
チェコ共和国の文房具の老舗コヒノール(KOH-I-NOOR HARDTMUT)の5.6mmフルサイズの芯ホルダーです。建築、美術関係者か、よほどの文具マニアでないとチェコ共和国のコヒノールなどという社名は聞いたことがないと思いますが、5.6mm芯ホルダーでは絶大な人気を誇っています。コヒノールの会社設立が1790年とのことですので、日本は江戸時代の寛政、ヨーロッパではフランス革命の頃という老舗文具メーカーです。
5.6mm芯ホルダーには、120mmほどの長さがある替え芯がそのまま使える標準的なサイズと全長100mm前後のショートタイプがあります。このKH5348は全長142mmで、5.6mm芯ホルダーの中でも、比較的大型です。コヒノールの通常サイズの替え芯を折らずにそのまま使えます。
全長100mm程度の同社のKH5344と比較すると大きく異なります。

軸

内部機構は総金属製ですが、軸は樹脂製です。軸の形状の表現は難しく、軽い紡錐形の3面を浅く削りとったような形状です。中央部分の断面形状はおむすびのような形になるでしょう。
軸の前後、削りとられた面以外の断面は円形です。
測定が困難ですが、ノギスで最大と思われる部位を測定すると14.3mmほどあり、やや大きめな印象です。自分は手が大きいので丁度良い大きさですが、手が小さい人にはいささか大きすぎるかもしれません。
しかし、重さ34gでバランスが良いため、持ちやすく感じます。独特な変形6角形の軸も貢献しているのかもしれません。

クリップ
もちろん、描くときに邪魔になるクリップは付属していません。Kawecoのような別売りのクリップも販売されていません。純粋に何もついていない状態で使ってください、と主張しています。デッサン、スケッチ用なので、そうであるべきです。
変形6角形状なので、テーブルの上で転がって落下したりしません。クリップがなくても、かなり転がりにくい形です。
持ち歩くときは筆箱か、ペンホルダーを利用することをおすすめします。
リアキャップ:芯研器
尾部のキャップはネジで取り外せ、内側には芯研器が内蔵されています。非常用として出先で削る時にはあると便利でしょう。こだわりがある人(おそらくこのページをここまで読んでいただいているような方々)は専用の芯研器や肥後守で削ると思いますので、普段は使わないと思います。
リアキャップの芯研器は比較的鈍角に削れます。

リアキャップの芯研器で削った芯 トガールの3で削った芯
機構

単純なドロップ式チャックです。机や指で受けながら後ろのノック部を押さないと芯が落下します。逆に必要量がさっと出せるし、逆さにして押すと瞬時に格納できるので慣れるとドロップ式の方が便利です。
チャックは6本爪です。多い方が良いわけではないと思いますが、メーカーのこだわりを感じます。クロームメッキと思われますが、美しい仕上がりです。
標準サイズなので、長さ120mmのコヒノール社のGRAPHITE芯がそのまま使えます。
総評

