ビデオ用照明器具:SmallRig SR3936 [RC-120D COBビデオライト]

グリーンバック(ブルーバック)使用時の照明

最近はグリーンバックなどを背景として撮影し、クロマキー合成が簡単にできるようになってきました。YouTuberなども積極的に使っているようです。スマホだけでもできてしまいます。

しかし、きちんと作ろうと思うと、色々と問題が発覚することが多く、状況によっては思うように合成ができないこともあります。多くは切り出し時の縁が不自然であったり、背景の緑が反射してその部分が抜けてしまったりする不具合が生じます。
それらの不具合の多くは照明によって解決できます。

背景よりも強いライトで被写体に照明をあてる

部屋の照明器具など、単一の照明だけではグリーンバックと被写体がほぼ同じ明るさとなるため、背景のグリーンが被写体に反射して緑色に見えてしまうことがあります。被写体で、背景の緑が反射した部分はクロマキー合成時に抜けてしまい、いかにも合成したような不自然な合成像となってしまいます。

被写体にのみ背景よりも強い照明を当てると背景の反射よりも被写体に当てた照明の反射の方が勝るため、緑色の反射を軽減することができます。

被写体とグリーンバックの距離をあける

グリーンバックに近い位置に被写体がある場合、被写体の影がグリーンバックに出やすくなります。影がある場所とない場所の色が異なるため、クロマキー合成時に緑の幅を多くとる必要があり、合成に不具合が生じる確率が高くなります。

グリーンバックを均質にする

折りたたんだ布の場合は蒸気アイロンをかけて、できるだけ折り目やシワを除去します。セットしてから衣料スチーマー(数千円の安いもので十分)などで軽く蒸気を当てるだけで簡単に皺が取れます。一手間かかりますが、これをするかどうかでグリーンバックからの切り出しの成功率が格段にアップします。

被写体用の照明

スタジオなどでは、グリーンバック専用の照明、被写体用の照明をそれぞれ複数台用意して撮影するようですが、家庭で簡易的に撮影する場合は、グリーンバックは部屋の照明を利用して、被写体にのみ専用の照明を当てるだけでかなり効果が得られます。それだけでもグリーンバックの被写体への反射を極力低減して、クロマキー合成の成功率を上げることができます。

SmallRig SR3936 [RC-120D COBビデオライト]

仕事柄モノブロックのストロボは使用していましたが、動画は専門外だったのでビデオ用の照明は持っていませんでした。それほど使用頻度も高くないので、低価格で効果的なビデオライトを検討して、最終的に行き着いたのが、SmallRig SR3936 [RC-120D COBビデオライト]でした。

業界最新のCOBテクノロジーとSmallRig工業デザインにより、開発されたライトシステム。特別設計の55°標準カバーを装備し、1m範囲の照度は62,600 Luxに達しています。より自然で真実な色を再現できCRI 95+、TLCI 96+に達する高品質のLEDビーズを搭載して、色温度5600K±200Kが調節可能で被写体の色を自然で正確に再現することができます。標準Bowensバヨネットマウントでライトコントロール用アクセサリーを追加できる。SmallGoGoアプリでのコントロール。輝度や色温度など、9種の内蔵のライトを調整できます。スマートな熱放散システムと静音システム。超静音ファン、1m範囲のノイズはわずか25dB±2dB、光体温度が60℃以上になると、自動に放熱機能がONになります。高性能収納バッグつき、持ち運び便利に。

色温度が5600K±200Kなので部屋の照明が暖色系(白熱電球など)の場合は注意が必要ですが、昼白色系の照明の場合は問題ありません。照度が高いので、この照明下でホワイトバランスをマニュアル設定するので部屋の照明の色温度と厳密に合わせる必要もないかもしれません。部屋の照明を受けている背景のグリーンバックは消されるので、色温度の差は気にする必要はありません。

何よりCRIが96オーバーという仕様が素晴らしいところです。一般的な白色のLEDは青色LEDと黄色の蛍光物質でできているので、CRIが低くなります。多くは赤の表現が乏しくなるので、肌色などの発色が悪くなります。CRIが96オーバーもあるということは、多色のLEDや様々な蛍光物質を使用して実現しているのでしょう。LEDとしてはかなり優秀なCRIです。

光量は背面のボリュームつまみで自由に調整できます。色温度も調整できますが、カメラ側のプリセットホワイトバランスで合わせてしまうので、今回は使いませんでした。既存の照明などと微妙な色合わせが必要な場合は±200Kの範囲で調整可能です。

本体、フード、電源などが、すべてぴったり収まる専用ケース付きです。この配慮はありがたいと思います。

SmallRig RA-S280 ライトスタンド 3736

同じSmallRig社から出しているスタンドを購入しました。太陽光を模してかなり上から照明を当てると背景との合成で違和感が少なくなるので、比較的高い位置に設置できるものを選びました。この製品は最大280cmまで伸びるので、一般家庭の天井レベルから投光することが可能です。角度をつけることによって、背景のグリーンバックに影ができることを避けることもできます。影が強すぎる場合は被写体手前下にレフ板などを使用するのも効果的です。

使用感

どこまで本格的に撮影するかによりますが、簡易的な動画撮影用の照明としては正解でした。適切な色温度で、十分な照度があります。何よりCRI96は伊達ではなく、マンセルカラーチャートを見ても色の再現性が大変高いことがわかります。大変コストパフォーマンスが高いビデオ照明だと思いました。

部屋の照明だけでは不具合が発生していたクロマキー合成も、被写体に効果的に照明をあてるだけで改善されました。また、ビデオ照明を背景動画の太陽光位置を模してセッティングすることによって違和感のないクロマキー合成ができます。そのためにも、自由度が高いスタンドも必要になります。背景動画の太陽位置が高い場合はグリーンバック撮影の照明位置も高い位置から当てないと不自然になります。

背景動画

背景は公園で数分間固定撮影した映像を使っています。少しでも動くと違和感を感じるので、Z50を手すりの上に乗せて撮影しました。それを背景として必要な長さにつないで作っています。

ソフト

CyberLink社のPowerDirector 18を使っています(何年も前のソフトで、今はもっとバージョンが上がっています)。以前はAdobeのPremiere Proを使っていたのですが、Windows10に対応しなくなってしまい、かつ、買取できないCCになってしまったのでPowerDirectorに乗り換えました。使いやすく、コストパフォーマンスが良いソフトです。
クロマキー合成も簡単にできます。

作例

本当はフィールドで撮影する予定だったのですが、プロンプターなどの機材を持って行くのが面倒だったので、急遽グリーンバックで撮影することにしました。ぶっつけ本番なので、あまりきれいに合成できていませんし、不自然な箇所も多々ありますが、素人でもこのくらいは簡単にできます。
狭い家の中なので、グリーンバックとの距離もあまり取れなかったのでそれなりの画像ですが、広い空間があればもう少しはうまく合成できたと思います。

プロがスタジオで撮影するものとは比較にならないと思いますが、素人が家庭で気軽に撮影するには十分ではないでしょうか。


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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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