仕事柄野鳥撮影のためのカメラセットの相談をよく受けます。
野鳥を撮るために何を買ったらいいのか。
そんな聞き方をしてくるくらいですから、野鳥撮影がはじめてと言うよりも、カメラ自体はじめての方々です。
学生にもよく聞かれますし、フィールドで野鳥撮影をしている時にバードウォッチャーの老夫婦に質問攻めにあうこともあります。大学では女子学生が多く、腕力や体力、予算などもバラバラなので、答えにはいつも困ってしまいます。
このページにたどり着いて今読んでいただいている方も、おそらく野鳥が大好きで、見るだけでは物足りなくなり、何か記録に残したいと思いはじめた方ではないでしょうか。
どんなカメラがあるか
現在、写真を撮影するための道具として一般的に使用されている機材には下記のものがあります。
- スマートフォン
- いわゆるスマホ。単体では野鳥は撮れないでしょう。スマホに望遠アダプタをつけて野鳥を撮る強者もいます。
- コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)
- 最近は少なくなりましたが、スマホにない機能を盛り込んでいるものがかろうじて生き残っています。望遠に強い機種や、レンズ先端に望遠アダプタをつけられる機種もあります。
- ネオ一眼
- ジャンル的に微妙ですが、コンデジセンサーに焦点距離が長いレンズをつけて超望遠撮影に特化したものや、高倍率ズームをつけたカメラです。レンズ交換はできません。広角から超望遠まで連続ズームできるものもありますが、設計にかなり無理があることは否めません。
- 一眼レフ
- 35mm判やAPS-Cサイズのセンサーを持ち、レンズ交換ができるカメラ。光学ファインダーを有し、撮影レンズを通して実像を見ながら撮影します。ファインダーは光路に配されたミラーによって90°に曲げた像を見るようになっているため、露光時はミラーを跳ね上げる必要があります。フィルム時代からあるので、最も完成されたシステムです。
- ミラーレス一眼
- センサーの多くは35mm判やAPS-Cサイズで、レンズ交換式のカメラ。 一眼レフのミラーをなくし、センサーに結像した像を液晶のファインダーに表示する方式。ファインダー像は一眼レフに比べると若干のタイムラグがあります。ここ数年で一眼レフを製造していたカメラメーカーはミラーレス一眼に移行しています。数年後には、ほとんどのカメラはミラーレス一眼に置き換わるでしょう。多くのメーカーはミラーレス化とともにマウントを新たに設計し直したため、それまでの一元レフ用レンズはアダプターを挟んで使うことになります。
この他にも、フィールドスコープとコンデジの組み合わせや天体望遠鏡と一眼レフで撮影する人もいますが、初心者向けではないのでここでは割愛します。
こと野鳥を撮るという目的では、この中では一眼レフ、ミラーレス一眼が最有力候補になります。画質面では少し劣りますが、目的によってはネオ一眼と呼ばれるタイプも候補にして良いかもしれません。
野鳥撮影に適したカメラは
個人的な考えとして、はじめて野鳥に興味を持った初心者にも、レンズ交換式の一眼レフかミラーレスカメラを推奨しています。
「最初はコンデジで試してみれば」と、ちょっと望遠機能が付いたコンデジや超望遠に特化したネオ一眼カメラをすすめる人も多いと思いますが、個人的にはあまりおすすめしません。
学生であろうと、野鳥撮影をはじめてみようと思い立ってこのページに来られた方も、おそらくもうすでに「野鳥をきれいに撮りたい」と思っているはずです。そうでなかったらこのページの文章をここまで読んでいないでしょう。
そして、野鳥の図鑑や写真集を見て、もしくはネットの時代ですから、様々なページの美しい野鳥の写真を見て、「私もこんな写真が撮りたい」と思っていることでしょう。
その気持ちはすごく大切で、一番尊重されるべきことです。
ハードル
きれいな野鳥写真を撮るためにはハードルが2つあります。
一つは重量、もう一つは予算です。
力持ちでいくらでも予算を使える人は話が簡単です。300万円ほどかかり、相当な腕力も必要ですが、Nikon D6やまもなく登場するであろうミラーレス一眼のフラグシップ Nikon Z9にAF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VRのレンズがおすすめです。ちょっと練習すれば素晴らしい写真が撮れるでしょう。しかし、多くの人はそんな好条件ではありません。自分が取り扱える範囲の機種を予算内で検討することになります。
特に予算は個人によって大きく異なりますので、一方的にすすめることもできず、いつも悩みの種です。大学で野鳥クラブに入会したばかりの学生さんもいますし、退職金をがっぽりもらって、これから悠々自適に趣味を満喫したい、という人もいらっしゃいます。
