ハチロクサンの最短撮影距離5mが足枷となって撮影できないシチュエーションを回避するためにロクロクサンこと600mm F6.3を導入しました。最短撮影距離4mで馴れた冬鳥を予想通り至近距離で撮影することができるようになりました。
馴れた野鳥のパーソナルスペース4m仮説
長年野鳥撮影をしていると、「これ以上近づいてはいけない」と思う暗黙の距離があります。それは鳥種や季節によっても変わりますが、野鳥の様子を見ていると分かるようになってきます。警戒するそぶりが見えたら野鳥のパーソナルスペース内に踏み込んでいるということです。
多くの野鳥は5m~10m程度だと思いますが、狭い都市部の公園に渡ってきた冬鳥などは、しばらくして人の往来に馴れてくるとこのパーソナルスペースがどんどん短くなってきます。こちらが離れたところから撮影していても、野鳥の方から近づいて来るようになります。
しかし、限界があるようで、その距離が概ね4m前後ではないかと感じています。
※パーソナルスペースという言葉はヒトに使う用語なので動物に使うのは間違っているのでしょうが、他の用語はあまりピンとこないのであえてパーソナルスペースと表現しています。縄張りとも違うし、逃避距離、臨界距離などの方が的確なのかもしれませんが、少し違うかな。
要は自分以外のナニモノかが近づいて来て、怖かったり不快に思う最低距離としてパーソナルスペースという言葉を使わせていただいています。
ソマー氏のパーソナルスペースの定義は 「侵入者が入ることを好ましく思わない個人的な領域。個人の身体を取り囲んでいる目に見えない境界線を持った領域」で、文化人類学者ホール氏はこの領域は半径3.6mであると提唱しています。これはフィールドで感じる野鳥との最短距離4mとも近い値になっています。
もしかすると、パーソナルスペースは動物種によらず、概ね4m前後で共通しているのかもしれませんね。
最短撮影距離4m
ロクロクサンを導入した理由は、最短撮影距離が4mだからです。季節や公園の大きさ、鳥種によって5m以下に近付くことが多く、ハチロクサンの最短撮影距離5mでは撮影不能になることがしばしば発生します。この4mから5mの間を埋めるためにロクロクサンは大活躍します。
実写
大好きなアオジ、ジョウビタキ、ルリビタキのいずれもメスを狙って近くの公園に行ってきました。オスはキレイですが、やっぱりメスが好みです。
Z9とロクロクサンの組み合わせで撮影しているファインダーログを掲載いたします。Z9のファームウェアはVer. 4.10です。ロクロクサンの最短撮影距離近傍のサンプルです。鳥認識もほぼ完璧に作動し、野鳥の目にピンポイントでフォーカスを合わせてくれます。
ファインダーログの画面はカクカク動きますが、撮影後のVRのセンタリングのためです。ノーマルモードはVRの効きが良いのですが、撮影の度にレンズがセンタリングされるので連写中はカクカク動いてしまいます。
スズメサイズの野鳥は、ロクロクサンの最短撮影距離ではDXで画面いっぱい、FXで多少周りに余裕がある程度のサイズに写ります。
すべて絞り開放、ISOオートで感度が1000以下になるようにシャッター速度をマニュアルで設定しています。
ファインダーログはファインダー像そのままなので、ロクロクサンの最短撮影距離近傍でどのくらいのサイズにスズメサイズの野鳥が写るかのイメージがお分かりいただけるかと思います。
ファインダーログを見ていただいて分かる通り、馴れた個体はパーソナルスペースまで自ら近づいてきます。それまでは全く警戒する様子もなく、こちらと目を合わせながら移動してきます。私たちの存在は認識していながら、おそらく何もストレスには感じていないのでしょう。しかし、一定の距離以上は近づいてきません。それが概ね4mほどで、ロクロクサンの最短撮影距離近傍となります。
写真はすべてノートリミングで、長辺が1920ドットになるように縮小しているだけです。
アオジ
ジョウビタキ
ルリビタキ
総評
仕事が獣医学書や図鑑、カレンダー用などの撮影なので、野鳥を比較的大きく写す必要があり、近距離からスズメサイズの野鳥をほぼ画面いっぱいに写せるレンズが必要でした。野鳥が近すぎて撮れないなどということはあってはならないので、ロクロクサンは非常にタイムリーに登場してくれました。
600mmの超望遠レンズを手持ちで4mの距離から撮れるなどとは、フィルム時代は考えもしなかったことが実現できています。残念ながら「腕」ではなく、位相フレネルレンズやレンズ内VR、さらにボディとのシンクロVRによる6段分の手ブレ補正、鳥検出など、最新の科学技術のたまものです。
画質も大変良く、学術的な記録としても重宝します。
おまけにコンパクトで軽く、老体に優しいレンズでもあります。
良い時代になりました。
季節や公園、目的の鳥種に応じてハチロクサンとロクロクサンをうまく使い分けると歩留まりを上げることができそうです。
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