Nikon Z9:野鳥撮影時の露出

F5.6
1/50s
ISO 250
0.00eV

Z6やZ7ですでに一眼レフよりも露出は良くなっていたのかもしれませんが、一眼レフから今回Z9に移行した感覚としては、露出決定のアルゴリズムが一眼レフよりもかなり進化しているような印象を受けました。露出制御はカメラ内部で何をしているのかわからないので、感覚的なレポートになってしまいますが、撮るものが常にセンサーで把握できているので、制御もしやすくなったのでしょう。

一眼レフではシャッターを押すまでセンサーに光は当たりませんので、センサーとは別に測光専用のセンサーで光を測定して露出を決定しています。ミラーレスでは常に撮像センサーに光が当たっているので、最終的に写真になる像で露出決定ができます。露出決定をする上では実際に写すセンサーで測定する方が断然有利でしょう。
EVFは撮影前に露出の過不足が見えて調整できるということもありますが、そもそも露出の精度が良くなったようで、一眼レフからZ9への移行で露出の失敗が圧倒的に少なくなりました。

一眼レフではスポット測光で使っていましたが、今回Z9の様々な測光方式を試してみて、ハイライト重点測光の感触がよかったので、もっぱらそれを使っています。一眼レフの時代からハイライト重点測光はありましたが動作が予測困難で、補正するのが難しかったため、使わなくなってしまいました。

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測光方式

中央部重点測光や平均測光、スポット測光はフィルム時代からある測光方式で単純明快です。どの機種でも概ね予想通りのふるまいなので、慣れたカメラマンはすぐに露出補正などもできるようになります。しかし、分割測光やハイライト重点測光はメーカーや機種によって露出決定のアルゴリズムが不明で今までの経験や勘が活かせない測光方式です。そのため、多くのカメラマンは補正値が予測しやすい中央部重点測光やスポット測光をよく使っていたと思います。デジタル時代になってからは、撮影した結果を見て補正することが簡単になったので、その足枷はなくなりましたが、確認作業が難しい野鳥などの撮影には不向きでした(確認している間に鳥はいなくなっています)。
そのため、刻々と変化する背景の輝度に合わせて露出調整をするのはかなり難しく、長年撮影していても、露出アンダーやオーバーの失敗はするものです。

野鳥の露出

身近な野鳥ですが、自分にとっては一眼レフのときは撮影困難な野鳥でした。
予測してマイナス補正しない限り頬の白い羽毛が必ず白飛びします。
もちろん、白飛びした画像は学術的にもボツです。
頬は白く見えながらも白の中の諧調が残っているのが適正露出です。

野鳥は種によってさまざまな色や柄なので、適正露出で撮影するのはなかなか困難です。多くの野鳥は白色の羽毛を持っているものが多く、その部分の白飛びとの闘いになります。仕事として撮影する場合は白飛びはボツ写真で、カメラマンが最も恐れる失敗です。シジュウカラのように白と黒が混在する鳥は新郎新婦の写真と同様、黒がつぶれず、白が飛ばないように撮影するのは困難です。
一眼レフの頃からNikonではハイライト重点測光という測光方式があり、画面の中の最も明るい部分が白飛びしないように露出を決定するという説明でしたが、実際はなかなかうまく機能せず、暗い水面のサギは相当補正しないと白飛びしますし、背景が明るい場合は背景の輝度に引きずられて大幅に露出アンダーになり、大変不安定な露出になりました。それを使い続けることによって慣れるのかもしれませんが、中央重点測光などで補正する経験を積んでいる場合はその感覚がかえって邪魔になり、ハイライト重点測光を使っているときに補正値を予測するのが困難でした。

被写体検出との連動?

今回、Z9のハイライト重点測光を使って今までの一眼レフのイメージと異なる印象を受けました。一眼レフ時代のハイライト重点測光とはふるまいがまったく異なるように感じています。一眼レフ時代は画面全体でのハイライトを検出していたのに対し、気のせいかもしれませんがZ9ではどうも被写体を検出してその被写体の中のハイライトが飛ばないように調整しているような印象を受けています。マニュアルなどには、AFの被写体検出と連動しているような記述は無いようなのですが、 同じハイライト重点測光という名前でも一眼レフとは別物のように感じています。

暗い水面を背景にしたサギなどは、ハイライト重点測光でも一眼レフ時代はかなりマイナス補正しないとサギの白は飛んでしまいました。また、画面に占める白い被写体の割合や背景との輝度差によっても左右されたようで、なかなか補正が難しい測光モードだった印象です。

しかし、Z9では露出補正値±0でも白い被写体の諧調を残そうとしているように見受けられます。 ワイドエリアで、被写体検出(動物)の設定ですが、今までのカメラだったら相当マイナス補正しないと白飛びしていたようなシチュエーションでも可能な限り白飛びしないように調整してくれているようなふるまいを見せます。

昔からある平均測光や中央部重点測光と異なり、スポット測光はAFのフォーカスポイントと連動しますし、分割測光などもどんな状況でもできるだけ最適な露出になるように分割パターンや露出決定のアルゴリズムがどんどん進化しています。
ハイライト重点測光も内部でどのようなアルゴリズムで露出決定をしているのか不明ですが、Z9ではAFの被写体検出の機能と連動しているのかもしれません。

上記動画はダイサギに向けたファインダー像です。AFはワイドエリア(L)で被写体検出は動物にしています。背景は暗い水面でサギは純白ですが、露出補正±0でほぼ適正露出になっています。頭部や胴を狙っても概ね適正になるように調整されているように見受けられます。

状況によっては白飛びすることもありますが、今まで数段の調整が必要だったシチュエーションでも、1段以内の調整で済むことが多くなったように感じます。

もう少し様々な状況を検証する必要があると思いますが、ディープラーニングによる被写体検出ができているなら、その被写体に露出を合わせることが可能になったのではないかと予想しています。
いずれにしても良い方向の流れなので、広く受け入れられる進化だと思います。

問題

概ねうまく行くのですが、時折すごくアンダーになることがあります。EVFはファインダーで確認できるので直観的にプラス補正することで回避できますが、どのような場合にアンダーになるのかよく分かりません。画面上に特に輝点があったりするわけでもありません。仕様なのか、バグなのか。もう少し付き合う必要がありそうです。

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DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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