熱中症対策:ネッククーラー

地球温暖化の影響か、夏の最高温度が随分と上昇しているように思います。最近は最高気温35度は当たり前で、体温を超える37度や40度を超えたというニュースも入ってきます。我々が学生の頃はクーラーなんて贅沢品で、真夏でも汗だくになりながら授業や部活などを行っていました。最近はクーラーの生活に慣れてしまったためか、すぐに熱中症で倒れたりする学生も増えてきています。
子どもたちが弱くなったこともあるでしょうが、気温が高くなっているのも事実です。何か対策が必要になってきました。

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パーソナル空調

クーラーが効いた部屋で一日中ゲームを楽しんでいる子どもたちが弱くなるのは想像に難くありませんが、自分も加齢とともに猛暑の炎天下での野鳥撮影が厳しくなってきました。熱中症で倒れたら野鳥撮影どころではなくなってしまいます。温暖化と加齢には勝てません。特に高齢者の熱中症は命に関わるので危険です。

数年前、ものはためしで空調服を買ってみました。しかし、猛暑日の炎天下ではあまり効果がなく、使わなくなってしまいました。電動ファンによって積極的に汗を蒸散させるので、多少快適ではありますが、気温35度の炎天下では35度の温風が吹き付けられるため、決して涼しくはありません。ましてや、体温を超える気温の場合は効果はほとんど期待できないでしょう。

JKたち御用達のハンディファンも同様です。汗を積極的に蒸散させて体温を下げる効果はありますが、風の温度は気温を下回ることはありません。
やはりもっと劇的に涼しさを感じるためには、物理的に温度を下げる装置が必要です。

ネッククーラー

夏を快適に過ごすためのグッズはたくさんありますが、一般的に手に入るもので、物理的に温度を下げる機構を持っているのはネッククーラーです。ネックファンなどの扇風機ではありません。ペルチェ素子という半導体によって首に接触するアルミ板の温度を下げています。まるで冷えた缶ジュースを首に当てたようなヒヤッとする冷たさが持続するといった表現が端的にネッククーラーの使用感を表しています。

これは良くできています。今まで様々な猛暑対策グッズを試してみましたが、「これぞ!」と言うものがありませんでした。今回ネッククーラーを使ってみて、ようやく求めていたものに出会えた気がします。

ご注意

首にかける扇風機をネッククーラーと呼んでいるメーカーもあるようです。単純な扇風機なので、汗を積極的に蒸散させる機能しかありません。気温が高い時は気温の空気を送るだけです。名称の明確な定義はないのかもしれませんが、このページで扱っているネッククーラーは、ペルチェ素子を使用して首の温度を物理的に下げる機構を持つものです。

THOUSTA ネッククーラー

ネッククーラーには様々な仕様の製品がありますが、比較検討した結果、次の条件に絞り込みました。

  • 軽い
  • モバイルバッテリー駆動
  • 首の太さの調整が可能

充電池内蔵ではなく、外部電源方式なところがミソです。

軽さとバッテリー駆動

軽さとバッテリー駆動は密接に関係しています。
そもそも、ペルチェ素子は小型軽量ですが、あまり効率はよくありません。つまり、大変電気を食います。フィールドを練り歩いて野鳥を撮影するような場合、長い時で5−6時間は歩き回るので、ネッククーラーの持続時間が問題となります。今のところ、内蔵バッテリーでこれほど持続時間が長い製品はないようです。
一方で、外部電源方式の機種では、持続時間は完全にバッテリーの容量に依存します。大容量のモバイルバッテリーを使えば長時間使えますし、予備の電源を持っていればバッテリーを繋ぎ変えるだけで使い続けられます。また、USB−Cタイプのコネクタなので、家庭用AC電源に変換器をつければずっと使い続けられます。

内蔵バッテリーがないので、外部電源がないと使えませんが、逆にそこが正にこのタイプの利点でもあります。重量のほとんどを占める内蔵バッテリーがないので、本体が軽いのです。また、充電式は当然ながら本体の電池が切れると終わりで、充電しないとつかえません。しかし、外部電源式は、USB-Cに電源供給できるものであればほぼなんでも使えます。イマドキはモバイルバッテリーの1つや2つは持っていると思いますので、それにつなぐだけで使えるというメリットがあります。

ケーブルが邪魔だという人も多いかもしれませんが、ペルチェ素子の現状の燃費の悪さを考えると、最強にして長時間使うためには仕方ありません。外部電源式ネッククーラーと大容量モバイルバッテリーが現状、ベストな組み合わせだと思います。

