使用機材

叔父が写真屋だったこともあり、小学生のころから叔父のブローニー版カメラで撮影して、白黒ですが現像から焼きつけまでしていました。生意気なガキです。
叔父の形見としていただいたMamiya C220と、Mamiya UNIVERSAL は今も大切に保管しています。

カメラボディ

そんな経緯で、幼いころから写真にこだわりがあったので、大人になってからは、ずっとPentaxの645を使っていました。画質的にブローニーフィルムでないと満足できませんでした。天体写真が趣味でしたので、増感することが前提だと、最低でも645のサイズが必要なのです。Pentaxの645は中判カメラでありながら、大変機動性が高く、扱いやすいカメラでした。当時は若かったこともあり、その辺に散歩に行くときも、旅行に行くときも、普通に645を持ち歩いていましたし、鈴鹿のF1の撮影もこんなデカいカメラで流し撮りをしていました。オプトメカトロニクスという造語で宣伝していたように、光学とメカニカルとエレクトロニクスを高次元で融合させた、他の中判カメラとは一線を画するカメラでした。

写真が仕事になってからの歴代デジタルカメラは、Nikonの一眼レフデジカメを使用しています。撮影は、医療写真専門です。そのため、ニュートラルな色の再現性、2度と撮れないシーンなので、高い信頼性を得るためにNikonを選択しました。

Nikonは特に血の色の再現が良かったので、最初に買ったデジタル一眼レフがD1xです。人間は血の色に大変敏感で、少しでもオレンジ色っぽかったり、紫色っぽかったりすると大変違和感を感じるのです。当時の他のメーカーはぱっと見の印象をよくするためか、派手目な色に仕上げる傾向がありました。そんなもので術創を撮影するととんでもなくどぎつい絵になります。Nikonのフラグシップは素材として使えるデータを作るプロ用カメラなので、変に色を強調するようなことはなく、ニュートラルで正確な色再現をしていました。臓器の色も、顔色も、すべて血の色がベースになっているので、それがNikonを選択した一番のポイントでした。

また、風景写真と違い、手術の写真は失敗したから後日もう一度撮る、などということは許されません。一発勝負で失敗は許されない世界なのです。
今まで、何十万枚撮影したかわかりませんが、撮影中にカメラが壊れて撮影不能になったことは一度もありません。さすがNikonと思っています。

手術室という特殊な環境で、術創のマクロ撮影を強いられるため、DXフォーマット(APS-C)の方が都合がよく、ずっとDXフォーマットを使い続けています。術創にはあまり近づきたくないので、同じレンズでFXと同じ大きさに写す場合に、DXだとより遠くから写せる点が有利となります。ストロボも使うので、より離れた場所から写せると、光もけられずに深いところまで届きやすくなります。
また、眼科撮影などでも等倍撮影することが多く、目が小さい動物などではFXフォーマットよりもDXフォーマットが有利となります。
D1xの次はD2xsを使っていましたが、D3からNikonのフラグシップはFXフォーマットに移行してしまったので、D300s、D500とDX機を使い続けています。
こんなカメラを使ってきました。

  • Nikon D1x(引退)
  • Nikon D2xs(引退)
  • Nikon D300s(引退)
  • Nikon D500(引退)、Z50(サブ:現役)
  • Z9(現役)
  • Z8(家内のカメラ:時々借りる)

追記(2022年)

2021年のNikon Z9の登場によりミラーレスへの全面移行の決断ができました。
FマウントレンズはFTZ-IIを介して使用していますが、野鳥撮影は完全にZマウントに移行しました。

追記(2023年)

家内がZ50からZ8に移行したのに伴い、Z50を顕微鏡撮影用として使っています。顕微鏡カメラとしても最高のパフォーマンスを発揮しています。無振動の完全電子シャッターが使えること、フォーカス時に拡大表示ができること、ホワイトバランス調整が容易なこと、露出補正が簡単にできることなど、ミラーレスの恩恵を受けています。顕微鏡専用カメラを含めて、今まで使ったどのカメラよりも顕微鏡撮影向きだと思います。

レンズ

撮影の仕事は、医療系だけではなく、ウェブサイトの制作や野鳥撮影など、多岐に渡っていますので、それに応じてレンズは使い分けています。レンズ交換ができて、高画質の写真が得られるところが一眼レフのメリットなので、野鳥や天体を撮るときの望遠系は基本的に単焦点レンズを使い、広角系はあまり高倍率ではないズームレンズを使用しています。昔、Nikonの技術者が「光学的に高画質を維持できるズームは、せいぜい3倍前後まで」と言っていましたが、現在でも通用する指標であると思います。確かに優れた特性のガラスや非球面レンズの技術は年々向上していますが、それでもズーム比10倍のレンズなどはかなり無理をした設計になっているでしょう。デジタルの時代になって、収差補正などをボディ側でできるようになってきているようですが、われわれ旧人類からすると気持ちが悪いと感じてしまいます。
仕事として使う場合は、やはり光学的な特性だけで勝負したいと思っています。旅行に持って行く、などと言う時は高倍率ズームが便利なのでしょうが、それだったら高倍率ズームがついたコンパクトデジカメの方が理にかなっていると思います。

現在所有しているレンズです。焦点距離が短い順に書くと。

医療撮影の仕事で最も使うのが105㎜マクロです。特に需要が多い眼科撮影ではこれ一択になります。
手術写真で思いのほか重宝するのが、Nikonが誇る名玉と言われているZoom-Micro Nikkor 70-180mmです。単焦点だと引きで撮影したいときは下がらないといけないのですが、狭い手術室で機器類があるので、あまり動きたくありません。このレンズであればその場で引きの写真も撮れます。しかも、望遠端は180㎜あるので、望遠マクロ系であり、術創からかなり離れた位置からマクロ撮影ができます。もう20年以上前のレンズですが、素晴らしい描写力です。残念ながら現在は販売終了していますが、これに代わる後継機種がないのです。

野鳥撮影では、現在は800mm f/6.3をメインに、近距離撮影用として600mm f/6.3を使用しています。DXフォーマットではそれぞれ1.5倍の1200mm、900mm相当となります。
1.4倍テレコンを使うとそれぞれ、1680mm、1260mm相当、2倍テレコンを使うとそれぞれ2400mm、1800mm相当となります。2400mm相当の超超望遠レンズが手持ちで使える時代になったことに感動しています。

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