現在市販されていて紹介できる野鳥撮影セットはピンからキリまであります。総額で言うと、10万円前後から200万円ほどで、20倍の差があります。
ビックリですよね。今までカメラに縁がなかった人には想像を絶する世界だと思いますが、光学機器の価格はそういうものです。
しかし、200万円のセットを使うと、10万円のセットの20倍大きく写ったり、20倍きれいに写るわけではありません。多くは、比べてみるとやっぱり200万円のセット方がきれいだな、とか、暗い場所でもノイズが抑えられているな、といった違いが分かるレベルです。比べないと分からない差も多々あります。そのために20倍の金額を払うかどうか、というのが撮影セットを選ぶポイントになります。
なぜスマホやコンデジじゃダメなの
夢を壊すようで申し訳ございませんが、最初にはっきりと言っておきましょう。
スマホにどんな高倍率のクリップオン式の超望遠レンズをつけても、皆さんが今まで写真集や図鑑、カレンダーなどで見て来られたきれいな野鳥写真と同レベルのものは撮れません。
コンデジも同様に、望遠機能やデジタルズーム、望遠レンズアダプターなどを駆使しても本やネットに載っているきれいな野鳥写真と同等なものは撮れません。
カタログスペック的にはすごそうな超望遠3000mm相当とうたっているネオ一眼を買っても同様です。大きくは写るかもしれませんが、たとえばA4に引き伸ばす印刷レベルで使えるきれいな写真は撮れません。
上の写真を比べると、ぱっと見は左の方が大きく写って良いように見えますが、拡大するとフォーマットの違いが顕著になります。下の2枚は中央部の等倍拡大です。小型のCXフォーマットでは回折現象によって解像感が失われています。ただ、携帯性はCXの方が圧倒的に有利です。
スマホもコンデジもネオ一眼も、それらでうたわれる望遠効果はセンサーを小さくすることによって作り出されています。もしくは、センサーの中央部を一部切り出して使うデジタルズームによってスペック上は望遠撮影ができるような表記がされています。センサーを小さくすると画角的には望遠になるので、ウソではありませんが、きれいに撮れるかと問われると、微妙です。
一般的にセンサーが小さくなるほど回折現象の影響を受けるため、どんなに優秀なレンズを使っても物理的に像がぼやけてしまいます。多くのカメラでは像の悪化をデジタル的に補正しています。つまり作り物です。
また、小型センサーだとどうしても受光面積が小さいため、感度を上げる必要があり、高感度ノイズを除去するためにさらに無理な処理を強いられます。
そのため、小型センサーを使って望遠効果をうたっているカメラの写真は、細かい羽毛を分解できるような解像感はなく、たとえ大きく写ったとしても絵に描いたようなノペッとした写真になってしまいがちです。
フォーマット
写真には百年以上の歴史があり、フィルムの時代から最適なフォーマットサイズが研究しつくされてきました。その一つの解がライカ採用し、普及したライカ判と言われる35mm幅のフィルム上に36×24mmで記録するフォーマット(以下FX)です。また、デジタルカメラではそれを一回り小さくしたAPS-Cと呼ばれる約24×16mmで記録するフォーマット(以下DX)が普及しています。超広角レンズから超望遠レンズまで、人が手持ちで使える程よい大きさで作れ、回折現象による像の悪化も最小限にできるサイズとして世間に受け入れられ、世界的に普及したフォーマットです。その土俵で世界中のカメラメーカーは切磋琢磨し、あらゆる収差と戦って高解像度の写真が撮れるようになりました。
したがって、野鳥の撮影も35mm判か、より望遠効果が必要な場合はAPS-Cフォーマットのカメラをおすすめします。「ぼやけていても写っていればオッケー」と思っている人はいないと思いますし、そういう人はここまで読み進んでいないでしょう。皆さん野鳥を「はっきりくっきりキレイに撮りたい」はずです。
せっかく芽生えた野鳥への想いを台無しにしないよう、はじめてカメラに触れる初心者であっても、最初からDXフォーマット以上の一眼レフかミラーレスのレンズ交換式カメラをおすすめしています。
個人的にはセンサーサイズはDXフォーマットが下限だと思っています。
センサーを小さくすることによって疑似的に作り出された2000mmとか3000mmというシステムでは、使ってみるとかなりガッカリすることになると思います。スペック上はすごそうに見えますが、センサーサイズを小さくして得られる「数千ミリ」の超々望遠レンズで撮影された実際の画質はFXやDXで撮られた画像と比べるとかなり犠牲になっていることがわかります。
おすすめ
