
2023年6月13日、Z9のファームウェアのバージョンもいよいよ4.00となりました。大幅な機能追加もありますが、野鳥写真家としてはそこまでの機能追加はあまり使う機会がありません。ありがたい変更はプリキャプチャの待機時間が長くなった仕様変更くらいです。
それよりも期待していたのは、AF性能の向上です。公式サイトには、
- [3D-トラッキング]において、[AF時の被写体検出設定]で[オート]、[人物]、[動物]、[乗り物]を選択し、かつ被写体が検出できていない場合における小さく動きの速い被写体の捕捉精度を向上しました。
- 低輝度・低コントラストの被写体のフォーカス精度を向上しました。
- 低速連写でフリッカー検出時の AF ロックオンを改善しました。
- これら以外のオートフォーカスの動作や安定性も改善しました。
とあります。Ver. 3.01でAF性能が大幅に向上しましたが、Ver. 3.10の評判があまりよくありませんでした。特に野鳥の検出率が落ちたように感じていて、改善されることを望んでいました。
Ver. 4.00
AF:被写体検出
1の位の変更なので、メジャーなアップデートです。ミラーレス時代になってからは他社のカメラは使っていないので比較はできませんが、仕事用カメラとして、効率よく野鳥を認識してくれて、目を検出してそこにフォーカスを合わせてくれればそれだけで満足です。今までのバージョンでもテストしてきましたが、鳥種によってばらつきがあり、鳥として認識してくれない鳥種も結構ありました。
今回、様々な鳥種に向けた時のカメラの挙動を記録しましたので、掲載させていただきます。ご参考までに。
- カメラ:Nikon Z9
- レンズ:NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
- 撮影条件:AF-C 3Dトラッキング 被写体検出:動物
検出率が高いのか低いのかは動画からご判断ください。
このレベルになると、ある特定のシーンで評価してもあまり意味がありません。使っていても、バシバシ目に合焦するときもあれば、「あれ、何でこの鳥の目は検出しないんだろう」と思う時もあります。その条件はもう分かりません。おそらく開発担当者も分からないでしょう。機械学習はそういうものだと認識しています。
したがって、以前より目を追いかけるようになったとか、後ろに抜けなくなったとか、感覚的な評価になってしまいます。こういう条件だと合焦率が悪くなるとか、得意なシーンと苦手なシーンなど、再現性があるテストは困難です。
個人的には、静止したターゲットの検出はかなり良くなっていると感じています。撮影された写真を見ても、ピント精度は問題なく、目に合焦している確率も高くなっているように思います。
まれにスコーンと背景に行ってしまい、手動で戻さないと行ったっきりになることがありますが、一度動物を検出したあとの追従は良いようです。一生懸命鳥の目を探している様子が分かりますし、後ろを向いて目が見えなくなった場合も無駄に前後に探しに行ったりせず、後頭部あたりにとどまって目を探しているそぶりが見られます。これはVer. 3の時と同様で、合焦率が上がるアルゴリズムだと思います。1ヵ月ほど使用した印象としては悪くありません。
ただし、動体に対しては依然あまり良いとは思いません。空バックなどでファインダーに空と被写体しかない場合は追従しますが、背景があるシーンではなかなか被写体に追従してくれないことが多いようです。まだまだ進化する余地はありそうです。
サンプル画像
いくつかサンプル画像を掲載します。写真によってはトリミングしてあります。






















