Nikon Z5の遊び方その3(Nikon Z5 + SMC PENTAX 1:1.2/50)

Z50で試したときに、せっかくPentax KマウントからNikon Zマウントに変換するアダプタを購入したので、Nikon Z5でも試してみました。DXフォーマットもFXフォーマットも、NikonのZマウントは共通なので、そのまま使えます。
45年前のSMC PENTAX 1:1.2/50で試写してみました。

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SMC PENTAX 1:1.2/50

Nikon Z5の遊び方その1で取り上げたLEICA SUMMILUX-M 1:1.4/50よりも明るい50mmF1.2です。当時、一眼レフ用の50mm標準レンズで開放F1.2を作っていたのはPentaxだけでした。ほぼ完全なガウスタイプのレンズ構成で、シャープではありませんが、素直なボケ方をするなかなか魅力的なレンズです。開放では周辺減光もありますが、見方によっては、これぞオールドレンズ、と言える味があるレンズだと思います。

70年代、80年代の頃はまだズームレンズの性能が悪く、実用になるものはほとんどありませんでした。当時は今よりも「レンズ交換ができる」というメリットが強調されていて、単焦点レンズを付け替えて撮影するスタイルが主流でした。現在のように高倍率ズームを付けっ放しという使い方は誰も想定していない時代です。
そのため、各カメラメーカーは、現在よりも単焦点レンズにこだわりを持って作っていた気がします。カメラを買う時は、「標準レンズ」と呼ばれる50mmをボディと一緒に買うのがあたりまえの状況でしたので、カメラメーカーは50mm単焦点は社運をかけて開発していました。F値も2.0、1.8、1.4とどんとん明るくなり、ついにPENTAXからF1.2が登場します。かなり衝撃的だったことを覚えています。

装着

SMC PENTAX 1:1.2/50 は一眼レフ用のレンズなので、ミラーボックスのためにマウント面からフィルム面まで45.5mmあります。ミラーレス一眼であるZシリーズのフランジバックは16mmなので、その差29.5mmの無駄な空間が空くことになります。その部分をマウントアダプターが担ってくれています。Leicaなどのレンジファインダー式のレンズとはそこが大きく異なります。無駄に3センチほど出っ張り、携帯性は悪くなりますが、仕方ありません。それもオールドレンズを使うための試練なのです。

50mmレンズの割に随分出っ張ってしまいますが、見た目はそれほど悪くありません。絞りもフォーカスリングもボディから離れるので、かえって使いやすくなります。

作例

被写界深度が浅いので、同じ構図でもどこにピントを合わせるかで表現が変わります。忘れていた写真の原点です。

45年前のレンズにしては綺麗に写ると思います。Z5のお蔭で、ピントも合わせやすく、露出も簡単に調整できます。

ボケ具合のチェック。ガウスタイプなので、変な2線ボケになることもなく、ホンワカした柔らかいボケ味です。

F1.2、2.8、5.6、11、22のテスト撮影。開放だと甘い描写ですが、少し絞ると見違えるほどシャープに写ります。開放だと周辺減光もかなり目立ちますが、これも絞ると改善されます。F2.8 でかなり解像度が高くなり、周辺減光もほぼなくなります。周辺減光がある方が独特な雰囲気になるので、好みに応じて使い分けることもできます。こういったレンズは、絞りによって被写界深度だけではなく、周辺減光もコントロールできるという考えもできます。

左開放F1.2、中央F5.6、右F22の周辺画像です。F22でも回折ボケも感じられません。このあたりはフルサイズの恩恵なのでしょう。Z5が回折ボケの補正をしているのでなければ。

F5.6くらいに絞るとすごくかっちり写ります。

周辺は若干流れていますが、総じてきれいなボケだと思います。

Z5は1/8000のシャッターが切れるので、日中でもF1.2開放で撮影できます。それもオールドレンズ用のボディーを選ぶときのポイントとなります。良くできたレンズであれば、開放で使いたいのですが、明るすぎて撮れないということがあるからです。NDフィルターを使うのも面倒なので、高速シャッターが使えるメリットは大きくなります。