- 一眼レフ+望遠レンズ
- ミラーレス一眼+FTZ+望遠レンズ
より小型のフォーサーズシステムや1インチ(以下CX)フォーマットのミラーレス一眼もありますが、野鳥撮影においては解像度の点でやや不利になります。縮小された状態ではあまり違いはわからないかもしれませんが、トリミングしたり、画面上で等倍に拡大したりするとかなり劣化していることが分かります。
ただし、これら小さいフォーマットのカメラはレンズも小型化できるため、携帯性や重量で有利になります。体力的にあまり重いシステムは持てないとか、ブログに掲載する程度にしか使わないという場合はこれら小型システムの方が合っているかもしれません。価格もFXやDXのカメラよりも遥かに安価になります。
最終的な使用用途や携帯性、体力、重さ、金額なども加味して検討してください。
具体例
センサーサイズがDX以上のカメラボディと望遠レンズの組み合わせを推奨しますが、価格はある程度覚悟する必要があります。学生さんや、予算が限られている方には厳しいと思いますが、そのような場合は中古市場もねらい目です。最近は中古店も多くなっていますし、オークションやネットの中古市場をうまく活用すると、下記例の半額以下で目的の機材を揃えられることもあります。
個人的にはNikonを使っているのでNikonでのセットの紹介になってしまいますが、SonyやCanonも優れたカメラとレンズを製造しているので、その3社であれば問題ないでしょう。ただし、レンズに関してはNikonに非常にコストパフォーマンスが高い超望遠レンズがあるので、それがイチオシになってしまいます。そのために他社からNikonに乗り換えたという話もよく聞きます。
とにかく予算がないのでできるだけ安く、という人もいる一方、数十万円はすでに確保しているという人もいます。退職金をつぎ込むから200万まではOKという人もいるでしょう。ご存じのようにカメラとレンズはピンからキリまであるので、予算別に考えてみましょう。
10万円前後
レンズ交換式カメラなので、新品で購入する場合は最低でも10万円は覚悟しておきましょう。
数年前でしたらNikon D5600 のWズームキットをおすすめしていました。カメラボディに標準ズームと300mmまでの望遠ズームが付いたセットです。NikonのDXフォーマット(APS-C)なので、焦点距離は1.5倍換算となり、望遠端の300mmは450mm相当となります。軽く、最初に持つセットとしては大変リーズナブルだったのですが、残念ながら販売終了となってしまいました。予算がなく、良い中古があれば最初のカメラとしてはおすすめできます。
今でしたら、Nikon Z50 のダブルズームキットをおすすめします。2022年1月現在で14万前後ですが、もう少し下がる可能性もあります。望遠レンズの望遠端が250mmで、35mm判に換算しても375mm相当なので、野鳥を撮るには焦点距離が足りないと思いますが、近距離の鳥や大型の野鳥には十分使える焦点距離です。将来ステップアップするための練習台としての役割も大きいと思います。野鳥に興味を持ち、はじめて購入するカメラとしてはおすすめできるセットです。
10万円を超えてしまいますが、野鳥撮影セットとして最初に使うカメラとしておすすめできます。 望遠端が250mmなので、野鳥撮影としては物足りない焦点距離ですが、望遠レンズに馴れるためにも最初はこのくらいの方が良いでしょう。いきなり500mmクラスのレンズを使うと、最初はファインダーに鳥を入れることすら難しいと思います。 Z50はDXフォーマットなので、250mmでも35mm判換算で375mm相当になります。 これに慣れたらボディはそのままに、より焦点距離が長い超望遠レンズにステップアップすることができます。 |
サンプル画像
20万円前後
野鳥撮影には焦点距離500mmが標準レンズである、とよく言われるように、キットレンズの250mmや300mmではいささか物足りなくなってくるものです。撮影にも慣れ、体力も付いて来たらステップアップをおすすめします。
Nikonには他メーカーにはない素晴らしくコストパフォーマンスが良い望遠ズームレンズがあります。 AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR です。実勢価格は15万円前後です。ズームレンズとはいえ、メーカー純正のレンズで500mmの焦点距離が使えるレンズとしては圧倒的にコストパフォーマンスが高いレンズです。他のメーカーにはこのジャンルのレンズは存在しません。このレンズが存在するために、Nikonのボディをすすめられるほどです。DXフォーマットのカメラで使用すると、750mm相当となり、野鳥撮影には十分威力を発揮します。
