公園のマナー:三脚

公園での三脚使用も賛否両論ある難しい議題です。個人的には野鳥撮影で三脚は一切使いませんし、公園でよく見かけるずらっと並んだ三脚は大変邪魔で迷惑に感じます。しかし、禁止されていない場合は使用する自由もあるのでしょうし、都市部の狭い公園ではない、広い国定公園などではおそらく誰も文句は言わないでしょう。問題は人の迷惑となる狭い都市部の公園での使用に限定されると思います。
都市部の公園では、野鳥撮影者同士だけではなく、野鳥とは関係のない一般の方々とのトラブルにも頻繁に遭遇します。狭い公園で大型の三脚を立てるのは明らかに邪魔なのですが、当の本人は邪魔にはなっていないと思っているので、言い合いは平行線です。

実写ではありません。「公園で使用禁止の三脚に望遠レンズを乗せて我が物顔で野鳥撮影をする大勢のカメラマン」なんていうキーワードでAIに描いてもらいました。実に的を射ています。バッチグー(死語か)

「どこに禁止って書いてあるんだ」「書いてなくたって通路を塞いでんだから迷惑なんだよ」という小学生なみの論争はヘタすると傷害事件にまで発展します。

以前「公園での三脚使用の是非」でも書きましたが、三脚は一向に減りません。珍しい野鳥が飛来したりすると、たちどころに三脚の壁ができてしまいます。
よく撮影しに行く3か所の公園では、いつもマナーの悪い三脚使用者に遭遇するので、管理事務所に三脚を全面禁止にできないか相談していますが、なかなか難しいようです。
「全面禁止」にはできないようで、「他の方の迷惑になる通路での三脚の使用はご遠慮ください」といった、やんわりとした表現です。「禁止です」などと強い表現をすると角がたつので、園としては別のトラブルを避けるために婉曲的な表現になってしまうのでしょう。

しかし、様々な解釈ができるこの曖昧な表現が、より問題を大きくしているように思います。

三脚の問題点

三脚が悪いわけではありません。自分も野鳥撮影では使いませんが、他の撮影の仕事では三脚を使うことはありますし、動画撮影のときは必須です。問題は狭い都市公園での使用です。読んで字のごとく、公園は「おおやけ」の「その」です。市民や県民が憩いの場として利用できる場所です。

三脚の問題点は、自立して一定の面積を占有してしまうところです。鉄道写真家でも軌道内の立ち入りや他人の敷地内や田畑への侵入が問題になっていますが、野鳥撮影においても野鳥が出現する公園の一番良いポジションに大型の三脚をドドーンと広げてその場所を占有してしまうところが問題なのです。

多くの三脚利用者は、大型の三脚の足を目いっぱい開いて、雲台の上には高価であろう超望遠レンズとカメラを据え付け、近寄るなオーラを出しています。朝から夕方までずっと動かさず、半径2mほどのエリアを排他的空間にしてしまいます。所有者がわからない撮影セットだけが置いてあることもありますし、広げた三脚だけが「場所取り」として置いてあることもあります。
うかつに近づいて足をひっかけても怖いので、おいそれと近寄れません。野鳥撮影のベストポジションはそうやって、最初に三脚を広げた人のものになってしまいます。公の場での土地の占有は由々しき問題ですが、当人たちの間では早いもの勝ちの暗黙のルールがあるのでしょう。とにかく朝早く行って、三脚を広げて一日中その場所を占有しようとします。

調子に乗って様々な条件を入力してAIに描いてもらいました。スゴイ!かなりオーバーですが、迷惑な三脚使用者のピッタリのイメージです。ここまで極端でなくても、これに近い状況には結構遭遇します。

そこまでする努力は大変だと思いますが、他の利用者からすると大変迷惑な行為です。細い一人しか通れないような通路でも平気で三脚を広げます。野鳥撮影とは関係ない散歩の方々もいますが、迂回することを強いられます。

そういったマナーが悪い三脚使用者たちは、上記のように「他の方の迷惑になる通路での三脚の使用はご遠慮ください」などとやんわり言われても自分が迷惑をかけているという自覚がないので、通用しません。
周りに気を配って、歩行者が来たら三脚をすぐにたたんで道を開けるといった行動を示してくれれば良いのですが、まずそんな光景は見たことがありません。「ここは俺が確保した場所だからお前らが避けろ」という態度だから各地でいざこざが起きているのだと思います。
三脚が悪いのではなく、それを使っている人間の人と成りが問題なのでしょう。

これもAIによるものですが、現実の迷惑三脚に近いものがあります。この通路を通る勇気はありません。

場所を占有するということでは、公園でレジャーシートを広げたり、テントを張ったりするのと同じです。早い者勝ちで、先にシートを広げたりテントを張った人勝ちです。公の場の身勝手な占有宣言です。
最近はレジャーシートの使用、タープやテントを張ることを制限したり、禁じている公園が増えてきました。それと同じだと思うのですが、三脚の土地占有に対しての公園の対応は甘いと感じています。

珍しい野鳥が飛来したなどという情報が流れると、数十人、場合によっては数百人のカメラマンが詰めかけ、三脚が林立して異様な空間になってしまいます。野鳥に関係ない公園利用者には極めて迷惑なことと思います。
最近何かとマナーの悪さでニュースになっている「撮り鉄」の問題と同じです。
このままだと次は野鳥カメラマンが社会で問題視されることでしょう。野鳥撮影が趣味だというだけで変な目で見られるようになってしまうかもしれません。

どうにかならないものでしょうか。

一脚のすすめ

自立と占有の観点からは、一脚の使用はおすすめできます。一脚は自立できませんし、占有面積は人が立つ面積と同じなので、問題はないと思います。
もし三脚禁止にできるようでしたら、救済処置として一脚は使用可にすると良いのではないでしょうか。
自立しない一脚は場所取りとして置いておくこともできませんし、広がらないので通行人を妨害することもなく、使用時の占有面積は手持ち撮影と変わりません。

個人的には、全国の都市公園が、三脚禁止(一脚は可)となることを望みます。マナーが悪い三脚使用者を一掃でき、いざこざもなくなり、かつ撮影者も必要があれば一脚で安定した撮影を楽しめるようになると思います。

全国の都市公園では、
・三脚禁止(一脚可)
運動を推奨します。
公園を利用する皆さんが安全に楽しく利用できるよう、野鳥愛好家や公園管理者の方々にご一考いただければ幸いです。

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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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