樽形のディストーションが残っていますが、非球面レンズを量産する技術がなかった当時としては優秀だと思います。これも素直にガウスタイプを採用した恩恵なのでしょう。

かつて10台以上公衆電話が並んでいた場所ですが、1台だけ残して宅配ボックスに代わっていました。ノスタルジックです。こういう時は周辺減光が雰囲気づくりに貢献している気がします。

ボケ方が素敵です。

暗い室内でもボディ内手振れ補正のおかげでブレずに撮れます。

Leicaとの比較で専門外の花を撮ってみました。さすがF1.2はボケます。やや左上のつぼみにピントを合わせましたが、その場所以外はすべてボケています。

メジロちゃんが来ました。背景が民家でも、開放で撮ればボケてくれるのできれいに見えます。しかも背景が明るくて露出が難しいシチュエーションですが、これも露出簡易補正で簡単に適正露出にできます。

普通なら鳥が真っ黒に写ってしまう状況ですが、ファインダーを見ながら適正になるまでガーっとダイアルを回すだけで露出が合います。これはZ5の操作性の良さによるところが大きいと思います。データを見たら、+2.33になっていました。撮っている時は直感的に操作できるところが好印象です。

Nikon Z5、Z6 II、Z7 II、Z8、Z9のボディー

フルサイズに対応したオールドレンズなどを余すことなく表現したい場合は、フルサイズのZマウントカメラはどれもおすすめです。アダプターさえ買えば、名玉と呼ばれているような有名どころのレンズは使えると思います。特にLeicaやツァイスレンズはオールドレンズフリークには人気が高いので、アダプターはいくつも出ています。マニュアル絞り、マニュアルフォーカスができるレンズであれば概ね使えるでしょう。

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Nikon Z5 Nikon Z6II Nikon Z7II Nikon Z8 Nikon Z9

Pentax Kマウント → Nikon Zマウント変換アダプタ

ペンタックスのオールドレンズ(フォーカスや絞りが電子制御でないものに限る)をNikon Zマウントで使いたいという需要は少ないと思うのですが、ちゃーんとありました。作ってくれている会社には感謝します。

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K&F Concept レンズマウントアダプター KF-PKZ SHOTEN マウントアダプター PK-NZ
Nikon Z5の遊び方その1(Nikon Z5 + LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/50)
ミラーレスの中では最大の口径で最短のフランジバックのニコンZシリーズはオールドレンズファンにとって最強のカメラです。Z5は価格も安く、FXフォーマットでボディ内手振れ補正までついています。今回はLeicaの50mmF1.4との組み合わせをテストしました。
Nikon Z5の遊び方その2(Nikon Z5 + Leica ELMARIT-M 1:2.8/24 ASPH.)
ミラーレスの中では最大の口径で最短のフランジバックのニコンZシリーズはオールドレンズファンにとって最強のカメラです。Z5は価格も安く、FXフォーマットでボディ内手振れ補正までついています。今回はLeicaの24mmF2.8との組み合わせをテストしました。
Nikon Z5 の遊び方その4(CANON LENS 50mm 1:1.4)
私と同い年のCanon P。今回はその標準レンズだった50mmF1.4をNikon Z5で復活してみました。露出補正も簡単、手振れ補正も良く効き、この手のオールドレンズが今まで撮れなかったものまで撮れるようにしてくれます。復活というより、何倍にもバージョンアップしてくれている感じです。
Nikon Z 50の遊び方(その1)
Nikonの新しいZマウントカメラは、オールドレンズ愛好家には最良の選択です。Zマウントは各社ミラーレスの中で、最大径でフランジバックが最も短いため、昔のレンジファインダー用レンズの多くは物理的には装着できます。APS-Cサイズですが、Z50にライカレンズを付けてテストしてみました。
Nikon Z 50の遊び方(その2)
NikonのミラーレスZマウントは、Leicaなどのレンジファインダー用レンズを使うには最適な仕様です。マウントアダプターさえ買えば、今まで本家のライカカメラでも撮れなかったものが撮れるようになります。
Nikon Z 50の遊び方(その3)
フランジバックが最小で、口径が最大のNikon Zマウントはオールドレンズには最適なマウントです。今回は45年ほど前のペンタックスの名玉と言われるSMC-PENTAX 50mm F1.2 をZ50で復活させてみました。

著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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