ファームウェア Ver. 3.00
2022年10月26日、Z9のファームウェア Ver. 3.00がリリースされました。Ver. 2.11からVer. 3.00なので、メジャーアップデートです。大幅な機能追加やアルゴリズムの変更、バグフィックスなどが行われているはずです。2021年12月に発売されてから10ヵ月。様々な問題点や不満点などを検討してのバージョンアップなのでしょう。ハードウェア的にはまだまだかなり余裕があったということのようです。
機能追加もたくさん盛り込まれていますが、自分の仕事に関係しそうな機能のみ検証してみたいと思います。
あくまで個人的見解ですので、ご参考までに。
機材
- ボディ:Nikon Z9(Ver. 3.00)
- レンズ:NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
静止画
AF:被写体検出:動物
ファームウェア Ver. 3.00で、おそらく多くのユーザーが期待していたのがAFの進化だと思います。発売当初から被写体検出機能は優れていましたが、何かをきっかけに一度被写体をロストすると急に背景に貼りついてしまうという欠点がありました。一度貼りついてしまうと近距離の被写体に戻ってくることはなく、マニュアルで戻さないと再検出してくれないという結構致命的な欠点です。
ファームウェアの変更内容の「その他」欄に控えめに次のように書いてあります。
- オートフォーカスのピント精度を向上しました。
- オートフォーカスの低輝度性能を向上しました。(低輝度限界を 0.5EV 向上)
- [3D-トラッキング]使用時に被写体の手前を横切る障害物に対してのピント乗り移りを低減しました。
- [3D-トラッキング]使用時に[AF時の被写体検出設定]を[動物]に設定した際の性能を改善しました。
- [ワイドエリア AF(S / L / C1 / C2)]、[3D-トラッキング]、[オートエリアAF]に設定して被写体を検出しているときに、ピントが背景に張り付いてしまうことがある現象を改善しました。
ポイントは最後の「ピントが背景に張り付いてしまうことがある現象を改善」の部分です。まさにここがZ9の不満点だったので、改善が期待されます。まずはテストです。
完ぺきではありませんが、不満点は概ね解消されているようです。
連写
Z9はフラグシップらしく素晴らしい連写性能を誇りますが、ハイスピードフレームキャプチャの設定は秒間30コマのC30と秒間120コマのC120しかありませんでした。双方とも制約が多い上、30コマは通常の高速連写より少し速い程度、120コマはやり過ぎ感が高く、意外と使いにくいスペックでした。そこへ秒間60コマのC60が追加されました。DXフォーマットで使えるのでうれしい機能追加です。
しかも、C60でプレキャプチャー機能が併用できます。秒間60コマでシャッターを押す1秒前から記録できてしまいます。スポーツ写真などでは重宝すると思います。野鳥撮影などでも決定的瞬間を記録するチャンスが増えることでしょう。
動画
ハイレゾズーム
動画はそれほど多用するわけではありませんが、この機能は面白いと思いました。内容的にはデジタルズームなのですが、CCD上のクロップエリアを連続無段階に小さくすることで、画素数を落とさずに2倍までのズームが行える機能です。デジタルズームと言うとあまりイメージがよくなく、簡易的なもののように思われるかもしれませんが、あたかも光学ズームのように連続無段階でズーミングしているように見せるには、高度な補間処理が必要で、リアルタイムので処理するハードウェアと高速補間処理のアルゴリズムが必要です。これは使えそうな機能です。
ファームウェア Ver. 3.01
ファームウェア Ver. 3.00が出てからわずか2ヵ月でVer. 3.01がリリースされました。バージョン番号からすると0.01の増加なので、軽微なバグフィックスなどのマイナーバージョンアップと思いましたが、Nikon発表の更新内容を見ると、ワイドエリアAFと被写体検出の組み合わせでのAF追従性の改善などがうたわれています。野鳥撮影などではワイドエリアAFと被写体検出機能はまさにピンポイントで使っている組み合わせなので、単なるバグフィックスではなく、意外と重要なバージョンアップなのかもしれません。
ファームウェア Ver. 3.10
2023年2月28日、ファームウェアVer. 3.10がリリースされました。前回は3.00から3.01でしたが、今回は3.10なので、マイナーながら前回よりも大きなバージョンアップとのことでしょう。
かなり短いサイクルでのファームアップで、本当にUnstoppableです。
早速バージョンアップしてみました。
フル充電したバッテリーを入れて、約6分でファームアップ完了です。
詳細はNikonのウェブサイトを参照いただくとして、個人的に気になったのは、
• [AF エリアモード]を[ワイドエリア AF(S) ]、[ワイドエリア AF(L) ]、[ワイドエリア AF(C1) ]、[ワイドエリア AF(C2) ]、[ 3D- トラッキング]、[オートエリア AF ]のいずれかに設定して連続撮影を行ったときのコントラストが低い被写体に対するピント精度を向上しました。
です。「連続撮影」で、「コントラストが低い被写体に対するピント精度」が向上したと読めるので、コントラストが高い樹木の前を飛翔する地味な色の鳥などを連写した時のピント精度が上がったということでしょうか。
そのようなシチュエーションに遭遇したらテストしてみます。
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