Nikon Z9:野鳥撮影(鳥検出)

対応被写体種が世界最多で圧倒的に進化したと言われているNikon Z9の被写体検出を野鳥撮影のフィールドで試してみました。

設定

今までD500ではデフォルトのAFエリアをグループAFにして、AFボタンでシングルポイント、ファンクションキーでオートエリアに切り替わるようにカスタマイズしていました。通常は何も押さずにグループAFで、枝の隙間のピンポイントを狙う時はAFボタンを押してシングルポイントに、飛翔写真はそのままグループAFか空や水面が背景の時はファンクションボタンを押してオートエリアに切り替えて使っていました。一眼レフのフラグシップだと、ボタンを押している間だけそのフォーカスエリアに切りかえることができます。試行錯誤の末、こんな使い方が一番歩留まりが良かったのです。

Z9にはグループAFがありません。野鳥撮影のデフォルトを何にするかが悩ましいところです。
今回色々と試したところ、進化したZ9の被写体検出の鳥の検出がかなり優れているので、ワイドエリアAFで動物検出をオンにした設定が野鳥撮影には向いているように思いました。

HDMI出力したファインダー像のログを記録してみましたので、アップします。Nikon Z9の鳥の検出はどうなんだろう、と疑問に思われている方々の参考になれば幸いです。

動画を見ていただくと被写体の検出速度や食らいつき具合などがお分かりいただけるかと思います。なお、動画は時々フレームが飛ぶような場面がありますが、VRをノーマルモードで使用しているので連写後のVRレンズがセンターに復帰するためです。スポーツモードで使用すれば改善されますが、効きが弱くなるので、野鳥はノーマルモードで使用しています。

ワイドエリアAF(L)+被写体検出

メジロちゃんを追いかけてみました。ワイドエリアの枠内に鳥が入ると自動的に鳥を検出してフォーカスポイントが出現します。鳥が遠い時は体全体、中距離のときは顔、近距離の時は鳥の目にフォーカスポイントがリアルタイムで動くのが分かると思います。目を検出するとフォーカスポイントは小さくなり、目だけにピンポイントでフォーカスを合わせてくれます。
これは便利です。野鳥撮影ではこの設定をデフォルトにしても良いかもしれません。

ただ、ワイドエリアの枠外に出ると後ろに抜けてしまいます。できるだけ枠内にとどめるように保持すればずっと鳥を捕え続けます。

大幅に抜けて背景が遠い場合は、なかなかAFだけでは復帰してくれません。そこがちょっと難点です。MFで少しアシストして一度鳥を捕らえると再びずっと追い続けますが、いささか癖のある動きをします。このあたりは今後ファームアップなどで改善されて行くことでしょう。

ワイドエリアAF(L)+被写体検出サンプル

枠内に被写体を維持できればかなり高精度で被写体を追い続けます。わざと左右上下に振ってワイドエリアの枠から外れた時の挙動を示します。
外れると一気に背景にピントを持って行かれますが、背景の距離が比較的近く、ボケていても鳥と認識できる程度であれば枠内に戻した時に素早く復帰します。一眼レフ時代のAFのように無条件で至近距離の物体にフォーカスするのではなく、鳥を検出するので、画面内にコントラストが強い背景や前景があっても鳥を追い続けてくれるところが新感覚です。

途中DXフォーマットに切り換えていますが同様に検出できます。ある程度大きく写せている場合は鳥の目を自動的に検出してくれるので、構図の自由度が増します。
最後の方は3D-トラッキングに切り換えています。

被写体検出で鳥を検出。このくらいの大きさになると自動的に鳥の目にピンポイントでフォーカスを合わせてくれます。一眼レフではシングルポイントのフォーカス位置を構図を考えて動かしたり、シングルポイントで目にピントを合わせてロックをしてから動かしたりしていましたが、そういった面倒なことをする必要がなくなりました。
上の写真の等倍拡大。ビシッと目にフォーカスが来ています。
F5.6、1/100s、ISO 1100

オートエリアAF+被写体検出、3D-トラッキング+被写体検出

オートエリアAFも被写体検出と組み合わせて使うと素晴らしい性能を発揮します。一眼レフの時代は至近優先で、画面内の近いものに優先的にフォーカスが合う仕様でした。そのため、前景に枝や葉がある構図で鳥にピントが合わなかったので使えないモードでした。しかし、被写体を検出することによって、そんなことを気にしなくて良くなりました。手前に枝があっても、鳥がいる方向に向かってAFを作動させ、そこに鳥がいれば鳥にフォーカスを合わせてくれます。
どうもオートエリアよりも範囲が狭いワイドエリアの方が被写体認識の検出率が上がるようなので、ファンクションキーの割り当てなどでワイドエリアとオートエリアの切り換えを行うような使い方が素早く検出して自由な構図で撮るのには良いのかもしれません。

3D-トラッキングも劇的に進化しています。一眼レフの3D-トラッキングとは別物と思って良いでしょう。被写体認識されている時は特に楽で、シャッター半押しするだけで鳥を追い続けます。

画面ではどのモードになっているか分かりにくいと思いますが、上部の中央近くにインジケーターが出ています。

様々なAFエリアモードと被写体検出

被写体検出されたフォーカスポイントは被写体検出が有効なAFエリアモード間で引き継ぐことができます。例えばワイドエリアAFで鳥を検出している時に3D-トラッキングに切り換えるとフォーカスポイントはそのまま引き継がれて被写体を追い続けます。

上の例では、ワイドエリアAFで鳥を検出後、オートエリアAFに切り換えてもAFをやり直すことなく、被写体検出しているフォーカスポイントはそのまま引き継がれます。オートエリアAFでは被写体検出範囲が画面全体になるので、画面から外れない限り被写体を追い続けてくれます。

本当でした

発売前は過大広告ではないかと案じる声もありましたが、実際使ってみると被写体検出は大変優秀で、普通に仕事に使えるレベルに仕上がっていることが確認できました。建築物や風景写真以外では、おそらく人、動物、乗り物が被写体である確率が極めて高いと思いますので、被写体検出は常にオンの状態で問題ないでしょう。と言うよりも、Z9ユーザーのほとんどの人は被写体検出モードで使用すると思います。特に動きが激しい動物や野鳥などの撮影では威力を発揮することでしょう。

まだ最初のテストなのでよくわかりませんが、より難しいシチュエーションや苦手な鳥種や動物種などもあるかもしれません。折を見て徐々に報告させていただきます。

追記

被写体の認識や目の検出やAFの挙動は、ファームウェアのバージョンによって大きく変わります。現ファームウェアバージョンでは認識されなかったり、AFの挙動がおかしい場合も、次のファームアップで格段に進化することもあります。もちろん、改悪のこともありますが、概ね改善されて行くことでしょう。
各ファームウェアバージョンでの被写体認識やAFの挙動などは、今後ファームウェアの総論にまとめて行こうと思います。

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DXフォーマットで使用すると900mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで840mmF9、1200mmF13、DXで1260mmF9相当、1680mmF13相当となります。
最短撮影距離が4mなので、野鳥が近い公園などでは有利となります。

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位相フレネルレンズ採用の通称ハチロクサンと呼ばれる800mmF6.3の単焦点レンズです。
800mmの超望遠レンズとしては驚くほど小型軽量で、全長385mm、重量2385gしかありません。レンズ単体で5段分、Z9やZ8との組み合わせでは、シンクロVR機構によって5.5段のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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