NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S:ボケ

超広角レンズに属する焦点距離なので、そもそもあまりボケを期待した撮影はしないのかもしれませんが、せっかく明るいF2.8の大口径なので、少しだけボケ味のテストをしてみました。

ボケ味

大口径、ショートフランジバックという、広角レンズには有利に働くZマウントで、水を得た魚のごとく満を持して作られた超広角ズームです。非球面レンズ、SDレンズ、アルネオコートなど、これでもかと言うほどNikonの最新の技術を投入して作られています。解像感、収差除去などに関しては非の打ちどころがなく、「神レンズ」と言われる理由も分かります。

しかし、多用した非球面レンズの影響なのか、ボケに関してはちょっと癖のあるボケ方をします。

もっとも、無理やりぼかせようと、至近距離にピントを合わせた時の遠景の点光源のボケなので、一般の撮影では全く影響はないでしょう。超高解像でほぼ無収差の映像美の方が圧倒的に勝ってしまいます。
開放で遠景と近景が混在するイルミネーションを撮影したような場合に多少気になるかもしれません。

ボケの良し悪し

昔からボケの良し悪しは球面収差の補正具合で変化すると言われています。ピント面の解像度やコントラストを高めるために球面収差を補正するほどボケは輪郭がはっきりして硬くなり、アンダーコレクション(あまり補正しなかったり、あえて球面収差を残す設計)にすると輪郭がはっきりしないほんわかしたボケになると言われています。
Nikonからは以前DC Nikkorという球面収差をマニュアルでコントロールできるレンズもあったくらいです。

光学の専門家ではありませんが、レンズ設計者はおそらくこの相反するシャープさとボケの美しさのせめぎ合いに悩まされていることと思います。カリカリにシャープなレンズを設計すれば、自ずとボケは硬くなり、ボケを滑らかにするとピント面もふんわりした描写になる傾向があるのでしょう。

これはどちらが良いという話ではなく、そのレンズの設計段階からそのレンズに与えられた性格のようなものです。開放F値や絞りによってもボケの状態は大きく変化しますし、球面収差をどこまで補正するか、など、様々な要素によってレンズの性格は大きく変わっていきます。

撮影例001:広角端14mm F2.8

まずは広角端14mmで近景にピントを合わせ、遠景の点光源のボケを調べてみます。

全体像
上の写真中央左部分。手前の造花にピントを合わせました。ピント面はシャープです。
背景のボケたツリーのイルミネーション。
ボケの強拡大。リング状の強い縁取りがあり、中央が明るい車輪状パターンがある独特のボケです。

撮影例002:望遠端24mm F2.8

望遠端の24mmで同じターゲットを撮影してみました。

全体像。14mmよりも多少ボケは多くなります。
上の写真中央左部分。ピント面は極めてシャープです。
背景のボケ。
背景のボケの強拡大。中央の芯は薄くなりますが、14mmの時と同様、強いリング状の縁取りと同心円状パターンがある独特のボケです。

撮影例003:14mm F2.8

手前の看板文字にピントを合わせてみました。
ピント面は極めてシャープです。
ボケた背景のイルミネーション。端の方で少し楕円形になりますが形はほぼ円形を保っています。
背景ボケの強拡大。同様に強いリング状の縁取りと内部には車軸状のパターンが見られます。

撮影例004:14mm F8:パンフォーカス

少し絞ってパンフォーカス状態のテスト。

全体像。
近景は普通にシャープに写っています。
遠景も破綻無くシャープに写っています。

この距離の14mmでの撮影では、F4や5.6程度でパンフォーカスになると思いますが、絞りの影響を見るために、F8に絞ってみました。

総評

ボケの評価は難しいと思いますが、いわゆる「とろけるような玉ボケ」ではなく、強いリング状の縁取りがあって中には車軸状もしくは同心円状のパターンが見られる独特のボケ方をします。ボケのリング状の縁取りは、球面収差を補正すすればするほど出現すると言われています。
好き嫌いが分かれるところだと思いますが、広角14mmの被写界深度を超えた点光源を拡大して重箱の隅をつつくようなことをしない限り、一般撮影で気になることは少ないと思います。

特筆すべきは、これほど超広角なのに、ボケの形が画面全体で丸く均一なところです。点光源のボケの縁取りや内部パターンなど、多少難はあったとしても、画面周辺でも流れたり極端に形が変わったりしません。

しかし、超広角レンズの部類なので、そもそもボケを目的とした撮影はあまりされないと思います。ピント面は単焦点に勝るとも劣らない解像感と無収差感がある素晴らしい描写なので、そちらの恩恵の方が圧倒的に大きいでしょう。

おそらく、このレンズはボケを優先して設計されたレンズではなく、超広角レンズで発生するあらゆる収差を極限的に補正し、画面全域で極めてシャープでコントラストが高い究極の解像感を目指して設計されたレンズなのでしょう。
製造が難しい非球面レンズを3枚も導入し、うち1枚は両面非球面の特殊な断面のレンズになっています。これらは球面収差の除去に貢献しているものと思われます。縁取りがあるボケからも、このレンズがとことん球面収差除去にこだわって作られたことがうかがえます。

個人的には超広角レンズはボケで勝負するよりも、ピント面のシャープさを追及した設計の方が有用だと感じますので、この方向性で正解なのだと思います。

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DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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