NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S レビュー(フレア・コントラスト編)

位相フレネルレンズに不信感を持っている人も多いようです。位相フレネルレンズを使ったレンズはNikonの専売特許ではなく、他社も以前から販売しています。初期の頃は確かに盛大なフレアが発生したり、条件によっては著しくコントラストが低下する現象が見られ、悪いイメージを持たれてしまったのでしょう。しかし、位相フレネルレンズも改良が重ねられ、小型軽量を維持しながら、現在は光学ガラスのみで作られたレンズに匹敵する高解像・高コントラストの光学性能を発揮するようになってきています。

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位相フレネルレンズ

同心円状の回折格子(位相フレネルレンズ:以下PFレンズ)を通った光は、通常のガラスとは逆方向に色収差が発生します。その特性を利用して光学ガラスとPFレンズを組み合わせると色収差を効率よく補正したレンズを設計することができます。本レンズはその技術を応用して作られた超望遠レンズです。NikonではFマウントですでに300mmF4、500mmF5.6で位相フレネルレンズを使った望遠レンズを販売していました。

Nikon社ウェブサイトより:https://www.nikon-image.com/products/nikkor/zmount/nikkor_z_800mm_f63_vr_s/features01.html

PFレンズの利点

光学ガラスだけで色収差を補正するためには、凸レンズと凹レンズを何枚も組み合わせて作る必要がありますが、PFレンズを使った構成では、光学ガラスとPFレンズは両方とも凸レンズで構成することができ、レンズ構成枚数を減らしてコンパクトで軽量なレンズにすることができます。F値が異なるので単純には比較できませんが、今までNikonが出してきたPFレンズは、同焦点の光学ガラスだけで作られたレンズの半分以下の重さです。
また、これもF値が異なるので単純に比較はできませんが、価格も半分以下、ものによっては1/3の価格を実現しています。小型化、軽量化、低価格化がPFレンズの利点です。

PFレンズの欠点

500mm f/5.6E PF ED VR はまだ逆光に弱く、このように全体に紗がかかったような急激なコントラスト低下がみられることがありました。

PFレンズに強い光が当たるとフレアが発生したり、コントラストが著しく悪化することがあります。画面内に光源や輝点があると顕著にコントラストが低下します。光源が入っていなくても逆光に弱く、使える状況が限られてしまうと言われていました。Fマウントの500mm F5.6ではかなり改良されたとは言え、まだまだ逆光に弱いイメージは拭えません。順光では最高のパフォーマンスを見せますが、ちょっと逆光になると急に寝ぼけてしまう印象です。
800mmではさらにPFレンズの配置位置の工夫やコーティングの進化、長めのフードとも相まって逆光耐性はかなり改善されているようです。

実写サンプル

何とかフレアが発生したりコントラストが低下するシチュエーションを再現しようと試みましたが、なかなか実現できませんでした。それだけ発生しにくくなっているということでしょう。

どういう状況でPFレンズフレアが発生するのか調べると、暗い状況でスポットライト的な強い光源がこちらを向いている場合に光源の周りに光芒が出るようです。一般にはあまりないシチュエーションですが、夕方や夜間の航空機の撮影やヘッドライトを点けてこちらに向かってくる自動車・電車の撮影などがそれに該当するでしょう。航空機や電車、自動車、バイク、自転車など、ヘッドライトを持つ被写体をターゲットとしている人は注意が必要です。

野鳥など、野生動物などの撮影では極端な条件を除いて、あまり気にする必要はないようです。基本的に順光で撮りますし、多少逆光気味であっても他のPFレンズに見られるような急なコントラストの低下などは見られませんでした。

逆光の花を狙ってみました。従来のPFレンズではこのくらいの逆光でも画面全体に紗がかかったようなコントラストの低下が見られたのですが、800mmでは起きにくいようです。
背景が明るいカイツブリ。高コントラストを維持しています。
逆光のコゲラ。悪い撮影条件ですが問題ありません。
逆光のシジュウカラ。
逆光のシジュウカラ。
逆光のカワセミ。
今まででしたら全体的に紗がかかったように著しくコントラストが低下していたであろうシチュエーションでも問題なく撮影できます。
遠くの天光源を探して撮影してみましたが、このくらいではフレアは発生しないようです。
遠くの信号でもフレアは出ません。
どうやらその光源に露出が合っている状態では問題ないようです。
何とかフレアを出そうと、色々と設定を変えてようやくフレアが見られました。
光源が完全に露出オーバーで白飛びした状況にならないとフレアは出ないようです。
ハイライト重点測光だと輝点に露出を合わせてしまうので、別の測光モードにするか、かなりオーバーに露出補正しないと出てきません。
まさに向かってくるヘッドライトをつけた自動車や航空機などで発生しやすくなるのでしょう。
自分はこの手の写真は普段撮らないので、フレアを出すためにちょっと苦労してしまいました。
しかし、一貫してフレアが出現するようでもなく、同じ状況でも出たり出なかったりします。
光源の大きさや向き、露出の過不足によって変わるようです。

総評

500mmF5.6PFは比較的逆光に弱く、すぐに画面全体に紗がかかったようなコントラスト低下が見られました。しかし、この800mmではかなり逆光のシチュエーションでも問題なく撮影できてしまいます。
意地悪く普段は撮らない逆光での写真を撮ってみましたが、500mmで見られたようなコントラストが著しく低下した画像を撮ることができませんでした。

レンズの構成図を見ると、300mmや500mmのPFレンズ位置に比べて800mmのPFレンズは随分奥に配置されているのがわかります。これが功を奏しているのでしょう。さらに300mm、500mmのいささか貧弱な短いフードと比べて、800mmには立派な大型のフードがついています。それも逆光への耐性に貢献していると思います。コーティングもナノクリスタルコーティングのほか、アルネオコーティングなどをふんだんに使い、レンズ表面での反射を徹底して押さえ込んでいます。

上の図はNikonウェブサイトのPFレンズ構成図です。緑色がPFレンズです。300mm、500mmでは前方で使われていますが、800mmでの使用位置がかなり後方に移動しているのが分かります。

300mm、500mmでの問題点を洗い出して、まじめにフレアの除去やコントラスト低下の対策に取り組んだNikonの姿勢が見て取れます。Sラインの称号にふさわしく、描写性能としては文句なく一級品だと思います。

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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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