自分にふさわしいカメラは?

大学で授業を持っていますが、獣医学部という特殊な環境からか、比較的写真に興味がある学生が多いように思います。症例写真や手術写真をきちんと撮りたいとか、顕微鏡写真を撮る必要があったり、野生動物の調査などで写真を撮らなければならないシチュエーションが多いからでしょうか。文系の学生でしたら、写真はスマホで十分と考えるのが普通だと思いますが、獣医系のレポートや論文を書こうと思ったら、スマホだけでは済まないということに気づくのでしょう。

授業は、コンピュータの基礎から、写真撮影、撮影データの加工などの技術を学び、レポートに貼ったり、パワーポイントでプレゼンテーションができるようになることを目標としています。日常的に使う技術なので、大学生活で困らないように、1年の前期に行っています。

一昔前まで、ほとんどの学生はデジカメを持っていました。合格祝いなどでもらったりもしたのでしょう。しかし、最近は入学してくるほぼ100%がスマホオンリーとなってきています。高校生までは、デジカメの必要はないのでしょう。

スマホカメラもどんどん進化しているので、大学でもそのうちスマホだけで卒論まで行けてしまう時代になるかもしれませんが、今はまだまだデジタルカメラに軍配が上がります。スマホでは撮影できないシチュエーションや被写体がまだ多く存在しています。
授業を受けて、カメラの必要性を感じた学生は、純粋に何を買えば良いのか聞いてきます。

これはなかなか難しい問題で、一言で答えられるものではありません。デジカメにもさまざまな種類があり、目的によって向き不向きがあります。
デジタルカメラには、 コンパクトデジカメ(コンデジ)、一眼レフデジカメ、ミラーレス一眼などがあります。さらに、センサー(昔のフィルムに相当する部品)の大きさが小さいものから大きいものまで揃っています。これから写真をはじめようという人にとっては選択肢が多く、自分には何が合っているのかを知るのは大変です。
ここではそれらの特徴や長所短所を考えてみましょう。

スマホカメラ

スマホカメラで満足な人はこの記事を読んでいないと思いますので、あまり語ることはありません。

確かにスマホカメラは年々進化しており、画素数、高感度特性、レンズの解像度など、数年前のコンデジを超える性能のものも出てきています。

しかし、写真の表現力、速射性、望遠、マクロなどの機能はスマホでは難しいところです。ボケやゆがみなど、一部デジカメが勝っている表現力などをソフトでカバーしたスマホカメラも登場しています。しかし、そういったデジタルデータの加工は、論文などで使うと捏造になってしまうのではないかと心配しています。論文などでは機種名なども書くので、スマホの機種名を書くのも格好悪いと感じてしまいますが、それは自分が旧人類だからかもしれません。

いずれにしても、学術的な論文や調査報告などはスマホカメラではなく、デジタルカメラを使用することをおすすめします。

デジタルカメラ(デジカメ)

デジカメには、様々な種類があります。ちょっと整理してみましょう。

コンデジ

コンパクトデジタルカメラです。定義は曖昧ですが、多くはレンズ交換ができない小型カメラを指しています。中には超望遠レンズを搭載した大型のものもありますが、ほとんどは気軽に旅行などに持って行けるよう、カバンや大き目のポケットにも入れられるような設計になっていると思います。

画素数や画質、高感度耐性などは下手をするとスマホの方が優れていることもありますが、写真を撮る目的で作られているかどうかが大きな違いです。写真を撮ることに特化している分、気軽に使えて、速射性もあり、様々な調整なども可能です。

多くは光学的に拡大・縮小ができるズームレンズが付いていて、スマホでは撮れないものを撮ることが可能です。

しかし、近年はスマホカメラの進化に対抗するのが難しくなりつつあり、いずれ淘汰されてしまうのかもしれません。超望遠撮影、マクロ撮影、水中撮影など、スマホで真似ができない特殊な機能を持ったコンデジのみが生き残るのではないでしょうか。

デジタル一眼レフカメラ

レンズ交換が可能で、光学ファインダーを有するデジタルカメラの総称です。一眼レフは50年以上の歴史があり、写真を撮るための道具としてはかなりの高次元で完成されている製品です。そのため、スポーツ、報道、芸術など、あらゆる分野のカメラマンが利用しているカメラです。レンズも一番種類が多く、超広角レンズから超望遠レンズ、魚眼レンズ、マクロレンズ、など、撮りたい被写体に合わせて最適なレンズを選択することが可能です。

