Nikon Z9 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S レビュー(花)

花の撮影は専門外ですが、花を撮影対象としている人も多いと思いますので、ベランダの花を撮影してみました。どのくらい寄れるのか、開放での描写はどうか、FXとDX切りかえで画角はどうかわるのかなどをテストしました。

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被写体検出

野鳥撮影用に設定していたワイドエリアAF(L)で被写体検出ONで撮影をはじめたのですが、面白いことにあっちこっち変なところにフォーカスポイントが移動します。被写体検出に植物や花は含まれていませんが、画面の中で顔、目、乗り物に該当するものがないか一生懸命検出しようとしているのでしょう。変なところにフォーカスポイントが現れるとちょっと怖い。

パンジーは人が見ても顔のように見えますが、案の定Z9の被写体検出は顔として認識して目を探していました。花の中央部にフォーカスを合わせたかったのですが、その少し上の左右にある黒い班を目として検出してそこに合焦してしまいます。

マニュアルフォーカス

マクロはやはりMFですね。Z 24-120mm f/4 SはA/M切り替えスイッチがあるのですぐにマニュアルに切り換えられます。オーソドックスにフォーカスを最短に固定してカメラの前後で中央にフォーカスして撮影しました。Z9のピーク表示も大変わかりやすく、マニュアルフォーカスが簡単にできます。

フォーマットの変更

Z9は画素数が多いので、個人的な用途ではDXフォーマットでも十分に使えます。単純に1.5倍になるので、望遠撮影やマクロ撮影では有利になります。ファンクションキーに割り当てれば簡単に切り換えられるので、大変便利です。

FX最短撮影
DX最短撮影

絞りによる変化

開放F4、5.6、8、11、16、22でテストしてみました。パンジーの中央部での比較です。画像下にEXIFデータの抜粋を表示しておきます。

以下は中央部1920×1920ピクセル領域の切り出しです。

Exposure Time : 1/2500
F Number : 4.0
Exposure Program : Manual
ISO : 360
Exposure Time : 1/2500
F Number : 5.6
Exposure Program : Manual
ISO : 500
Exposure Time : 1/1000
F Number : 8.0
Exposure Program : Manual
ISO : 400
Exposure Time : 1/500
F Number : 11.0
Exposure Program : Manual
ISO : 360
Exposure Time : 1/250
F Number : 16.0
Exposure Program : Manual
ISO : 320
Exposure Time : 1/125
F Number : 22.0
Exposure Program : Manual
ISO : 320

すべて中央部の白いひげ状の部分にピントを合わせています。開放F4から驚くほど解像しています。F8前後で最高の解像度でしょうか。F22まで絞りましたが、画質が極端に下がることはなく、素直に被写界深度が深くなるだけです。回折ボケはソフトでコントロールされているのかもしれませんが、違和感はまったくありません。

総評

噂通り、開放から大変シャープな印象です。マクロ領域においても開放から安心して使えます。複数のフォーカス用レンズ群を別に動かすことによって近距離撮影の結像性能に威力を発揮しているそうです。
ズームレンズは少し絞らないと使えないという印象を持っていましたが、考え方を変える必要がありそうです。色収差を見るために白い花を撮ってみましたが、色付きのフリンジなども見られず、スペック通りの性能を発揮しているようです。
まだ本職の医療撮影の実践投入はしていませんが、おそらく何も問題なく使えるでしょう。それどころか、今までよりも遥かに高精細で正確な記録画像が撮影できると思います。楽しみです。
医療画像ではF16やF22を多用するのですが、いささかもったいない気がしました。このレンズは開放近くで撮ってナンボのものだと思います。

一般撮影では、F4なのでそれほど明るいわけではありませんが、積極的に開放のボケを楽しむことができるでしょう。新世代のズームレンズの誕生なのかもしれません。
5倍ズームだから、とか、F4だから、などといった色眼鏡や先入観はもはや通用しません。旧人類はにわかに信じられないかもしれませんが、開放で単焦点に匹敵するほど解像する5倍ズームレンズなのです。ビックリです。もちろん単焦点とはF値は異なりますが、焦点距離としては24mm、28mm、35mm、50mm、60mm、85mm、105mm、120mmの単焦点を包含する焦点域であり、すべて開放から使えるのがミソです。F4でも近距離撮影では背景は結構ボケてくれるので、ポートレートやモノ撮りにも意外と使えます。

より明るい24-70mmF2.8などのF2.8のシリーズもありますが、もっとピーキーな浅い深度や美しい前ボケや後ボケが必要であれば、24mmF1.8や50mmF1.2、85mmF1.8などの単焦点を使った方が良い結果が得られるでしょう。目的にもよりますが、自分の用途ではより明るいズームレンズよりも、本レンズと明るい単焦点の使い分けの方が理にかなっているように感じます。せっかくレンズ交換式のカメラなのですから、単焦点も積極的に使いたいものです。ズームはズームの良いところ、単焦点は単焦点の良いところがあり、それを最大限に引き出せる写真を撮りたいものです。

おそらくこのレンズでNikonがこだわったであろう「全焦点距離F4通し」も素晴らしく、24mmの広角から120mmの望遠までの5倍ズーム全域でF値が変わらないという設計は見事です。一般撮影ではあまり恩恵はないかもしれませんが、スタジオで大型ストロボを使った撮影をするときなどには重宝します。適正となるようにストロボの発光量と絞りを最初に決定しておけば、後はどんなにズーミングしても距離を変えてもずっと同じ露出で撮れるのです。

普段使いや旅行に行く時もこれ一本でほぼすべての撮影をこなすことができるでしょう。オールマイティに使えるレンズです。

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Nikon Z9:被写体検出:総論
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Nikon Z 9 ボディ

野鳥撮影にも最強のパフォーマンスを発揮するミラーレスフラグシップです。被写体検出機能で野鳥も認識して目にフォーカスを合わせてくれます。本格的に野鳥撮影をする方にはおすすめです。
FTZ-IIを介して今までのFマウントの超望遠レンズも問題なく使えます。ZマウントのNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sとの組み合わせは5.5段のVRが効き、800mm(DXで1200mm)ながら手持ち撮影が可能になります。


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位相フレネルレンズ採用の通称ロクロクサンと呼ばれる600mmF6.3の単焦点レンズです。
全長278mm、重量1470gで、600mmの焦点距離からは想像できないほど小型軽量です。レンズ単体で5.5段、Z9やZ8との組み合わせではシンクロVR機構によって6段分のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると900mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで840mmF9、1200mmF13、DXで1260mmF9相当、1680mmF13相当となります。
最短撮影距離が4mなので、野鳥が近い公園などでは有利となります。

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NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S

位相フレネルレンズ採用の通称ハチロクサンと呼ばれる800mmF6.3の単焦点レンズです。
800mmの超望遠レンズとしては驚くほど小型軽量で、全長385mm、重量2385gしかありません。レンズ単体で5段分、Z9やZ8との組み合わせでは、シンクロVR機構によって5.5段のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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