自分は胸ポケットやベストのポケットにバッテリーを入れていますが、付属のケーブルが比較的長い(約80cm)ので、ズボンのポケットやカバンにモバイルバッテリーを入れて使うこともできます。

ということで、画期的に軽い大容量内蔵バッテリーが登場しない限り、「強」で長時間使いたい場合は、外部電源方式がおすすめです。

ペルチェ素子は半導体なので音はしませんが、移動した熱を放熱するためのファンが内蔵されています。そのため、作動させるとファンの音はします。しかし、ネックファンやハンディファンの騒音と同レベルでしょう。静かな部屋で首につけると自分の耳の直下なので、ファンの音が意外と聞こえますが、装着して野外を歩くとほとんど気にならなくなります。電車でも使っていますが、周りの騒音の方が遥かにうるさいので、全く気になりません。

家内の隣で使用してみましたが、ファンの音はほとんど聞こえないようです。耳元近くにファンがあるので、使用者はうるさく聞こえますが、周囲に迷惑をかけるほどではなさそうです。

モバイルバッテリー

Anker PowerCore Essential 20000

激安の32000mAhのモバイルバッテリーを購入して使っていたのですが、数週間で使えなくなりました。バッテリーは少なくとも聞いたことがあるメーカーのものが良いようです。壊れたバッテリーは返品して、Anker製のバッテリーを購入しました。

Anker製のモバイルバッテリーは以前から何度も使ったことがあるので、少なくとも聞いたことがないメーカーよりも信頼性は高いかもしれません。

バッテリーは同じ容量の表示でも、これらはメーカーの発表値のようで、実際の容量とはかけ離れているものも多いようです。値段もピンキリで、異常に安いものは避けた方が良いかもしれません。
今回買ったAnker製品は容量は20000mAhですが、値段はそこそこ高価なので、大丈夫であると信じています。
しばらく使ってみます。

追記

Anker製の20000mAhは5時間使っても残量75%です。家内の無名メーカーの20000mAhのバッテリーは同時に使って4時間で残量0%になりました。どうもメーカー公表のバッテリー容量は話半分と思っていた方が良さそうです。ようやくまともに使えるモバイルバッテリーに出会えた感じです。

人体への影響

首を局部的に長時間冷やし続けても大丈夫なものでしょうか。医学的な影響などはわかりません。体は暑いのに頭部往復の頸動脈・頚静脈を選択的に冷やすので、何らかの影響があるかもしれませんが、今のところ特に体調不良などはありません。外気温35度でも首だけ冷えている状況は何やら不自然な感じもしますが、熱中症対策になるのであればそちらの方が優先です。少なくとも気持ちが良いことは確かです。
ずっと装着していると馴れてしまって冷たさを感じなくなりますが、位置をちょっとずらすと「ヒヤッ」とするので、かなり効いています。
もう少し長期の使用実験を行わないと何とも言えません。一夏使用してみます。

総評

今まで様々な猛暑対策グッズを試してきましたが、効果を実感できて長く使い続けられたものはありませんでした。いずれも使い勝手が悪かったり、面倒くさかったり、機能的に限界があったりで、数回使ってお蔵入りになっていました。
今回初めて長期間使えるグッズに出会えました。2週間ほど使用していますが、すこぶる快適です。連日最高温度は30度を超える猛暑で、35度を超える日もありました。そんな日でも快適に過ごせました。

かなりの効果を実感できたので、家内用としてもう一つ購入しました。白いモデルです。こちらはバッテリーが付属していません。32000mAhのバッテリーは重いと言うので、黒い方に付属していた10000mAhの軽いものと、以前から所有していた10000mAhのバッテリーを交代で使うことにしました。もちろん、バッテリーを運ぶのは私です。

最高気温37度予想の猛暑日に野鳥撮影にでかけました。炎天下を5時間ほど歩きましたが、かなり効果的でした。冷たい缶ジュースをずっと首に付けているような状態が持続します。家内の10000mAhのバッテリーは予想通り3時間ほどで切れたので、一度交換しました。
バッテリーを付け替えるだけで使い続けられるので便利です。充電式だとこの時点で終わっていたはずです。

重い大容量バッテリー1個が良いか、軽いバッテリーを交換して使ったほうが良いかは人によって異なるでしょう。腕力がある人は大容量バッテリーをおすすめします。

追記1

家内のクーラーが壊れました。しかし、これは製品が悪いのではなく、髪の毛の混入によるものです。髪が長い女性の場合はファンに髪が巻き込まれることがあります。
何度か異音がして、髪を引っ張るとプチっと切れることを繰り返したらファンが回らなくなり、真後ろのヒートシンクのみ異常な高温になるようになってしまいました。
家に帰って分解して巻き込まれた髪の毛を除去したら直りました(分解掃除は自己責任です)。

