ボディ:Nikon Z 50
レンズ: Leica ELMARIT-M 1:2.8/24 ASPH.
Z 50の遊び方(その1)では、義理の父の形見である LEICA SUMMILUX-M 1:1.4/50 を復活させようとZ50にLeicaMマウントとZマウントを変換するアダプタSHOTEN LM-NZを使用して撮影した例をお見せしました。Zマウントはこういったオールドレンズで遊ぶには最も適したマウントであると実感しました。今回はもう一つのレンズ、 Leica ELMARIT-M 1:2.8/24 ASPH. を装着して撮影したサンプルをお見せします。
Leica ELMARIT-M 1:2.8/24 ASPH.
20年ほど前、新潟に住む義理の父に頼まれて、緊張しながら銀座のLeica専門店に買いに行った思い出のレンズです。「シリアルナンバーの好みはありますか」と聞かれて驚きました。レンズを買う時にシリアルナンバーの好みを聞かれたのははじめてです。Leicaほどのレンズになると、客のそんなワガママにも対応してくれるのでしょうか。偶数がいいとか、奇数がいいとか、7で終わっているのがいいとか。
「ありません」と答えると、適当なものを3本出してくれて、レンズを確認して選ぶよう促されました。こんな高価なレンズを落としでもしたら大変なので、最初に手に取った一つだけ確認して、特に問題ないのでそれを買いました。
24mmはLeicaの中で珍しい焦点距離のようで、現在は作られていないようです。貴重な一本になってしまいました。
専用のフードが付いています。この形だけで「タダモノではない感」をかもし出しています。
マウントアダプター SHOTEN LM-NZ
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前回紹介したマウントアダプターです。当たり前ですが、Leica ELMARIT-M 1:2.8/24 ASPH. も何も問題なく装着できます。精度が高く、かっちりはまって気持ちが良いものです。
装着
Z50に装着したところ。こちらもなかなか精悍な感じで、悪くありません。
前回の SUMMILUX-M 1:1.4/50 同様、すべてかかっちりできていて、どこをいじっても気持ちが良いレンズです。10年以上未使用でしたが、フォーカスリングは限りなくスムーズですし、絞りのクリックも小気味よい最適なクリック感です。さすがです。
しかし、軽くコンパクトに作られているZ50とは対照的に、金属鏡筒とレンズの塊の本レンズは重いのが難点です。そこがオールドレンズの醍醐味なのかもしれませんが。
写り
天気がよかったので、街を撮ってみました。
すべて絞り優先モードです。露出補正簡易モードに設定しているので、ファインダーを覗きながらメインコマンドダイアルを回すだけで直観的に最適な露出にすることができます。
フォーカスはマニュアルですが、エッジを赤で表示する設定にしておけば、ピントが合っている箇所のエッジが赤くなるので、フォーカシングも大変楽です。24mmなので、ちょっといじると合うので、AFよりも速いかもしれません。
絞りは開放固定にしているので、左手はフォーカス専用、右手親指は露出補正専用にできるので、素早い操作で的確に撮影できます。はじめての人でも違和感なく使えるでしょう。Z50の良くできたファインダーで、直感的に操作できます。
24mmの広角ですが、歪曲収差が大変よく抑えられているのが驚きでした。どの方向の直線もすべて直線に写ります。
Z50はDXフォーマットなので、フルサイズの1.5倍換算となります。前回の50mmは75mm相当となり、ポートレートなどを撮るのにちょうど良い画角になります。今回の24mmは36mmとなり、一番良く使われる35mm広角とほぼ同じ画角となります。スナップ用としてはちょうど良い画角です。
Z50が良いのか、ELMARIT-M 1:2.8/24 ASPH. が良いのかわかりませんが、高解像度で発色も良く、収差はほどんど確認できません。
