする方にはおすすめです。
FTZ-IIを介して今までのFマウントの超望遠レンズも問題なく使えます。ZマウントのNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sとの組み合わせは5.5段のVRが効き、800mm(DXで1200mm)ながら手持ち撮影が可能になります。




Nikon Z8


Nikon Z 8 ボディ

Nikon Z9の縦位置グリップをなくして小型軽量化を実現したカメラです。
Z9の機能をほぼそのまま継承しているので、野鳥撮影にも最適です。もちろん、鳥を認識して目にフォーカスを合わせてくれます。縦位置を多用しない方にはおすすめです。
重さもZ9の1340gからZ8は910gと軽量化されています。フィールドで持ち歩くには最適で、女性にもおすすめです。
特に小型軽量のロクロクサンことNIKKOR Z 600mm f/6.3 VR Sとの組み合わせは野鳥撮影セットとしてイチオシです。




Nikon Z 50

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Nikon Z fc シルバー

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Nikon Z fc ブラック

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Nikon Z 50 ボディ

DX(APS-C)フォーマットのミラーレスカメラです。フルサイズよりも小型のセンサーなので、望遠やマクロ撮影に有利になります。
また、小型軽量(530g)で持ち運びが楽です。入門用と思われがちですが、画像は2千万画素以上の出力が可能で、静止画も動画も仕事にも使えるレベルの素晴らしい画質です。

姉妹機にZfcが登場しました。中身はZ50と同等ですが、外観はクラシカルでダイアルによる操作が楽しめます。




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Nikon バッテリー室カバー BL-7

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