Z9+Z 800mm f/6.3 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0Xで手持ち天体撮影(土星編)

木星よりも遠くて暗い天体なので、少しハードルが上がりますが、木星の大赤班が写ったので、土星も同じセットの手持ち撮影で問題なく写るはずです。

2022年は8月15日に土星は衝を迎えたばかりなので、観測好機です。木星よりも遥かに暗くなりますが、それでも0等級程度なので、ハチロクサンとZ9の強力なシンクロ手ブレ補正とシャッター速度のせめぎ合いで手持ち撮影可能でしょう。

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機材

  • Nikon Z9 (Ver. 2.11)
  • NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
  • Z TELECONVERTER TC-2.0X

設定

あくまで 「手持ちハチロクサン+2倍テレコンで土星の環が写るか」 がこだわったテーマなので、三脚や赤道儀は一切使わず、完全手持ちです。

  • 撮影モード:マニュアル
  • ISO感度:マニュアル(200)
  • フォーカス:マニュアルフォーカス
  • 連写モード:H(20コマ/秒)
  • 手ブレ補正:ノーマル
  • フォーマット:DX

撮影

木星よりも暗いので、導入が難しいかと危惧したのですが、そこはミラーレスの恩恵で、シャッター速度を遅くするとファインダーでは明るく見えるので、導入に関しては木星と同じでした。難しいことには変わりはありませんが、馴れてくるとすぐにファインダーに入れられるようになります。

驚いたことに、ハチロクサン+2倍テレコン+DXフォーマットで土星に向けると、ファインダーですでに土星の環がはっきり見えます。
現在の土星は程よく環が開いているので、土星らしい可愛い姿が撮影できます。

木星の時と同様、撮影する露光量の設定だと暗くて見えにくいので、導入時はシャッター速度を遅くして露出オーバー状態で導入すると楽です。導入したらすぐに実撮影のシャッター速度にします。絞りは開放のままです。

フォーカスピーキング表示にしているので、マニュアルフォーカスで土星の環が赤く表示された瞬間に連写しました。

処理

土星も数十枚の静止画像を手持ちで撮影し、Registax(Ver. 6)というソフトでスタッキング処理後、軽くWavelet変換処理をしました。
その後、Photoshopにてコントラストの調整なども行っています。

作例

木星の大赤斑と同様、手持ち撮影で難なく写ってしまいました。カメラとレンズの進化のお陰です。
土星の写真としてはひどいものですが、ハチロクサン+2倍テレコンの手持ち撮影で土星の環を写せることが分かりました。

Exposure Time : 1/60
F Number : 13.0
Exposure Program : Manual
ISO : 200
原画の1280×1280ドット切り出し画像です。ファインダーでも環が見えるので、マニュアルで環にフォーカスピーキングの赤い表示が現れたら連写します。今回は33枚撮影して、使えそうな画像14枚を選別しました。飛ばないよう、アンダー目に撮影します。
手ブレ補正ノーマルにすると、センタリングの度にあっちこっちに行ってしまい、ファインダーで追従するのが大変ですが、何とか撮れました。その分、手ブレ補正効果は強く、1/60 s手持ち撮影でもほとんどブレていません。
14枚の画像をRegistax6でスタッキング処理とWavelet変換処理を行います。環がはっきりします。土星本体の縞も見えてきます。
強拡大。あまりシーイングが良くなかったので、カッシーニの間隙は分解していませんが、土星本体の縞模様や環に落ちる土星本体の影などは十分わかります。心眼で見ると、左の環の広い部分で何となくカッシーニの間隙らしき黒い帯が見えるような見えないような。

土星の写真としてはかろうじて写っている程度のものですが、何の準備もなく、望遠レンズにテレコン付けて手持ちで土星を連写しただけでこのくらい写ればまあまあ良い方でしょう。
しかし、口径126mmの望遠鏡として見た場合、まだまだ性能を引き出せるはずです。ドーズの限界から計算すると、分解能は0.9秒角ほどになるはずです。
もっとシーイングが良い日で、より多くのデータをスタッキングすればカッシーニの間隙も明瞭に写るかもしれません。いつかチャレンジしてみます。

いずれにしても、NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sの色収差がほとんどない光学的性能を再確認できましたし、Z9とシンクロした5.5段の手ブレ補正の優秀さを再認識できました。2400mmの画角を手持ち1/60 sで点が点に写るのは驚異的です。自分の腕ではないのが残念ですが、技術の進歩に当分あやかろうと思います。

追記

このページの内容は、Z9と800mm+2倍テレコンを使って「手持ち」でどこまで撮影できるかをテストしたものです。800mmF6.3の性能評価でもなく、また、こんな方法で惑星や衛星の撮影を推奨するものでもありません。最新のカメラのVRの性能評価の例として個人的な興味本位で行った実験です。
惑星の写真を撮影するのが目的であれば、より安価な望遠鏡システムで引き伸ばし法などで撮影することをおすすめします。

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全長278mm、重量1470gで、600mmの焦点距離からは想像できないほど小型軽量です。レンズ単体で5.5段、Z9やZ8との組み合わせではシンクロVR機構によって6段分のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると900mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで840mmF9、1200mmF13、DXで1260mmF9相当、1680mmF13相当となります。
最短撮影距離が4mなので、野鳥が近い公園などでは有利となります。

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位相フレネルレンズ採用の通称ハチロクサンと呼ばれる800mmF6.3の単焦点レンズです。
800mmの超望遠レンズとしては驚くほど小型軽量で、全長385mm、重量2385gしかありません。レンズ単体で5段分、Z9やZ8との組み合わせでは、シンクロVR機構によって5.5段のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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