昔は別メーカーのレンズを使うのは大変でしたが、Z50とELMARIT-M 1:2.8/24 ASPH. の組み合わせで、絞り優先、ISOオート、露出補正簡易設定にしておけば、スナップ的な使い方が簡単にできます。ミラーレス一眼の恩恵です。
こういう露出が難しいシチュエーションでも、ミラーレスであればファインダーや液晶を見ながら直感的に補正ができるので便利です。Nikonの露出補正簡易設定で、ファインダーを覗きながらコマンドダイアルを回して適正露出で止めるだけです。オールドレンズのポテンシャルを余すことなく引き出すことができます。
24mmの広角になると、F2.8(開放)でもあまりボケてはくれません。
他社のレンズなので、カメラ内で収差処理はしていないはずです。純粋に光学技術だけで勝負しています。大変気持ちが良い描写です。
広角なので、無限遠にして1段ほど絞れば、ファインダーを見ずにシャッターを押してもこのくらいは撮れてしまいます。スナップシューターにはちょうど良いかもしれません。
こういった明暗差が激しい場面もZ50ならダイアルをコリコリッと回すだけで好みの補正ができて大変便利です。絞り優先モードのとき、ISOオートで低速限界設定をしておけば、露出が不足する場合はそのシャッター速度まで自動で落としてくれて、それでも足りない場合は感度を自動で上げてくれます。
露出オーバーはファインダーでも露出オーバーに見え(左)、適正露出はファインダーでも適正に見える(右)。当たり前のことですが、今までデジタル一眼レフがメインだったので、そんなことにも感動をおぼえます。
近景が近ければ、背景は多少ボケてくれます。
Leicaレンズだとなぜか何を撮っても絵になるような錯覚に陥ります。
露出補正簡易設定の例。設定しておけば、露出の制御はダイアルで自由自在です。遠景に合った露出も(左)、コマンドダイアルをガーっと回すだけで欲しい露出が得られます。すごく便利です。
とにかく、ファインダーで見えている通りの露出が得られるので、露出過不足の失敗はなくなります。フィルム時代のライカでもできなかったことが、今ミラーレスで簡単にできてしまいます。
こういうシーンを撮ると、レンズのこだわりが良くわかります。まるで定規で描いたようにすべての直線が直線に写っています。広角レンズとしては極めて優秀だと思います。 非球面レンズのおかげでしょうか。
自分としては、今まで眠っていたLeicaのレンズを復活できただけでも大変うれしく思っています。しかも、今のミラーレスの時代になり、今まで本家のライカカメラでも撮れなかったものも撮れるようになります。復活どころか、何倍も活かすことが可能となりました。
ピントもより正確に合わせられますし、露出もファインダーで確認しながら撮りたいターゲットにぴったりと合わせることができます。さらに、フィルム時代では不可能だった、感度の変更もできます。
今までだったらブレてしまっていたシーンも、感度を上げてシャッター速度を上げればブレずに撮ることも可能になりました。Z5、Z6、Z7でしたら、フルサイズな上、ボディ内手振れ補正もあるので、Leicaレンズを今まで以上に活かすことができるでしょう。
口径最大、フランジバック最小のZマウントには大きなポテンシャルが秘められています。まだまだスマホではできないことがたくさんあるのです。
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Nikon Z5 |
2020年7月。NikonからZ5が発表になりました。Zマウントでフルサイズなので、Leicaレンズのイメージサークルをすべて活かすことができます。自分は医療撮影と野鳥撮影が主な仕事なので、DXフォーマットで望遠マクロと超望遠レンズしか使いませんが、風景写真や広角レンズを多用される方でオールドレンズ遊びをされたい方は、Z5の方がマッチしていることでしょう。 発売前なので、見たことも触ったこともありませんが、おそらく、フォーカスのピーキング表示や露出補正簡易設定など、Z50でできたことは全てZ5でできるでしょう。フォーマットがライカに合っている分、オールドレンズの味をより一層引き出せるとことと思います。 |