テープがいらない:ビデオカメラもここまできたか(2008年)
最近は動画撮影の依頼が増えてきました。もちろん、私の仕事分野では手術シーンや手技の映像で、美しい女性モデルなどというおいしい話はほぼありません。動物の内臓ばかりです。
10年以上、DCR-VX2000を使っていましたが、テープを認識しないなど、そろそろ不具合が起き始めてきて、撮り直しができない手術シーンではいささか不安になってきました。
様々な機種を検討した結果、また今後10年使う前提でHVR-Z5Jを購入しました。まだDVテープが主流ですが、今後はメモリカードの時代になることが予測されます。
HVR-Z5J選定の最大の理由はメモリーレコーディングユニットHVR-MRC1Kが本体に取り付け可能だったからです。このHVR-MRC1Kは極めて有用な機器であり、コンパクトフラッシュ(CF)にテープと同内容(別フォーマットもできる)のデータを記録できる優れものです。テープはもういらなくなります。しかも編集困難なAVCHDフォーマットではなく、ハイビジョンはHDV(Mpeg2)、DVはAVIで記録できます(でかいけど)。私のように数時間の手術を2分にまとめるといった仕事だと、まず数時間のテープをパソコンに読み込むだけで、滞りなく行ったとしても撮影時間と同じ時間かかりますが、CFだと市販のカードリーダーでも瞬時に取り込めてしまいます。フォーマットはm2tですが、Adobe Premiere Pro CS3ではそのまま読み込めて、編集可能です。これで作業効率が格段によくなりました。
HVR-Z5Jの光学20倍ズームもスペック上はかなり無理な設計をしていると思い、最初はあまり期待していなかったのですが、35mm判換算で約30mmの広角から約600mmの超望遠まで連続無段階でカバーできるありがたさは使ってみて改めて感じました。スチルカメラのズームではあり得ない(あっても性能が悪い)ズーム倍率ですが、イメージサークルが小さいためか、HVR-Z5Jでは全域で破綻無く使えることは驚きです。換算30mm相当から600mm相当まで連続してズーミングできるのは新鮮です。手ぶれ補正も良く効き、手持ち600mm相当でもがんばれば結構撮れます。
- ズームテスト
- 久しぶりに晴れたので、いつも野鳥を撮る公園でテストを行った。まずは光学20倍ズームと600mm相当での手持ち撮影の可能性を探った。
- カメラ:HVR-Z5J
- メモリーレコーディングユニットHVR-MRC1K
- 三脚:なし。手持ち
- 圧縮しているため、画像はかなり劣化しています。
- 光学20倍ズームは優れものです。広角端が約30mm(35mm版換算)なところが使えます。30mmから600mm近くまで連続してズームできます。さすがに600mmでは像がゆれますが、三脚を使えば問題ないでしょう。鳥などを撮るのであれば、機動性を重視して一脚が適していると思います。
今後SONY HVR-Z5J + HVR-MRC1Kが動画のメインカメラとなります。
追記(2020年)
2019年終わりまで、SONY HVR-Z5J + HVR-MRC1Kは現役バリバリでした。もう12年使っていますが、映像はきれいです。世の中4K、8Kのカメラが出ていますが、編集が大変なだけで、自分の仕事内容でそのスペックは必要ありません。
今やミラーレス一眼やコンパクトカメラの動画の方がスペック的には遥かに上ですが、動画を撮影するというシチュエーションでは、きちんと動画撮影用に設計されたビデオカメラの方が遥かに使い勝手が良いものです。
メーカーがその時出しているフラグシップを多少無理してでも買っておくと、10年は使えるので、かえって安上がりだし、使い慣れるので、良い仕事ができます。
と、思っていました。
2019年暮れに家内のために購入したNikon Z50の動画を試してみて、目から鱗でした。1920×1080のフルHDで、30p、60pで撮影できます。HVR-Z5Jは1440×1080-30pか60iまでです。特にNikon Z50のフルHDの60pの映像はなめらかで、動きの激しい被写体は雲泥の差に見えます。今やスマホでも実現されているフォーマットですが、あらためて映像を見ると、進化を感じざるを得ません。
そろろろミラーレスにバトンタッチかな。