Nikon Z9:ファームウェア Ver. 3.00(動体撮影-01)

Nikonの公式サイトにはVer. 3.00のAFに関するものとして以下の項目が記されています。

  • オートフォーカスのピント精度を向上しました。
  • オートフォーカスの低輝度性能を向上しました。(低輝度限界を 0.5EV 向上)
  • [3D-トラッキング]使用時に被写体の手前を横切る障害物に対してのピント乗り移りを低減しました。
  • [3D-トラッキング]使用時に[AF時の被写体検出設定]を[動物]に設定した際の性能を改善しました。
  • [ワイドエリア AF(S / L / C1 / C2)]、[3D-トラッキング]、[オートエリアAF]に設定して被写体を検出しているときに、ピントが背景に張り付いてしまうことがある現象を改善しました。
  • フォーカスモード を MF 以外 に設定していた場合でも、フォーカスリング操作時において、フォーカスピーキング、フォーカスエイド、フォーカス距離指標を表示するようにしました。また、フォーカス距離指標の表示時間を変更しました。

この中で個人的に注目したのは、動物の検出性能の改善と、ピントが背景に貼りつく現象の改善です。まさにVer. 2.xxで問題点として指摘されていた部分です。

今まで様々な動物でテストしてきましたが、動物種によって検出率はまちまちです。瞬間的に目を検出することもある一方、全く被写体として認識してくれないこともあります。もっとも、Nikonは公式には犬、猫、鳥としか明言していないので、他の動物種が検出されないのは当然なのかもしれませんが、その割には他の哺乳類や爬虫類、両生類さらにはぬいぐるみまできっちり目を検出することもあるので、なかなか動きが読めません。また、鳥でも鳥種によって得手不得手はあるようです。

野鳥撮影では、概ね被写体を認識して、目が見えている場合は目を検出してフォーカスポイントを設置してくれます。

しかし、飛翔中の被写体認識は比較的弱かったようで、空バックでもなかなか合焦しなかったり、一度合焦してもなぜか突然ロストして、前後の探索が始まってしまうことがよくありました。

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Ver. 3.00

飛翔中の野鳥の合焦率はずいぶんと上がったようです。ドットサイトでいいかげんに狙ってもかなりの割合で撮れています。

実際はどのようなアルゴリズムの変更があったのかわかりませんが、使用した感じでは、以前のファームウェアではちょっと外れるとすぐに前後の探索に移行していたものが、周りを探索して粘ってから探索しているようなイメージです。

次の動画は、Z9のファインダー像を 1920×1080 30pで記録したものなので、動体を追っているときのイメージはあまりよろしくありません。実際のファインダー像はもっと滑らかで見やすい像です。

手ブレ補正ノーマルのままの撮影だったので、センタリングの動作が大きく、ターゲット追尾が困難でした。スポーツモードもしくはオフにすべきでした。1200mm相当の画角なので手持ちで追うのは自分の技術では限界に近いかもしれません。
何とかファインダーからは外さないように頑張りましたが、ワイドエリアLの範囲は外しまくっています。それでもAFは外すことなく、飛翔中のターゲットを追尾しています。以前のバージョンではすぐに前後の探索に行って戻ってこないという現象が起きましたが、バージョン3.00では改善されています。

Ver. 2.xxでは、空バックでも時折AFがどこかへ行ってしまうことがありましたが、Ver. 3.00からはその心配はなくなりました。空バックであれば、画面のどこかにターゲットがあればほぼ合焦してくれます。
動きが速くても問題ありません。こちらの技術が追い付かないだけで、カメラはきちんと仕事をしてくれます。
背景がある状況を待って撮影:もちろん外すこともありますが、以前よりもだいぶ改善されているようです。
かなり複雑な背景でも引きずられることなく、ターゲットを追い続けています。
以前だったら背景に貼りついていたシーンですが、頑張って食い付いています。
飛翔写真で個人的に一番難しいと思っているのは、ヒヨドリやセキレイ系の波状飛行する鳥たちです。ハクセキレイなんかは波状飛行する上に白黒です。
今回のテストでヒヨドリは何とか撮れましたが、ハクセキレイは全滅でした。もう少し修行が必要です。
乗り物は特に問題ありません。
飛行機やヘリは以前から問題なく合焦します。今回は被写体検出:動物のまま撮影してみました。空バックであれば何でも合焦します。

総評

同じハードウェアなのに、ファームウェアのバージョンアップで簡単に進化させられることに時代を感じます。昔はカメラと言ったら光学とメカの塊というイメージでしたが、現代のカメラの中身はほぼコンピュータなのですね。特にZ9はシャッター機構もなくなってしまったので、物理的に動く部品は手ブレ補正のためにセンサーを動かす部品だけで、後は半導体の塊なのでしょう。

何はともあれ、サービスセンターに持って行く必要もなく、ユーザーが個々にバージョンアップしてカメラを進化させることができるのは素晴らしいことです。

Ver. 3.00はメジャーアップデートであり、大きく進化しています。躊躇している人はいないと思いますが、まだの人にはお勧めします。

完璧か、と問われたら、こと野鳥撮影に関してはまだ80%くらいかな、と答えるでしょう。鳥種や背景との距離、背景のコントラストなどによってAFが乱れることも多々あります。
手前に枝がある時は、以前よりも手前の枝に合焦する確率が増えたように感じます。前のバージョンよりも至近が優先されたような動きです。おそらくそれで背景に貼りつかなくなったのだと思いますが、その弊害のような気がします。

まだテスト中ですが、Z9のハードウェアはまだまだポテンシャルを秘めているように思います。すべてのシチュエーションで完璧な動きをするアルゴリズムは不可能でしょうが、もう少し理想に近づけそうな気がします。次のメジャーバージョンアップでほぼ理想的な動きになるのではないでしょうか。そんな風に思える今回のメジャーバージョンアップでした。

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DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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