画素数や画質、高感度耐性などは最もよく、レンズも多くは解像度が高く、最高の写真を撮影することができます。

どんな被写体でも、正確な色や形状を記録することができます。また、外部ストロボなども使えるため、照明の自由度が増し、多彩な表現をすることも可能です。

次に述べるミラーレス一眼と決定的な違いは、光学ファインダーかEVFかの違いです。一眼レフはレンズとシャッターの間に鏡があり、レンズを通って来た光を直接ファインダーで見えるようにしています。そのため、ファインダー像にタイムラグがまったくなく、動きの激しいものを撮るのに向いています。スポーツ写真や野鳥撮影、野生動物の記録などでは現在でも一眼レフタイプが主流です。

当分の間はスマホで代用できるようにはならないでしょう(時間の問題かもしれませんが)。

ミラーレス一眼

レンズ交換ができるデジタルカメラで、一眼レフに似ていますが、光路の途中に鏡がなく、センサーで受光した映像をEVF(電子ビューファインダー)やモニターに出力したものを見ながら撮影するタイプのカメラです。近年登場した技術でまだ歴史が浅く、メリットとデメリットを包含しています。今後デメリットは技術の進歩とともに解消されていくことでしょう。

メリットとしては、鏡がないため、レンズをセンサーを近づけることが可能で、光学的な性能は向上し、かつ、コンパクトなカメラを作ることが可能です。

デメリットとしては、一度センサーで受けた映像を出力するため、タイムラグがあることです。また、電源を入れている間はずっと撮影し続けているような仕組みなので、バッテリーの持ちが悪くなります。
しかし、タイムラグはメーカーの努力によって短くなってきていますし、シャッターを押す前の映像まで記録する技術により、決定的瞬間をとり逃すようなこともなくなってくるでしょう。バッテリーも性能の向上が期待され、そのうち一眼レフと同等になってくることが予想されます。

現在はまだ一眼レフに軍配が上がるシチュエーションが多いと思いますが、数年後にはミラーレス一眼に移行して行くことが予想されます。

フォーマットについて

新宿ニコンショウルーム(撮影許可を得ています)

センサーの矩形や大きさをフォーマットと言います。

デジタル一眼レフやミラーレス一眼では、大きい方からフルサイズ(35㎜版、36×24㎜)、APS-C(23.5×15.7mm)、マイクロフォーサーズ(17.3×13mm)の3種類が主流です。

大きい方が一般的に解像度が高く、階調も豊かで高感度耐性も優れています。一方、小さい方が同じ焦点距離でも望遠効果やマクロ効果が上がり、システムとして小型化できるメリットがあります。

どれがベストということはできず、未だにカメラメーカー各社も試行錯誤をしている状況です。

個人的には仕事でも望遠撮影とマクロ撮影を頻繁に行うため、APS-Cサイズのカメラを使用しています。フルサイズよりも1.5倍ほど拡大されるのがメリットです。フォーサーズはより拡大されますが、画質面で少々不利となってきてしまうので、長年の経験から、APS-Cあたりがベストサイズかな、と感じています。

風景写真や特に解像度が必要な商品撮影やモデル撮影などに使う場合は、フルサイズのカメラが適しているでしょう。

まとめ

シチュエーション毎に適した組み合わせをまとめてみました(個人的な感覚です。人や状況によって当てはまらないこともあります)。

状況フォーマットタイプレンズ
旅行などに気軽に持って行きたいコンデジ|スマホ
趣味として風景や街並みなどを撮りたいフルサイズデジタル一眼レフ|ミラーレス一眼広角系レンズ
花や植物などを撮りたいAPS-Cデジタル一眼レフ|ミラーレス一眼マクロレンズ
こだわりの野鳥写真が撮りたいAPS-Cデジタル一眼レフ超望遠レンズ
症例写真、手術写真などの特殊環境APS-Cデジタル一眼レフ|ミラーレス一眼マクロレンズ

こんなところでしょうか。

そもそも、このページを読んでいただいているということは、スマホの写真では満足できず、ステップアップを考えていらっしゃる方だと思いますので、レンズ交換ができる一眼レフか、これからのトレンドを見据えてミラーレス一眼がおすすめです。撮影目的で一眼レフかミラーレス、旅行や普段の持ち歩きにコンデジかスマホ、という使い方が良いのではないでしょうか。

個人的には、仕事である医療写真や野鳥写真は一眼レフデジカメ、その他普段の持ち歩きとしては小型のミラーレスを使っています。旧人類なので、スマホではあまり写真は撮りません。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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