Nikon Z5 + FTZ + TC14E-III + AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VRで野鳥撮影

会社の顕微鏡カメラとして購入したNikon Z5が手元にあるうちに色々とテスト撮影をしておこうと思い、普段野鳥撮影に使用しているFマウントレンズを試してみました。まずは500mmF4E FLです。自分が野鳥撮影に使用しているメインレンズです。普段はAPS-CのD500で使用しているので、フルサイズでの使用はZ5がはじめてです。

おりしも、2回目の緊急事態宣言が出されて野鳥撮影を自粛していたので、庭に来たメジロちゃんをターゲットにしてみました。

装着

同じニコンですし、Eタイプレンズなので接続にはまったく問題はありません。もちろんFTZのアダプタは必要ですが、AFも電磁絞りもそのまま作動します。当たり前ですが、直前までオールドレンズのテストをしていたので、安堵感があります。

普段の野鳥撮影では、AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VRに1.4倍のテレコンバーターを付けてD500で撮影しているので、Z5も1.4倍のテレコンバーター付きで試してみました。

Z5の良い点

露出

やはりミラーレスの露出補正は直観的で分かりやすく、歩留まりが良くなります。長年写真の仕事をしていても、一眼レフだと未だに露出の失敗はあるものです。どんなプロカメラマンでもあるでしょう。「もう1/3段アンダーで撮ればよかった」とか、「背景に引きずられてちょっとアンダーに補正し過ぎた」という失敗は、一眼レフだと日常的に起こります。
しかし、ミラーレスだと撮る前の画像が見えているので、簡単に露出補正ができます。しかも、「この場合は背景が明るいので、+0.7に補正しよう」といった経験値に基づく補正値に予めセットするのではなく、ファインダーを覗きながら撮りたい被写体の露出が適正になるようにコマンドダイアルを回すだけです。理屈を考える必要がなく、直観的な操作だけで露出補正ができてしまいます。これはミラーレス一眼の最大のメリットだと思っています。
これはZ5に限ったことではなく、ミラーレス一眼カメラ全般に共通なメリットだと思いますが、NikonのZシリーズは、良くできたファインダーと、簡易露出補正機構が優秀なので、大変わかりやすく、確実に操作できます。
特に体の局部に白が使われているシジュウカラやメジロなどは野鳥カメラマン泣かせであり、一眼レフだと細心の注意でアンダー目の露出で撮影しないと必ず白飛びします。ネット上で流れているメジロの写真のほとんどは露出オーバーです。目の周りに階調が残っている写真は滅多にありません。

手振れ補正

AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VRにも強力なレンズ内手振れ補正機能は付いているのですが、ボディ内手振れ補正が付いているZ5との組み合わせでは、相乗効果でさらなる手振れ補正がされるようです。しかし、正直どのくらい効果が発揮されているのか、良く分かりませんでした。元々D500との組み合わせでもレンズ内手振れ補正は良く聞き、500mmの超望遠レンズでも、手持ちでシャッター速度1/60や1/30秒でも撮れるほどです。しかし、オールドレンズの作例からも分かる通り、確実にボディ内手振れ補正は効いているのでしょう。ピントを外した以外、手振れの失敗は一枚もありませんでした。

カラーバランス

オートのホワイトバランスは進化していると感じました。野鳥撮影時は日陰に入ったり日があたったりと変化するので、基本的にオートホワイトバランスで撮影しています。状況が変化しても、自然な色で記録されていました。

感度

面積が大きい分、高感度耐性は当然良くなります。野鳥撮影は被写体ブレをなくすために、あまりシャッター速度を落とせません。いくら手振れ補正が優秀でも被写体ブレを防ぐことができません。日陰を好む野鳥などは、日が暮れるとすぐに撮影限界に来てしまいます。D500もZ50もシャッター速度1/100秒、ISO1000を撮影限界としていましたが、Z5ではシャッター速度1/100秒、ISO2000は行けるでしょう。撮影の幅が広がります。

Z5の悪い点

AF

よく言われているように、AFがあまり良いとは言えません。D500と比べるのが酷なのかもしれませんが、食いつきが悪く、すぐに背景に持って行かれたりします。AFモードやAFエリアにもよるのかもしれませんが、野鳥撮影で使うにはまだ難しいと思いました。一般の撮影でオートエリアなどで使用する分には問題ありませんが、将来D500のグループフォーカスのような機能ができることを期待しています。

相性

フォーカシングの挙動や速度に問題が残りますが、一度合焦するとその精度は高く、一眼レフよりもカリカリにピントが合います。撮像素子と別のAFセンサーでピント合わせを行う一眼レフと違い、撮像面で直接ピント合わせを行うので、センサーとのずれやレンズの個体差や誤差などが吸収され、高精度でピントが合うのでしょう。

これはAF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRをZ50で試した時と同じ感覚です。D5600ではイマイチピントが甘かったのが、Z50で使ったところ、驚くほどピント精度が上がったときの感覚です。

あとは、一眼レフで完成させたAFの食いつきをミラーレスで実現できれば完全にミラーレスに移行できると思います。
少なくとも、手振れ補正や、直観的な露出補正、進化したオートホワイトバランス調整によってミラーレスの方が歩留まり良く、その点では一眼レフを超えています。

仕事柄、一番欲しいのは、D500のすべての機能を凌駕したDXフォーマットのミラーレス一眼です。いつか登場するまで待ちましょう。

作例

以下Nikon Z5にFTZを介して1.4倍テレコンバーターを付けたAF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VRを装着して撮影した写真です。
すべて手持ち撮影です。

  • カメラ:Z5
  • レンズ:AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR
  • アダプタ:FTZ
  • テレコンバーター:TC14E-III
  • 露出モード:絞り優先
  • 測光モード:ハイライト重点測光
  • 感度:ISO100 オート
  • ホワイトバランス:オート
  • 露出補正簡易設定:ON
  • オートフォーカス:AF-C
  • フォーカスエリア:中央1点

写真によってはトリミングしています。すべて長辺1280ピクセルに縮小しています。

背景も暗く、体の色も暗めなので、難しいシチュエーションです。メジロは目の周りだけ純白で、この部分が白飛びしやすく、露出が難しい野鳥です。Z5だと露出補正簡易設定でファインダーを見ながら直観的に目の周りが飛ばないように調整できます。
上の写真の部分拡大。ピント精度が高く、羽枝まで解像しています。目の周りの諧調も残っています。これ以上露出を下げると体がアンダー過ぎてしまうので、ギリギリを攻めてみました。

Nikon Z5 ボディ

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Nikon ミラーレス一眼カメラ Z5 ボディ フルサイズに対応したレンズの性能を余すことなく表現したい場合は、フルサイズのNikon Z5はおすすめです。FTZがあれば一眼レフ用のFマウントレンズはほとんど使えます。ただし、ボディ側のモーターでAF駆動するレンズのAFには対応していませんのでご注意ください。
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ミラーレスの中では最大の口径で最短のフランジバックのニコンZシリーズはオールドレンズファンにとって最強のカメラです。Z5は価格も安く、FXフォーマットでボディ内手振れ補正までついています。今回はLeicaの24mmF2.8との組み合わせをテストしました。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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