次世代の高感度ノイズ除去ソフト

NikonのZ9もZ8も高解像度の方向に設計されているため、必然的に高感度耐性が犠牲になっています。写真撮影を仕事としていますが、自分の基準としてはISO 2000が限界で、できればISO 1000以下になるように気を付けて撮影しています。

そのため、シャッター速度を遅くする必要があり、野鳥撮影など動く被写体では手振れと被写体ブレと高感度ノイズのせめぎあいの戦いを強いられることになります。

しかし、近年急速に発展した画像処理アルゴリズムにより、今まであきらめていた画像が復活できるかもしれません。一昔前ののっぺりした仕上がりになるノイズ除去ではなく、新しいアルゴリズムやAI技術を応用した次世代のノイズ除去です。

次世代高感度ノイズ除去アルゴリズムの進化

高感度ノイズ除去の機能は以前からありますが、概して画質が劣化するだけで、今まではあまり良い印象はありませんでした。多くは一度全体をボカしてから再度シャープニング処理をするような工程を経て、ディテールが失われ、のっぺりした「塗り絵」的な絵になってしまうのが難点でした。

しかし、ここ数年、様々なアルゴリズムの開発によって、ノイズ除去機能も飛躍的に進化してきました。以前はできなかった細かいディテールを残したまま高感度によって発生したと思われる輝度ノイズやカラーノイズだけを選択的にきれいに除去してくれます。

ブームに乗って最近はなんでもかんでも名称に「AI」がつけられていますが、人工知能のアルゴリズムが組み込まれているのかどうかはよくわかりません。おそらくウェーブレット変換を自動で行うようなアルゴリズムなのではないでしょうか。様々な空間周波数に分解したレイヤーの中で、高感度ノイズ由来の細かい周波数成分が多いレイヤーに対してノイズ除去を行い、その他のレイヤーに軽くシャープニング処理をかけるといったような処理を行っているのではないかと推測しています。

昔の塗り絵的なのっぺりしたイメージとは全く異なり、ノイズに埋もれた画像を引き出しながらザラついたノイズのみが除去された絵に仕上げてくれます。試してみて驚きました。

ソフト

近年、こういった高度な高感度ノイズ除去機能を盛り込んだ画像処理ソフトがたくさん出てきました。AdobeのLightroomが有名ですが、Adobe社の画像処理ソフトはすでにPhotoshopを使っているので、高感度ノイズ除去にはCyberLink社のPhotoDirector 365を使っています。ノイズ除去に関しては、LightroomとPhotoDirectorのどちらが優れているのかは分かりませんが、自分はPhotoDirector 365で満足できる結果が得られています。各社の比較などは他のサイトに委ねます。

PhotoDirectorの高感度ノイズ除去

PhotoDirector 365を開いて、画像をドラグアンドドロップするだけで簡単に開け、「ノイズ除去」で高感度ノイズ除去処理を実行できます。実行後、スライダーで強度を調整できます。100%だとちょっとやり過ぎ感が出てしまうので、画像を見ながら少し下げています。概ね50-70%付近で使っています。元の絵のノイズの状態によって大きく変わるので、実際に画像を見て調整することをおすすめします。

サンプル

いずれもZ9のDXフォーマットで撮影した画像を長辺1280ドットに縮小した画像と、高感度ノイズ除去前と除去後の野鳥頭部付近640角を1280角に拡大(200%)して比較してみました。ブラウザの表示サイズにもよりますが、等倍以上の拡大ですから、粗が強調されていることを前提として参照ください。

Z9 ISO 3600

高感度ノイズ除去前:それほど顕著ではありませんが、ISO 2000を超えると画面全体がノイジーになってきます。ノイズに埋もれてディテールの描写が悪くなってきます。ピントは合っていても目の周りの羽毛のディテールは失われつつあります。
高感度ノイズ除去後:PhotoDirectorでノイズ除去しました。目の周りの羽毛のディテールが復活しています。背景のざらついたノイズ感も除去されています。

Z9 ISO 4000

高感度ノイズ除去前:ISO 4000にもなると、大分ノイズが乗ってきます。全体的に寝ぼけた画像になってきます。このレベルだと、B4サイズのカレンダーには厳しくなります。
高感度ノイズ除去後:目のキャッチライト、瞼の縁のディテール、目の周辺の羽毛の描写などが顕著に向上しています。特にくちばし廻りの細長いひげなど、ノイズに埋もれていたものが精細に描写されています。今までのノイズ除去ではこういった細い髭や細かい羽毛のディテールは失われていましたが、最新のソフトではうまいこと処理されています。高感度で劣化した画像をここまで復元できるのであれば、ISO 4000は許容範囲かもしれません。

Z9 ISO 8000

高感度ノイズ除去前:ISO 8000ではかなりノイズが多くなってきます。A4程度でしたら何とかごまかせますが、B4印刷には使えません。
高感度ノイズ除去後:かなりディテールを残しながら高感度ノイズが除去されているのがわかります。キャッチライト、くちばしの付け根から伸びる長い髭、脇の羽毛などの描写を見ると、ノイズ除去のアルゴリズムの進化が感じられます。200%拡大するとちょっとやり過ぎ感がありますが、等倍で見るとあまり違和感がない仕上がりです。処理は0-100%で調整できます。

