M+R (Moebius + Ruppert) メビウス+ルパートの鉛筆削り

近頃はもう鉛筆なんて削る機会はほとんどありませんが、鉛筆削りにどうしてもこだわってしまいます。以前、DUXの4240-Rを紹介させていただきましたが、すでに廃版になっているため、入手はもう困難になっています。
現行商品で何かこだわりのある良い製品はないかと探したところ、ありました。またまたドイツ職人魂を惜しみなく注ぎ込んだこだわりの鉛筆削りです。

M+R社

M+Rは1922年にAlfred MöbiusとHeinrich Ruppert がドイツで設立した文具メーカーです。高品質なドイツ製にこだわりを持ちづづけてまもなく100年になります。
毎度のことながら、理系男子がないて喜ぶ「削り出し」で作られている製品が多く、マニアの心をくすぐります。

M+R 0602

真鍮の円柱を削って作った鉛筆削りです。まさしくソリッドの真鍮の塊から機械加工で削り出して製作した様子が良くわかる鉛筆削りです。円柱の側面から鉛筆を挿入する円錐形の穴を削り出しているのですが、表面、裏面両方で使えるように、2か所に穴が掘削されていて、刃も裏表に2枚ついています。穴は大きさが違います。普通の鉛筆は小さい方の穴で使います。大きい方はより太いグラファイトやクレヨン、化粧用ペンシルなど、鉛筆よりも太いものを削る時に使います。

側面にはローレット加工が施されています。

M+Rのロゴと0602の品番、誇らしげに刻印されているMADE IN GERMANYの文字。すべて印刷ではなく、刻印です。

刃にまでロゴとMADE IN GERMANYが刻印されています。もの凄い職人の自信とこだわりを感じます。刃は専用です。同じM+Rの製品でも、品番によって使えるブレードは異なるのでご注意ください。

鉛筆を挿入する円錐形の穴。削り出した時の掘削痕が美しく、削り出しマニアの心を鷲づかみにします。

小さい方の穴。通常の鉛筆はこちらで削ります。よく見ると中央ではなく、少しオフセットして削られています。刃の中央が円柱の直径になるように設計されているようです。

裏面。大きい方の穴。上の小さい穴と交わらないように90度から微妙にずれた角度で掘削されています。

裏と表の刃の関係が分かります。穴は微妙にずれていますが、刃は裏と表で直交しています。設計としては、おそらく刃をまず直交させ、それに最適な鉛筆の挿入角を計算しているのでしょう。

大きさはこのくらいです。意外に小さいのですが、DUXの4240-Rと同様、鉛筆を削る時は直径の長さでトルクを押さえることができるので、大変使いやすく、よく削れます。

M+R 0604 Grenade

グレネードと名付けられているように、手榴弾や砲弾を彷彿とさせるユニークな形状の鉛筆削りです。無駄のないシンプルな設計で、ドイツの合理主義が伝わる製品です。

究極の大きさです。刃の大きさと比べるとその小ささが分かります。

鉛筆を挿入する穴は中央ではなく、微妙にオフセットしています。計算しつくされた設計なのでしょう。

いかにもドイツ人らしい、無駄のない設計です。

裏から見ると何だかわかりません。グレネードというネーミングが分かります。

上の0602と刃は異なりますので注意が必要です。
円柱状に削り出してから120度くらい切り取ったのでしょうか。こちらも掘削痕が残るので、削り出しのようです。

一つずつローレット加工して、旋盤で削り出して仕上げたような掘削痕が見えます。

ミニマル・デザインです。こんなに小さいのに、ローレット加工のお蔭でホールドしやすく、鉛筆を回すときのトルクを押さえる工夫が施されています。

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メビウス+ルパート(M+R)真鍮アーティスト鉛筆削り M+R Mobius+Ruppert 真鍮製円筒型1穴シャープナー
著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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