バルミューダ ザ・プレート プロ:BALMUDA The Plate Pro:K10A-BK

女性と男性、陽と陰、楽観的と悲観的、文系と理系……およそ思いつく世の中の双極を表す言葉がすべて当てはまる夫婦です。出会った時から正反対です。中途半端に違うと喧嘩になるのでしょうが、あまりに両極端に違うと別の生物を見ているようで、お互いを観察して「面白い!」と思えたのでしょう。かれこれ40年以上、両極端のまま付き合っています。

当然、食べ物の好みも正反対です。自分が料理担当なので、自分の基準で日々調理していますが、ストレスが溜まるといけないので、昔から鉄板焼きや鍋をよくします。それぞれの好きな具材を焼いたり煮たりできるからです。私は肉好き魚介類嫌い、家内は肉嫌い魚介類好きです。

鍋は単純な電熱器の卓上の調理器を使っていますが、これが丈夫で壊れるところがなく、結婚して40年近く使っていますが、未だに現役です。おそらく一生使えるのではないでしょうか。

一方の鉄板焼き用のホットプレートは寿命が短く、今までに数えきれないほど買い換えました。多くは表面がテフロンやら何たらストーンやら、焦げ付き防止のためのコーティングが施されていて、それが経年変化で剥がれ落ちてしまうのです。数年持つものもあれば、数ヵ月でダメになるものもありました。電気式のものは、今まではすべて焦げ付き防止の加工がしてあるものしか売っていませんでした。
表面加工してあるものは、金属製のヘラは使えず、プラスチックか木製のヘラが基本です。傷つけないよう注意して使っていても、週1のペースで使用して、1年持てば優秀です。

そこへ待望の表面加工がされていないホットプレートがようやく登場しました。バルミューダさんがやってくれました。

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BALMUDA The Plate Pro

満を持して登場したバルミューダ ザ・プレート プロ(BALMUDA The Plate Pro)です。何もかも四角くてシンプルです。とにかく中央のアルミをステンレスでサンドイッチにしたクラッドプレートが目玉です。

表面がまっ平なステンレスむき出しのプレートです。なぜ今までなかったのでしょう。ずっとこの仕様を待っていました。ウェブニュースで聞いて、発売と同時にすぐに購入しました。

表面は何も処理していないステンレスなので、もちろん、焦げ付きます。しかし、今までのホットプレートと異なり、金属ヘラが使えます。油を敷けば思ったほど焦げ付かないし、焦げ付いても金属ヘラでガシガシこそげることが可能です。

まるでポリシーの違いのようです。
今までのプレートは焦げつかない加工をしてある一方、表面はデリケートで金属ヘラの使用は不可。かつ長持ちもしない。
バルミューダのプレートは焦げ付く代わりに金属ヘラでこそげることが可能。かつ長期間劣化しない。
まるでメーカーのポリシーと利用者の性分のせめぎ合いのようです。どちらも一長一短があり、正解も不正解もありません。100%個人の主観とのマッチングです。

個人的には温度も低めで気を使いながらそっとそっと扱うよりも、そんなことをは気にせず高温でガンガン焼いて焦げたらガリガリ金属ヘラでこそげ落とす使い方の方が性に合っています。
表面が平らなので、材料がくっついても平らな金属ヘラで簡単に取れます。肉なども、高温で焼いて、表面が焦げて中がジューシーな焼き加減にできます。

プレートの秘密

バルミューダのプレートは、5mmのアルミを2枚の0.8mmのステンレスでサンドイッチにした合計6.6mmもある肉厚のクラッドプレートを使っています。比熱が大きく、材料を乗せても温度が下がらないのが特徴です。また、表面も裏もステンレスでアルミの面が露出していないので安全です。食材がアルミ面に触れることはありません。

付属のヘラ

ステンレス製のヘラが1つ付属しています。このヘラは大変立派で良く出来ています。1つしか付属していないのが残念です。もう一つ購入しようと思いましたが、公式サイトでしか取り扱いがなく、ヘラと送料で2,530円にもなってしまいます。ちょっと高い。

断念してアマゾンで別の金属ヘラを購入しました。取っ手がヘラと一体型で衛生的です。↓

追記:中国から到着したヘラはあまりに品質が悪すぎたのでリンクは削除しました。とてもおすすめはできません。

使用感

メリット

ステンレス表面

私の中では、このメリットが9割以上占めています。テフロンやそれに類する表面加工を施したアルミプレートではなく、表面がステンレス素材そのままな点を評価しています。
何というか、今までテフロン表面でアレしちゃダメ、コレしちゃダメとうるさく規制されていたうっぷんが一気に解放された感があります。結構同調してくれる人は多いのではないかと思っています。
金属ヘラで焦げをガリガリ剥がすのは、思いのほか快感だったりします。

おいしい

これが一番重要な評価ポイントかもしれませんが、材料を乗せても温度が下がらず、高温でさっと焼けるので、今まで使ってきたプレートよりもおいしく焼けるようになりました。健康面への影響に目をつぶると、焦げは一つのうま味でもあり、それをこそげ落として食べることに醍醐味があります。プレートの上で素材を焼いて、醤油を垂らし、ちょっと焦げたところを金属ヘラでこそげ落としてそのまま食する、といった食べ方ができます。最後はいつも薄い餅を醤油をつけながら焼いて磯部巻きで締めます。日本人は焦げた醤油好きですから。

