セラミック加工ステンレス真空断熱二重構造タンブラー

仕組みとしてはおそらく100年以上前に発明された魔法瓶に端を発すると思いますが、加工技術が向上したためか近年二重構造のコップが普及するようになりました。これは大変優れた容器であり、冷たいものを冷たいまま、もしくは、温かいものを温かいまま長時間保持することが可能な容器です。
材質はガラス、ステンレス、チタンなどさまざまで、二重構造の内側が空気のものと、真空にしたものがあります。

ガラス製二重構造容器

2000年頃だったと思いますが、最初に二重構造の容器が普及しはじめたときは、ガラス製のものが主流でした。ガラス製のものは中身が見え、見た目に大変美しいのですが、二重構造の内側を真空にすると、割れた時に爆縮して木っ端みじんに飛び散るので一般に販売することはできません。魔法瓶が金属の筒で覆われているのは爆縮対策です。
そんなわけで、ガラスの2重構造の容器は美しさとは裏腹に、二重構造の内部は大気圧の空気なので、断熱効果はあまりありません。しかし、1層の壁よりも断然保温効果はあり、熱湯を入れた容器を素手で持てますし、冷たい飲み物をいれても外側に結露しないなど、多くのメリットがあります。
何よりガラスは口当たりが良好です。

気に入っていくつも買って使っていましたが、いかんせんガラスなので割れます。特にわが家のキッチン天板は石でできているので、不用意にガラスの製品を置くと割れることが多いのです。特に二重構造の容器は壁が薄く作られているのか、気を付けてそっと置かないかぎり、かなりの確率で割れます。出た当時の二重構造のガラス容器は結構高価だったのでショックも大きいものでした。

金属製二重構造容器(空気層)

しばらくするとステンレスやチタンの二重構造の容器が出回り始めました。しかし、最初の頃はガラスと同様、二重構造の間は空気層で、真空ではありませんでした。金属はガラスよりも熱伝導率が高く、二重構造にしたときの断熱効果はガラスよりも低かったでしょう。それでも普通の容器よりも熱いものは冷めにくく、冷たいものはぬるくなりにくい容器として売られていました。ちょっと中途半端な過渡期の仕様でした。しかし、割れることはないので丈夫で長持ちです。

金属製真空断熱二重構造容器

魔法瓶が発明されたころから金属での試作品が作られていたようなので、最近発明されたものではないようですが、製造方法に画期的なブレークスルーがあったのでしょう。最近では携帯用の水筒もオールステンレスの真空断熱二重構造のものが主流となり、家庭で使うコップも真空断熱二重構造のものが大頭してきました。
高級なものはステンレスではなく、チタンです。耐腐食性が高く、金属アレルギーが起きにくく、軽いのが特徴ですが、硬く、加工が難しいので高価になります。真空断熱二重構造に加工するには相当な技術が必要だと思います。

ステンレスもチタンも熱伝導率はあまり変わらないので、断熱効果自体はほぼ同等なようです。双方とも他の金属と比較するとかなり熱伝導率が低いので、どちらも魔法瓶や断熱容器としては優れています。

それでいいのか

しばらくは上の「金属製真空断熱二重構造容器」を愛用していました。断熱効果は極めて高く、熱いものは長時間熱く、冷たいものを入れても結露もせず、冷たさが保持されます。朝入れたアイスコーヒーの氷が夕方まで残っていたりして驚きます。

性能には大変満足なのですが、一つだけ大きな問題があります。それは金属地金そのものに触れるということです。

旧人類だからかもしれませんが、自分の中での食器の認識はセトモノかガラスか漆器です。それ以外は大変違和感を感じます。給食の時の金属食器は、幼心にも論外だと思っていました。今でもなぜかインド料理店やスペイン料理店などで金属プレートや金属ボウルで料理が提供されることがありますが、料理がいくらおいしくても、金属食器を見ただけで興ざめです。金属食器と金属のフォークやスプーンがこすれることを考えるだけでゾっとしてしまうのです。残念ながらおいしそうだなと思って入ったお店で、金属食器で出てきたら2度と行かないくらい自分の中では嫌なことです。おそらく、同じ感覚をお持ちの方も多いのではないかと思います。

この感覚はDNAに書き込まれているのか、後天的に備わった感覚なのかは分かりませんが、私の家族は全員そうですし、家内は私よりも金属食器嫌いでした。先入観かもしれませんが、「金属臭がする」と言うのです。
そんなわけでガラス製二重構造容器は口当たりは良いが性能がイマイチ、金属製真空断熱二重構造容器は性能は最高だけど口当たりがイマイチという状況が続いていました。壊れにくさと性能重視で仕方なく金属製真空断熱二重構造容器を使っていたという状況です。

セラミック加工ステンレス真空断熱二重構造容器

おそらく自分たちと同じジレンマを抱えていた方が多かったのでしょう。金属の真空二重構造で性能は最高だけど「金属に口を付けて飲みたくない」という方々のために、2020年頃に画期的な真空断熱容器が登場します。表面にセラミック加工を施したステンレス真空断熱二重構造の容器です。
これぞまさに求めていたものです。さすが京セラです。ステンレスの真空断熱二重構造のコップを作り、その表面全面(外も内も)にセラミック加工を施したタンブラーです。

性能は金属製真空断熱二重構造と同等で、口当たりはセトモノです。どこにも金属は露出していないので、もちろん、金属臭は皆無です。

このタンブラーに出会ってからは、すべてこれに切り替えました。

420mLです。外も内もセラミック加工されています。

下が絞れている形状なので、手が小さい女性でも持ちやすい形です。私は手が大きいので上の写真のタンブラーは小さく見えますが、420mL入ります。

この飲み口が重要なポイントです。金属ではなく、セラミックなだけで精神的にも癒されます。

表面は梨地仕上げのように艶消しの落ち着いた加工が施されています。金属食器嫌いの方にはおすすめです。

欠点

表面がセラミックなので仕方ありませんが、硬いものにぶつけると表面が欠けます。長年使っていると底や飲み口の出っ張ったところは他の食器とも接触しやすく、細かい欠けが散見されます。わが家で5年ほど使った状況が下の写真です。

まあ、性能に変わりはありませんし、口当たりが悪くなるほどの大きな欠けではないので、そのまま使用していますが、買い替えるとしても同じものを購入します。で、上のきれいなタンブラーは今回新たに同じものを購入した写真です。それほどお気に入りで、現在はもうこのシリーズしか使っていません。
真空断熱二重底のタンブラーが欲しいけど、金属が嫌だ、な方にはイチオシでおすすめできるタンブラーです。

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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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