Z9 ISO 12800

高感度ノイズ除去前:さすがにISO 12800にもなると仕事で使えるレベルではありません。記録として残す用途でしか使えないでしょう。
高感度ノイズ除去後:がんばってディテールを復活させようとしてくれていますが、カレンダーで使えるレベルにはなりません。パワーポイントに貼ったり、ブログ用途でしたら十分使えるようになります。背景のざらついた輝度ノイズはうまく除去できているのは見事です。

Z9 ISO 25600

高感度ノイズ除去前:かなりノイジーです。カレンダーには使えません。ただ、Z9の高感度ノイズは、フィルム時代の増感したようなノイズで、偽色が発生したり、カラーバランスが大幅に崩れたりしないところに好感が持てます。
高感度ノイズ除去後:すこし強めにかけてみました。ここまですると、200%拡大ですが、ちょっと嘘っぽい画像で、いかにも画像処理しました、という感じの絵になってしまいます。しかし、ノイズは見事に除去されます。A4サイズ程度の印刷であれば使えるかもしれません。

総評

手振れと感度のせめぎあいで、普段は手持ち限界の目安としている1/60sでISOが2000を超えたら撮影終了としています。Z9のセンサーは、高感度に比較的弱く、ISO 2000を超えると急にノイズが増え、DXフォーマットのB4サイズの印刷に耐えられなくなるからです。Z9とハチロクサンのシンクロVRに頼って、1/30sまで落とすことはありますが、歩留まりは極端に悪くなります。

今回新しい画像処理ソフトのノイズ除去機能を使ってみて、上記の例ではISO 4000くらいまではうまく処理してくれそうです。カレンダーのグラビア印刷に耐えるかどうか分かりませんが、撮影成功率と画質を検討して、撮影終了基準を変更する必要が出てくるかもしれません。もしかすると、1/30s、ISO 2000で撮るよりも、1/60s、ISO 4000で撮影した方がB4印刷レベルの成功率は高くなるかもしれません。1/30sでブレるよりも、ISO 4000のノイズ除去の方が救済率が高いのではないかと思えてきました。

また、Z9の高感度ノイズ低減機能は、オンにするとマニュアルには「 全てのISO感度で高感度ノイズの低減処理を行います」と書かれているので、今までは「弱め」で使っていました。機能が発動されるISOなどを設定できればいいのですが、「すべてのISO感度で」とのことなので、ちょっと不安です。低ISOではできるだけ変な処理は盛り込みたくないので、弱めにしていました。
カメラ内部のアルゴリズムもそれなりに進化しているとしたら、「標準」や「強め」との比較もしてみる必要がありそうですし、カメラの高感度ノイズ低減と、PCでの後処理による高感度ノイズ除去との比較も行う必要があります。

またいつか。

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サブスクリプション版は好みではなかったのですが、この手のソフトに限ってはAI機能も使うことが目的であり、かつ中間ファイルを保存する必要がないので、自分は365を買いました。学生・教職員割引サービスがあるのも後押ししてくれました。
両方を使って比較したわけではないので分かりませんが、AI機能をフルに使うのでしたら、常に最新版が使える365の方が良いかもしれません。
PhotoDirector 2025 Ultra 通常版 こちらは買取の永久ライセンス版です。常に最新のAI機能を使いたいのでなければ、こちらの買い取り方式の方がよろしいかと思います。毎年支払う必要もなく、ずっと使えます。 CyberLink社のソフトは、動画編集にPowerDirectorも使っていますが、こちらは編集データの保存が必須なので、永久ライセンスでないと困ります。サブスクリプション版もありますが、更新しないと動画編集すらできなくなってしまうようでは仕事では使えないからです。
サブスクリプション版と買取版はどちらにするか悩むところです。ご自身の使用目的に応じて選択する必要があります。
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Nikon Z9


Nikon Z 9 ボディ

野鳥撮影にも最強のパフォーマンスを発揮するミラーレスフラグシップです。被写体検出機能で野鳥も認識して目にフォーカスを合わせてくれます。本格的に野鳥撮影をする方にはおすすめです。
FTZ-IIを介して今までのFマウントの超望遠レンズも問題なく使えます。ZマウントのNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sとの組み合わせは5.5段のVRが効き、800mm(DXで1200mm)ながら手持ち撮影が可能になります。




Nikon Z8


Nikon Z 8 ボディ

Nikon Z9の縦位置グリップをなくして小型軽量化を実現したカメラです。
Z9の機能をほぼそのまま継承しているので、野鳥撮影にも最適です。もちろん、鳥を認識して目にフォーカスを合わせてくれます。縦位置を多用しない方にはおすすめです。
重さもZ9の1340gからZ8は910gと軽量化されています。フィールドで持ち歩くには最適で、女性にもおすすめです。
特に小型軽量のロクロクサンことNIKKOR Z 600mm f/6.3 VR Sとの組み合わせは野鳥撮影セットとしてイチオシです。




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また、小型軽量(530g)で持ち運びが楽です。入門用と思われがちですが、画像は2千万画素以上の出力が可能で、静止画も動画も仕事にも使えるレベルの素晴らしい画質です。

姉妹機にZfcが登場しました。中身はZ50と同等ですが、外観はクラシカルでダイアルによる操作が楽しめます。




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野鳥撮影用おすすめ超望遠レンズ(Zマウント)




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位相フレネルレンズ採用の小型軽量の800mm単焦点レンズです。全長385mm、重量約2385gで、800mmの超望遠レンズとしては驚異的な軽さです。5段分(Z8やZ9との組み合わせでは5.5段)のVRにより、手持ち撮影が可能です。DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。

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