シンプルながら随所にみられるこだわりが素晴らしく、個人的にはかなり気に入って使っています。
自分は建築出身なので、何でもかんでも絵を描いて記録しようとします。漢字が書けないという個人的なハンデもありますが、プログラム開発の打合せでも、プロモーションビデオの打合せでも、イメージの絵が主体で、文字は捕捉程度です。フローチャートも絵コンテも5.6mm芯ホルダーです。
学生にも図を描いて説明するので、柔らかくて太い芯が重宝します。
使う芯は6Bです。
旧人類なので、頭の中を整理するときは、やっぱり紙と筆記具です。そのために良い芯と良い芯ホルダーは必需品です。
旧人類じゃなくても、やはり人間の営みはアナログなのだと思います。ものを考える時はアナログ筆記具、まとまった考えを清書するのにPCを使うという流れが自分には合っています。
このKH5348はそんな方々におすすめです。
特に建築系の方々、美術系の方々におすすめできます。音楽系の人が楽譜を書くのにも適しているのかもしれません。マークシートにも良いのかな。
太い芯は太い線しか描けないと思っている人が多いようですが、実際はそんなことはなく、使い方次第で細い線を描いたり、面で塗りつぶしたり、1本で多彩な表現ができます。回したり、紙との設置角度を変えたり、筆圧を変えることによって驚くほど変化する出力を楽しめます。
Versatilの名の通り、万能筆記具なのかもしれません。
今まで使ったことがない方も、コンピュータ時代だからこそ、あえて超アナログな5.6mm芯ホルダーを使ってみるのも良いのではないでしょうか。PCの前では出てこなかった新しいアイデアが出てくるかもしれません。
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丸善美術商事
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一切の無駄のない、シンプルな完全円筒軸です。重さも50g近くありますので、見た目よりもずっしりと重いイメージです。円形で重い芯ホルダーが好みの方には向いているでしょう。6Bの芯が1つ入っています。 海外製の芯ホルダーのほとんどがドロップ式なのに対し、この製品は珍しくノック式でシャープペンシルと同様な仕組みでノックするごとに少しずつ芯が出る方式です。 |
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様々な色の軸が販売されているようです。 |
Kaweco
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こんなに重くて丈夫な芯ホルダーを作る必要があるのかと思うほどしっかりした作りの5.6mm芯ホルダーです。姉妹品として銀色のブラススティンクローム、黒のマットブラックがありますが、軸の材質はすべて真鍮の削り出しで、表面にメッキや塗装が施されているものと思われます。自分は剥げると嫌なので、ブラスRAWにしました。 ブラスRAWという名称からも、真鍮素材そのままむき出しを主張したこだわりを感じます。 軸の太さは1㎝ですが、長さは短く、10.2cmしかありません。ゴロンとした形状です。そのため、長い芯は折らないと入りません。重さは45gあります。重い方が描きやすいという人にはきっとはまります。 |
![]() Kaweco カヴェコ クラッチペンシル スケッチアップ ブラススティンクローム |
![]() Kaweco カヴェコ クラッチペンシル スケッチアップ マットブラック |
![]() Kaweco カヴェコ クリップ N ゴールド |
![]() Kaweco カヴェコ クリップ N シルバー |
![]() Kaweco カヴェコ クリップ N ブロンズ |
KOH-I-NOOR HARDTMUTH
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チェコの老舗文具メーカー、コヒノール(KOH-I-NOOR)社の5.6mm芯ホルダーです。 全長が14.2㎝あり、コヒノールのオリジナル替え芯がそのまま使えます。 軸は樹脂製ですがバランスが良く、クリップなどの余計な突起物もないので、スケッチやデッサンに特化した設計になっています。 重さ36g。 |
![]() KOH-I-NOOR(コヒノール) メカニカル クラッチ リードホルダー 56 5340 シルバー 重さ50gの重量級。 |
![]() コヒノール 芯ホルダー 5.6mm KH5344 全長10㎝、18.14 g。 |
![]() KOH-I-NOOR コヒノール 5353 Versatil 5.6mm 芯ホルダー(ブラック) 全長11㎝、重さ20g。 |
![]() コヒノール 芯ホルダー 5311CN1005 5311 ブラック 5.6mm 4B 121.5mm、42g。 |
CRETACOLOR
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5.6mm芯ホルダーの中で最も異彩を放つオーストリアの老舗クレタカラーが作る芯ホルダーです。 独特の形状は注目度No.1です。 固定された持ち方になるので、細かく回しながら使う用途にはあまり向かないと思います。 |
替え芯
![]() カヴェコ 替芯 5B 5.6mm (3本) |
![]() コヒノール 芯ホルダー 5.6mm 替芯 4865/6B |
![]() コヒノール 替芯 5.6mm 4B |
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この製品は長さ8㎝なので、短い軸でもそのまま使えます。 この手の色物は固い芯が多いのですが、この芯は何と言うか、パステルのような感触です。 透明なプラスチックケースに入っているので、筆箱の中に忍ばせておくことができます。 意外と脆いので、使っていると細かいくずが出ます。あまり筆圧をかけると折れそうです。あまり鋭角に研磨しないことをおすすめします。 |
![]() e+m クラッチペンシル替芯 5.5mm (蛍光3色) |
![]() レインボーペンシル芯 5.6mm x 90mm 色付き替芯 |
![]() コヒノール メタリック芯 5.6mm |