Nikon Z9+NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S+Z TELECONVERTER TC-2.0xで手持ち天体撮影(木星大赤斑編-II)

前回、手持ち撮影でそこそこ大赤斑が写りましたが、少しアンダー過ぎたことと、シーイングもあまり良くなかったので木星の写真としてはあまり良くありませんでした。口径126mm、焦点距離2400mmの望遠鏡として見るともっともっとできる子のはずです。

再度大赤斑正中時刻を調べると、10月1日の22:56と出てきました。木星の高度も高く、撮影には好条件でした。

大赤斑正中時刻はまたSky & Telescopeのサイトから算出しました。

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機材

  • Nikon Z9 (Ver. 2.11)
  • NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
  • Z TELECONVERTER TC-2.0X

設定

あくまで「手持ちで木星の大赤斑が写るか」がテーマなので、三脚や赤道儀は使わず、完全手持ちです。

  • 撮影モード:マニュアル
  • ISO感度:マニュアル(200)
  • フォーカス:マニュアルフォーカス
  • 連写モード:L(10コマ/秒)
  • 手ブレ補正:ノーマル
  • フォーマット:DX

ノーマルの手ブレ補正のセンタリング対応のため、前回よりも連写速度を落として秒間10コマにしてみました。

撮影

前回同様、木星をファインダーに導入し、マニュアルフォーカスでフォーカスピーキング表示で木星の縁が赤くなった瞬間に連写しました。1セット100枚程度で数セット撮影しました。
秒間10コマなので、1セットの撮影はわずか10秒ほどです。

最初は導入だけで苦労しましたが、2回目なので、ずいぶん慣れてきて、2400mm相当手持ちでも容易にファインダーに導入できるようになりました。

シーイングはあまり良くありませんが、前回よりはマシかな、という程度です。都市部でシーイングは期待できません。

処理

セットの中の良像を数十枚抽出し、1920×1920ドットで木星を中心として切り出します。それをRegistax(Ver. 6)でスタッキング処理後、軽くWavelet変換処理をしました。
その後、Photoshopにてコントラストの調整なども若干行っています。

作例

比較的良く写った3セットを処理しました。

あまり格好よくはありませんが、大赤斑がほぼド正中の構図を狙ってみました。もう1時間くらい前後で撮った方が自然だと思いますが、「手持ちで大赤斑が写るか」がテーマなので、ド正中でも悪くないかな。

Exposure Time : 1/200
F Number : 13.0
Exposure Program : Manual
ISO : 200
78枚コンポジット
Exposure Time : 1/250
F Number : 13.0
Exposure Program : Manual
ISO : 200
92枚コンポジット
Exposure Time : 1/160
F Number : 16.0
Exposure Program : Manual
ISO : 200
33枚コンポジット

総評

望遠鏡の拡大撮影ではなく、2400mm相当と言えども直焦点撮影なので木星像は相当小さく、解像度はこのくらいが限界かもしれません。画像を実測すると、木星の赤道直径で87ピクセルほどしかありません。手持ち撮影で大気が不安定な都市部でこのくらい写れば良しとしましょう。Nikon COOLPIX P1000の画像と大して変わらない気がしますが、自分の技術もこのくらいが限界です。

ハチロクサンのテストとして始めたことですが、限界を試してみたくなってちょっと必要以上にはまってしまいました。
しかし、解像度や各種収差、手ブレ補正の性能を試すには星の撮影は最適です。星像からも、パープルフリンジなどもなく、色収差補正は極めて良好であることがわかります。位相フレネルレンズと通常の光学レンズとの組み合わせの設計がうまく行っているのでしょう。MTF曲線が示す通りの性能を発揮していると思います。

特筆すべきはZ9+ハチロクサンの手ブレ補正効果です。今までも他レンズで手ブレ補正効果の恩恵を受けてきましたが、拡大すると微ブレが認められることも多くありました。今回木星の手持ち撮影でハチロクサンの手ブレ補正は本物であると感じました。今回は公称値5.5段よりもずいぶん楽な4段前後のシャッター速度(1/200 s前後)を使用しましたが、ブレが原因で使えないコマはほとんどありませんでした。

しかも2キロ半くらいなので、手持ちで真上に向けて構えるのも楽です。100枚撮っても撮影時間は10秒ほどなので、そのくらいであればジジイでも頑張れます。

カメラの進化を改めて認識できた実験となりました。自分はどんどん退化しているのですが、カメラの進化に助けられています。

追記

このページの内容は、Z9と800mm+2倍テレコンを使って「手持ち」でどこまで撮影できるかをテストしたものです。800mmF6.3の性能評価でもなく、また、こんな方法で惑星や衛星の撮影を推奨するものでもありません。最新のカメラのVRの性能評価の例として個人的な興味本位で行った実験です。
惑星の写真を撮影するのが目的であれば、より安価な望遠鏡システムで引き伸ばし法などで撮影することをおすすめします。

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全長278mm、重量1470gで、600mmの焦点距離からは想像できないほど小型軽量です。レンズ単体で5.5段、Z9やZ8との組み合わせではシンクロVR機構によって6段分のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると900mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで840mmF9、1200mmF13、DXで1260mmF9相当、1680mmF13相当となります。
最短撮影距離が4mなので、野鳥が近い公園などでは有利となります。

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位相フレネルレンズ採用の通称ハチロクサンと呼ばれる800mmF6.3の単焦点レンズです。
800mmの超望遠レンズとしては驚くほど小型軽量で、全長385mm、重量2385gしかありません。レンズ単体で5段分、Z9やZ8との組み合わせでは、シンクロVR機構によって5.5段のVRにより、手持ち撮影が可能です。
DXフォーマットで使用すると1200mmF6.3相当となります。野鳥撮影に威力を発揮します。
1.4倍、2倍のテレコンを使用しても画質の劣化が少なく、FXで1120mmF9、1600mmF13、DXで1680mmF9相当、2400mmF13相当となります。 最短撮影距離が5mあります。野鳥が遠い公園や小型の野鳥を大きく写したいときに有利となります。
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著者
Yama

大学卒業後しばらくは建築設計に従事。その後人工知能の研究所で知的CADシステムやエキスパートシステムを開発。15年ほどプログラマをしていましたが、管理職になるのが嫌で退職。現在は某大学の非常勤講師(情報学)、動物医療系および野鳥写真家、ウェブプログラマ、出版業などをしながら細々と暮らしています。

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