吸入口は横向きのスリット状の格子で、その直下にファンが位置しています。これでは簡単に髪は巻き込まれてしまいます。

髪が長い人はご注意ください。それ以来、家内は髪の毛を上に束ねて使っています。吸い込み口に髪の毛が入らないプレフィルターを付けた方が良いかもしれません。

追記2

やっぱり10000mAhでは「強」で使うと数時間で切れてしまうので、フィールドで長時間使うには容量不足です。通勤電車で往復2時間使うのでしたら十分なのかもしれませんが、35℃の炎天下で5-6時間使うことを前提にすると、より大容量のバッテリーが欲しくなります。しかし、大容量のものは重いので、そのせめぎ合いがポイントとなります。

家内に私が使っている32000mAhのバッテリーを持たせたら「重いー!!!」とのことでしたので、20000mAhのものを試してみることにしました。重さ270gなので、このくらいは涼しさと引き換えに我慢してもらいましょう。信頼性はまだ良く分かりません。
それでも容量は倍なので、野鳥撮影中「強」で連続使用できそうです。

追記3

家内のネッククーラーが、使うたびに髪が巻き込まれて壊れるので、フィルターを付ける改造を施しました。髪を上に束ねても後れ毛が巻き込まれるようです。同様なお悩みを抱えている人にはおすすめですが、改造は自己責任でお願いします。

よくエアコンや空気清浄機などのプレフィルターとして使われているファインメッシュの素材を取り寄せてネッククーラーの吸気口裏側に貼り付けました。結果すこぶる快調で、髪の毛巻き込み事故から解放されました。

材料

スポンジ状のフィルターはたくさんあるのですが、もっと薄いファインメッシュフィルターを探していました。以前分解したときに見た感じでは、かなり極限設計なので厚みがあるとファンに接触する恐れがあるのと、細かいダストまで防ぐのかもしれませんが、通気性が悪くなると冷却効率が落ちそうなので、スポンジタイプは除外しました。なかなか見つからなかったのですが、「エアコン防塵ネット」なる商品がありました。まさに求めていた材質ですが、1.2×1mもあります。必要なのは3×3㎝ほどのものが3枚です。しかし、大型のシートしかないので、仕方なくこれを購入しました。

大変細かいメッシュ構造です。

分解

所有するネッククーラーは3つの部分に分かれていますが、すべてプラスドライバー1本で分解できます。この先は自己責任でお願いします。機械音痴の方にはおすすめしません。

真後ろのユニットの分解:4本のネジをはずすと分解できます。スイッチのボタンが取れるので、注意して分解します。
中央の楕円形状のスリットが吸気口で両側の三角形に立ち上がっている部分が排気口です。吸気口は横長のスリットなので、髪の毛は簡単に通り抜けてしまいます。
両サイドのユニットの分解:中央の円形のスリットが吸気口で、左右が排気口です。

フィルターのカット

ファンはヒートシンクの真上に取り付けてあり、ヒートシンクに直接空気をあてています。従ってファンの真上の吸気口にフィルターを取り付けます。排気口にフィルターは必要ありません。

吸気口をカバーできるサイズにフィルターをカットします。ハサミで簡単にカットできます。

取り付け

接着剤でも何でも良いと思いますが、個人的に最近気に入っている紫外線硬化樹脂を使いました。四隅に1滴垂らして家内のUV硬化マニキュア用の紫外線照射機で紫外線を当てるとすぐに硬化します。紫外線をあてるまでは固まらないところがミソで、微妙な位置決めなどをするときは便利です。瞬間接着剤は失敗すると後が大変ですが、紫外線硬化樹脂はゆっくり位置を合わせてから硬化させることができるので、失敗しません。
また、他の接着剤と異なり、何時間も待つ必要がありません。紫外線をあてると1-2分で硬化します。
紫外線硬化樹脂は100均で売っています。UVタイプのマニキュアでも代用できます。

組み立て

フィルターの取り付けができたら、すべてのファンの動作確認を行い、元通り組み立てます。ファンに異物が見受けられたら除去しておいた方が良いでしょう。私の場合、ファンは回っていましたが、髪の毛が数本絡まっていたので除去しました。

動作確認

組み立て後、電源を入れて動作確認をします。100%ではないにしても、これで髪の毛が巻き込まれる確率は大幅に減少するはずです。

商品

このレポートで扱った商品はすでに廃版になってしまったようです。新しい機種が続々と登場していますので、検索してみてください。


著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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