NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S:逆光耐性

レンズの焦点距離が短くなるほど画角が大きくなり、画面内に太陽や電灯などの光源や明るい空などが入る確率が高くなります。レンズの曲率や構成、レンズ面の反射防止コーティングなどによってフレアが発生したりコントラストが低下したりするものです。
フィルム時代から超広角レンズは使っていましたが、当時はコーティング技術が低く、ゴーストや急激なコントラスト低下に悩まされたものです。

昨今は反射防止のコーティング技術がめざましい発展を遂げ、かつての広角レンズの問題点は大幅に改善されています。逆光で撮ってもゴーストやフレアはかなりがんばって探さないとわからないレベルに到達しています。デジタル時代になってからは、撮像素子からの反射光の処理も難しく、レンズ後玉の形状や反射防止コーティングにも気を使っていると聞きました。フィルム時代よりもユーザーの要求仕様も高くなっている一方、特殊な硝材が次々と開発され、非球面レンズの研磨技術も向上したことによって数十年前とは比較にならないほど高性能なレンズが作られています。

本レンズのNikonのサイトには、 11群16枚(EDレンズ4枚、非球面レンズ3枚、ナノクリスタルコートあり、アルネオコートあり、最前面のレンズ面にフッ素コートあり) と書かれています。
光学性能を上げるためのフレーズがてんこ盛りです。

反射防止に定評があるNikonのナノクリスタルコート、アルネオコートがどの面に施されているのかは明記されていませんが、最も効果的な面に使われていることでしょう。

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実写

スペックだけ見ていても何もわからないので、まず実写してみました。

  • ボディ:Nikon Z9:Ver. 4.01
  • レンズ:NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S

すべて手持ち撮影。

側面に太陽の反射輝点がある構図。

向かいのビルの窓に反射した太陽光がさらに都庁第二本庁舎の窓に当たっている状態。輝点の周りは多少滲んでいますが、特筆すべきフレアもゴーストもなく、高コントラストを維持しています。
24mm時。同様にわざと輝点を入れています。輝点の周囲以外は極めて良好な画像を維持しています。
完全逆光の都庁。露出さえ補正すれば、コントラストの低下もなく、何事もなかったかのように綺麗に描写されます。あ
あえて都庁の脇から太陽を出してみました。一昔前の超広角レンズでしたら大変なことになっていましたが、本レンズでは驚くべきことに太陽を隠しても出してもあまり変わりません。
こちらもあえて輝点が一番強くなる位置を選んで撮影しました。ゴーストもなく、コントラストも高い状態を維持しています。
最近はレンズが良いのかボディの絵作りが上手なのか分かりません。PLフィルターもなしで、画像処理もしていませんが、このように大変高コントラストです。
これも輝点が強く出る位置を選んで撮影しました。まったく影響はないようです。
高コントラストでカリっとした絵です。

総評

噂通りの性能です。あえて意地悪な状況で撮影しましたが、相当注意深く見ないとゴーストは探すのが大変なほどです。画面に太陽を入れても、強烈な反射光を入れても、コントラストが低下するようなこともなく、露出を補正するだけで美しい絵が撮れます。最新の他社のレンズは分かりませんが、一昔前の超広角レンズと比較すると、個人的には驚異的に感じます。

レンズのおかげなのか、ボディ側の調整なのか分かりませんが、順光であろうと逆光であろうと総じて発色も良く、コントラストも高い描写になります。せっかく非球面レンズを駆使して出目金を脱し、フィルターを付けられるのが本レンズのメリットですが、偏光フィルターの必要性をあまり感じません。
そもそも純正の円偏光フィルターIIが定価 86,790円と極めて高額です。安いレンズが買えてしまいます。仕事で、水面の反射を除去して水中の生物を撮るとか、どうしてもガラスの反射を除去しなくてはならないなど、よほどの必要性がない限り購入は躊躇します。上のサンプルはもちろんフィルターなしで、コントラストを上げるようなデータの調整は一切行っていません。
フィルター装着用の大型フードが付属していますが、まだ使ったことがありません。上記のように、画面に光源が入っても大勢に影響ないので、小型フードでも十分役立っています。前玉の傷防止に保護フィルターくらい付けたいと思いますが、それさえ7万オーバーです。今までレンズキャップは嫌いだったのですが、このレンズに限ってはカバンに入れるときはキャップをつけるようにして対処しています。

追記

追加で逆光写真を撮ってみました。

はじめての都庁展望台:何とかゴーストを出そうと、モロに太陽を入れてみました。
左下の方にゴーストらしきものが出ていますが、窓ガラスの反射かもしれません。
太陽入りのショット:ここまでしても不思議なくらいゴーストが出ません。
露出を補正すると逆光ながらきっちり撮れてしまいます。

こんなにひどい構図でもフレアやゴーストは出てくれません。今まで広角レンズのフレアやゴーストを表現手法として使っていた人は困るかもしれない、と心配になるほど徹底的に内部反射が抑えられていることが分かります。

Nikon Zマウントの超広角ズームレンズです。FXフォーマットでは画角114度で、最も画角が広いレンズです。
11群16枚(EDレンズ4枚、非球面レンズ3枚、ナノクリスタルコートあり、アルネオコートあり、最前面のレンズ面にフッ素コートあり)のレンズ構成は伊達ではありません。フランジバックが短いZマウントはどのメーカーよりも広角レンズに有利だと言われていますので、Nikonの威信にかけて設計した超広角ズームレンズのようです。

カメラ関連

Nikon Z 9 ボディ

野鳥撮影にも最強のパフォーマンスを発揮するミラーレスフラグシップです。被写体検出機能で野鳥も認識して目にフォーカスを合わせてくれます。本格的に野鳥撮影をする方にはおすすめです。
FTZ-IIを介して今までのFマウントの超望遠レンズも問題なく使えます。ZマウントのNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sとの組み合わせは5.5段のVRが効き、800mm(DXで1200mm)ながら手持ち撮影が可能になります。



Nikon FTZ II


予備バッテリーEN-EL18d


予備バッテリー室カバー


L型ブラケット


液晶保護ガラス

メディア



静止画メイン推奨
165GB


大容量
325GB


動画メイン大容量
650GB


LEXARのCFexpress type B
128GB


動画メインのプロの方向けNikon純正
660GB

標準ズーム



24-120mm f/4 S
イチオシ標準ズーム


24-50mm f/4-6.3


24-70mm F/2.8 S


Z 24-70mm f/4 S


28-75mm f/2.8

単焦点レンズ



NIKKOR Z 20mm f/1.8 S


NIKKOR Z 24mm f/1.8S


NIKKOR Z 50mm f/1.2S


NIKKOR Z 85mm f/1.8S


NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S

野鳥撮影用おすすめ超望遠レンズ(Zマウント)

NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S

位相フレネルレンズ採用の小型軽量の800mm単焦点レンズです。全長385mm、重量約2385gで、800mmの超望遠レンズとしては驚異的な軽さです。5段分(Z9との組み合わせでは5.5段)のVRにより、手持ち撮影が可能です。DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。

Zマウント純正テレコンバーター



Nikon Z TELECONVERTER TC-1.4X


Nikon Z TELECONVERTER TC-2.0X

野鳥撮影用おすすめ超望遠レンズ(Fマウント)



AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR


NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR


マウントアダプターFTZ2
著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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