はやい

材料を置いても温度が下がらないので、すぐに焼けます。今までのプレートのペースで乗せておくと焼きすぎてしまう傾向があります。薄い肉などは乗せてひっくり返して数秒で食べられます。放置してはいけません。

メンテナンスが楽

使い終わったら金属ヘラで大きな焦げを取り除き、金束子(かなだわし)でゴシゴシ洗えます。今までのようにテフロンがはがれないように気を使って洗う必要はありません。気を使わなくて良いのが精神的に大変楽なところです。金属ヘラや金属の束子で焦げはすぐに落ちますし、どんなにこすっても傷つきません。

デメリット

油はね

プレートの温度が下がらない分、油はねは今までのプレートよりも多くなります。カルビのような油が多い肉などを焼くと顕著です。部屋も汚れますし、匂いもつきます。テーブルの直上に換気扇を付けたくなります。プレートの温度が下がらず、おいしく焼けることに対する代償なので仕方ないとは思います。

本製品を使うと、我が家のエアドッグちゃんはAQI 400越えでフル稼働になります。こっちはおいしいものを食べているので、申し訳なく思ってしまいます。
テーブルも汚れるので、プレートの周りにはいつもペットシーツを敷いています。

重い

6.6mm厚のクラッドプレートは単体で2.8kgもあり、運ぶのはちょっと難儀です。女性には結構厳しいくらいの重さでしょう。プレートは比較的小型ですが、おそらくこれ以上大きくすると持てない重さになってしまうため、試作を繰り返してこのサイズに収束したのだと思います。直角の角もとがっているので足の上に落としたりしたら大変です。
まあ、これもおいしく焼くためのこだわりの代償なので仕方ありません。

小さい

上の「重い」と関連していますが、プレートは380×245mmです。夫婦二人でしたら丁度良い大きさですが、4人家族で使うにはいささか小さいように思います。使い方(焼き方)にもよりますが、3人以上のご家族の方は実物を見てシミュレーションをすることをおすすめします。はやく焼けるというメリットから、あまり材料を乗せておかないので、うまくまわせば4人家族でも大丈夫でしょうか。二人でしか使ったことがないので良く分かりません。

油受けが洗いにくい

油受けと内部のヒーター
この上にクラッドプレートが乗る形です。

プレートが完全に平なため、油受けはプレートの周囲にロの字型の堀のような場所に、ロの字型のステンレスの樋のような部品がはまっています。その扱いがいささか面倒です。一般的なキッチンの流しでは、すこぶる洗いにくいのです。
大きなゴミは水流で流したいのですが、ロの字型の部品にぐるりと一周水をかけることさえなかなか困難です。石鹸を付けたスポンジで洗い、すすぐときにまた一周水をかけますが、狭いシンクだと色々なところにぶつかって、なかなか思い通りに水洗できないのです。

使用前と使用後に時間がかかる

こだわりのクラッドプレートは6.6mm厚の金属の塊なので、使用前に温めるのと、使用後に冷ますのに時間がかかります。使用する15分くらい前から余熱をはじめる必要があります。ひとたび温まると食材を置いても冷めにくくて良いのですが、始動は余裕をもって電源を入れておく必要があります。
使用後もしばらくは熱いまままので、冷ましてから洗います。

高い

4万円オーバーの本製品は、ホットプレートの値段としてはかなり高額です。買う時は結構勇気がいりますが、長く使えるのであれば、コストパフォーマンスは悪くないのかもしれません。10年使えたらこの項目は「安い」になって、デメリットではなく、メリットに昇格します。

総論

デメリットを書き連ねてしまいましたが、メリットが遥かに勝るので、総合的には私たちは大満足しています。
冒頭で述べた通り、食べ物の趣向が異なるのでそれぞれが好きなものを焼いて食べています。私は主に肉を焼き、家内はタコやエビなど、魚介系です。いずれも高温で短時間で焼けるので素材のうま味が凝縮されるような気がします。

バルミューダのページではホテルの鉄板焼きのように分厚い肉を焼いて、鉄板上で切ってサーブするシーンを宣伝として使っていますが、一般家庭でそういう使い方をする人は少ないのではないでしょうか。ステンレスなので鉄板の上で金属のナイフを使っても大丈夫だよーということをアピールしたいのでしょうが、日本の焼肉の文化は生の状態で一口サイズに切って、それを少しずつ鉄板で焼いて食べる食べ方でしょう。
鉄板の上で包丁を使えるというメリットよりも、金属ヘラで気兼ねなくガシガシこそげることができる、というところが自分の中では最大のメリットのように感じています。

テフロンなどの表面加工がはがれることはないので、末永く使えることでしょう。初期投資としてちょっと値が張りますが、1年しか持たないテフロン加工のプレートでも2万円前後するので、このプレートが従来のプレートの数サイクル分使えたらかなりコストパフォーマンスは良くなります。10年使えたらまたレポートします。

今までテフロンなどの焦げ付き防止処理を施したホットプレートの耐久性や取り扱いに不満を感じていらっしゃる方にはおすすめです。

BALMUDA The Plate Pro K10A-BK
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人によって好き嫌いが分かれるかもしれませんが、自分は今までのホットプレートの表面の耐久性が大いに不満だったので、ステンレスそのままのこの商品はドンピシャでした。
不満点はつつけばまだまだたくさん出てきますが、気兼ねせずに金属ヘラでガリガリこそげられる魅力に比べると屁みたいなものです。
テフロン加工でやってはいけないこととして抑えつけられていた不満が一気に解放されたような気分です。

ある日の鉄板焼き

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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