Ver. 4.00 動体
焦点距離が長くなるほど野鳥の飛翔写真は困難になってきます。300mm、500mmくらいまでは結構追従できましたが、800mmでしかもDXフォーマットで使っているので、1200mm相当ともなると、飛翔写真の難易度はかなり高くなります。その画角で追えるか追えないかは別として、ツバメの飛翔でテストしてきましたので、その時のファインダーログと写真を掲載します。
Ver. 4になって良くなったのかどうか、正直私には分かりませんが、Z9(Ver. 4.00)+NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sの組み合わせで、特に練習せずにこのくらいの写真が撮れるという指標です。
腕力がある人がもっと練習したら、より低速シャッターで背景が流れた流し撮りができるのでしょうが、自分は高速シャッターに逃げてしまいました。
3分くらい振り回すと体力的に左手が限界を迎えてしまいます。
被写体検出(動物)をオンにしてのテストなので、フォーカスエリアモードはあえてオートにしてみました。完全手持ち撮影なので、ターゲットがファインダー内をかなりあっちこっちに動くので、広いエリアで被写体を検出して欲しかったからです。被写体検出(動物)がオンの時に、どのフォーカスエリアモードが正解なのか未だわかりませんが、エリア内に被写体が入っていないと認識率が下がるようなので、飛翔撮影の場合は広いAFエリアモードに設定しています。
この手のテストは同条件の再現テストができないのと、自分の技術がカメラ性能に追い付いていないのでAF性能の評価はできませんが、完全手持ち撮影でこのくらいの写真が撮れるというサンプルです。
以前のバージョンでは、空バックでは問題なく鳥を検出していても、背景があると極端に検出率が下がるイメージでした。今回はあえて背景があるシチュエーションを選びました。
一眼レフ時代はグループAFなどを使い、至近優先がうまくはまると背景があってもターゲットを追い続けてくれていたと思います。ミラーレスになって動物、特に鳥の認識をするようになり、ターゲットを検出さえしてくれれば背景が何であっても追い続けてくれると思っていましたが、そううまくはいかないようです。
おそらく自分の追いかける技術が足りないことが最も影響していると思いますが、背景がある動体を認識させるには今までとは異なる技術が必要なようです。そもそも1200mm相当の画角で飛ぶ鳥を手持ちで正確に追尾するのは、なかなか困難です。ファインダーで追いかけると、いくらVRの恩恵を受けてもターゲットはファインダーの中をあっちこっちに動き回り、時にはファインダーから外れます。そんな状態で被写体を認識しろというのがそもそも無理なお願いなのかもしれません。
背景がある状態で、試しに一脚を使って上下のブレをキャンセルすると歩留まりが上がる印象でした。
まだ完璧ではないものの、ターゲットをファインダー内であまり動かさないように追尾できれば、動物検出モードで被写体を検出する確率は高くなるように感じます。

Ver. 4.01
ファームウェアがVer. 4.01になりましたが、AFに関する記述はありませんでした。0.01のアップで、いくつかのバグフィックスだけのようです。
念のため、Ver. 4.01での野鳥の目の検出時の挙動を記録しておきます。
今まで通りカワセミがどの方向を向いても確実に至近側の目を検出し、追尾します。ピント精度も問題ありません。


カメラ関連
Nikon Z 9 ボディ
野鳥撮影にも最強のパフォーマンスを発揮するミラーレスフラグシップです。被写体検出機能で野鳥も認識して目にフォーカスを合わせてくれます。本格的に野鳥撮影をする方にはおすすめです。 |
Nikon FTZ II |
予備バッテリーEN-EL18d |
予備バッテリー室カバー |
L型ブラケット |
液晶保護ガラス |
メディア
静止画メイン推奨 165GB |
大容量 325GB |
動画メイン大容量 650GB |
LEXARのCFexpress type B 128GB |
動画メインのプロの方向けNikon純正 660GB |
標準ズーム
24-120mm f/4 S イチオシ標準ズーム |
24-50mm f/4-6.3 |
24-70mm F/2.8 S |
Z 24-70mm f/4 S |
28-75mm f/2.8 |
単焦点レンズ
NIKKOR Z 20mm f/1.8 S |
NIKKOR Z 24mm f/1.8S |
NIKKOR Z 50mm f/1.2S |
NIKKOR Z 85mm f/1.8S |
NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S |
野鳥撮影用おすすめ超望遠レンズ(Zマウント)
NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
位相フレネルレンズ採用の小型軽量の800mm単焦点レンズです。全長385mm、重量約2385gで、800mmの超望遠レンズとしては驚異的な軽さです。5段分(Z9との組み合わせでは5.5段)のVRにより、手持ち撮影が可能です。DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。 |
Zマウント純正テレコンバーター
Nikon Z TELECONVERTER TC-1.4X |
Nikon Z TELECONVERTER TC-2.0X |
野鳥撮影用おすすめ超望遠レンズ(Fマウント)
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR |
NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR |
マウントアダプターFTZ2 |