Nikon Z9:ファームウェア Ver. 3.00(動体撮影-02)

開けた場所での動体撮影テストを行いました。動体撮影-01で背景がない動体撮影は問題なさそうなことが分かりましたが、背景がある動体撮影はどの程度進化したのでしょうか。今までのZ9の弱点はそこです。

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テスト撮影

カワセミがいたのでテストしてみました。

  • カメラ:Nikon Z9(Ver. 3.00)
  • レンズ:NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S

DXフォーマットで1200mm相当の画角になるので、人間側の動体の追従自体が困難です。もっと練習が必要です。そんなダメな手持ち追尾でもAFはカワセミを追い続けてくれて、フォーカスをきっちり維持してくれていました。被写体をロストしたとしても、フォーカスが完全にどこかへ行ってしまうことが減りました。今までのバージョンではこの部分が弱かったのですが、Ver. 3.00で随分進化したと言えます。
なお、ファインダー像は一瞬で終わってしまうのでデュレーションを2倍に伸ばしています。また、動画の後に貼った静止画はトリミングしてあります。

サンプル画像

様々な鳥種で実験してみました。以前のバージョンから空バックの飛翔写真は撮れていたので、今回はあえて背景があるシチュエーションでテストしています。以前のバージョンでは全滅だったようなシーンでも、ずいぶん撮れるようになりました。
以下の画像は適宜トリミングしてあります。

カワセミ

速度は速いのですが、直線的な飛び方なので、カワセミの飛翔撮影は比較的簡単です。追尾しながら連写すれば誰でも写せるようになると思います。まだ完璧ではありませんが、Ver. 3.00からは歩留まりがずいぶん上がりました。

目にしっかりピントが来ています。

カワウ

比較的ゆっくり飛ぶので、カワウの飛翔撮影も難しくはありません。
しかし、今までのバージョンでは、空バックは問題なくても背景があるシーンでは急に背景に貼りついてしまう現象が起きていました。Ver. 3.00ではがんばって被写体を追い続けていました。

アオサギ

大型でゆっくり飛ぶので撮影しやすいターゲットです。アオサギが飛ぶ姿はまるでプテラノドンのようで大好きです。

目が見えていれば目を追ってくれます。

ハクセキレイ

個人的には、飛翔写真で一番難しい鳥はハクセキレイだと思っています。未だに満足できる写真が撮れません。基本的に波状飛行ですが、それに加えて急旋回など、ランダムな動きが組み合わされます。ファインダーで追える代物ではありません。さらに配色が白と黒であり、黒がつぶれず、白が飛ばないように露出補正も必要です。
うまく撮れないのは明らかにZ9のせいではなく、自分の撮影技術が追い付いていないからです。もっと対峙してハクセキレイの動きを読めるようになればもう少し飛翔写真の歩留まりも上がるかもしれません。

オナガ

かなりうるさい背景での飛翔を狙ってみました。オナガも変則的な飛び方をするので追従は比較的難しい野鳥です。かなりファインダー中央から外れてしまうこともありましたが、AFは背景に引きずられることなく、オナガを追い続けてくれていました。腕がついて行けないだけです。

総評

野鳥撮影のみの評価ですが、Ver. 3.00でようやく一眼レフを超えたと感じました。被写体検出の動物は静体に対しては大変良く働き、その点ではどの一眼レフよりも優れていましたが、動体撮影だけが唯一の弱点で、一眼レフの方が勝っていました。特に空バック以外で、コントラストが高い背景がある場合はAFが背景に持って行かれる傾向がありました。
今回のメジャーバージョンアップでおそらくNikonの一眼レフフラグシップを凌駕したのではないでしょうか。D6は所有していないので分かりませんが、D5と同じAFモジュールを使っているD500よりは成功率が上がった印象です。
まだまだ完璧ではありませんが、ハードウェアには余力がありそうなので、さらなる進化に期待しています。

愚痴

Z9の進化は良しとして、レンズの焦点距離による人側の能力の限界を感じるようになってきました。当たり前ですが、300mm、500mm、800mmと焦点距離が長くなり、画角が狭くなるにつれて、飛翔撮影が難しくなってきました。訓練でどこまで撮れるようになるのか分かりませんが、800mmでの低速シャッターの手持ち流し撮りはほぼ全滅でした。高速シャッターに逃げればブレずに撮れますが、背景も止まったつまらない写真になってしまいます。300mmの頃はもっと楽に背景がブレた飛翔写真が撮れていましたが、800mm(DXなので1200mm相当)ではファインダー内にターゲットを維持するだけでも一苦労です。もう少し訓練してみますが、野鳥の流し撮りはこのくらいが限界に近いのかもしれません。

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全長278mm、重量1470gで、600mmの焦点距離からは想像できないほど小型軽量です。レンズ単体で5.5段、Z9やZ8との組み合わせではシンクロVR機構によって6段分のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると900mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで840mmF9、1200mmF13、DXで1260mmF9相当、1680mmF13相当となります。
最短撮影距離が4mなので、野鳥が近い公園などでは有利となります。

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位相フレネルレンズ採用の通称ハチロクサンと呼ばれる800mmF6.3の単焦点レンズです。
800mmの超望遠レンズとしては驚くほど小型軽量で、全長385mm、重量2385gしかありません。レンズ単体で5段分、Z9やZ8との組み合わせでは、シンクロVR機構によって5.5段のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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