鳥しか撮らないのでしたら、ズームキットではなく、例えばZ50のボディ単体とこのレンズの組み合わせで購入する方法もあります。このレンズはFマウントレンズなので、変換アダプタFTZが必要ですが、20万円強でかなり本格的な野鳥撮影システムを構築することができます。すでにD5600やZ50のボディをお持ちであれば、このレンズに交換するだけで500mmの超望遠撮影が可能になります(Z50の場合はFTZが必要です)。どちらのボディもDXなので、35mm判換算で750mm相当となるので、遠くの小鳥もかなり拡大して写すことができるようになります。野鳥撮影をしていると、この組み合わせで使っている人と多く遭遇します。500mmまで使えるレンズとしては破格で、とにかく人気の高いレンズです。
球数が多いので中古も多く出回っていて10万前後からあるようです。学生でも少し頑張れば手が届く範囲でしょう。
ズームレンズなので、単焦点と比べると画質は落ちますが、ズームの利点を活かして、アップを撮ったり、引きの構図で撮ることもできます。
ただし2300gもあるので、馴れるまでは重く感じるかもしれません。体は鍛えられます。
Nikon純正品で、ズームとはいえ500mmまでの超望遠レンズとして使え、手振れ補正機構もついているレンズとしては破格の値段です。 収差を抑えるEDレンズが使用され、画質も満足できる画質です。 このようなコストパフォーマンスが高いレンズは他社にはなく、このレンズを使うためにニコンユーザーになっているバーダーたちも多いようです。 |
Nikon Z 50 ボディ |
FTZ |
サンプル画像
50万円前後
Nikonにはもう一つ他のメーカーにはない、鳥撮り用として素晴らしいレンズがあります。 AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR です。位相フレネルレンズを使用した、500mmのレンズとは思えないほど軽量コンパクトなレンズです。500mmF5.6の性能で、1460gしかありません。このレンズを一度持つと今までのレンズには戻れないほど軽量です。
単焦点なので開放から解像度が高く、野鳥撮影には最適なレンズです。DXフォーマットでは750mm相当となります。 AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR の望遠端と同じ焦点距離で同じ明るさですが、ズームレンズは少し絞らないと解像度が出ないのに対し、 AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR は開放F5.6から十分使える解像度なので、ワンランク上の写真が撮れます。
ミラーレスとの相性も良いので、予算が許す方々にはおすすめのレンズです。
一時期は人気があり過ぎて、納期が半年とか1年と言われていた絶大な人気を誇る500mm超望遠レンズです。とにかく500mmのレンズとしては小型軽量で、フィールドを歩き回って野鳥を撮影するスタイルの人には最適なレンズです。一度このレンズを持つと他のレンズを持つのが嫌になるほど軽量でコンパクトです。 逆光に弱いという弱点がありますが、概ね問題はないでしょう。ミラーレスとの相性も良く、手振れ補正も良く効きます。 価格がネックとなりますが、500mmF4E FLの半額以下です。 |
Nikon Z 50 ボディ |
FTZ |
サンプル画像
100万円以上出せる人
仕事以外ではあまり使われないと思いますが、500mm単焦点の最高傑作として AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR があります。発売後6年以上経ちますが、未だに最低価格でも100万円以上しています。
しかし、これ以上ないほど解像度が高く、F4であるためテレコンバーターも使えます。DXフォーマットで、1.4倍のテレコンバーターを使うと1050mm F5.6相当の明るい超望遠レンズになります。元の解像度が高いので、1.4倍のテレコンバーターを使用しても仕事で使えるレベルを維持できます。
このレンズの購入を検討しているような人はハイアマチュア以上の人でしょうから、アドバイスは必要ないでしょう。問題は価格だけだと思います。
性能面で買って後悔することはないでしょう。一番大きい前玉に軽いフローライト素材を使っているので500mm F4としては驚くほど軽量ですし、開放から完璧な解像度や高コントラスト、色収差のなさ、AFの速度、手ブレ補正など、すべて第一級の品質です。
サンプル画像
予算がクリアできるのであれば500mmのレンズでは最高の選択肢となります。明るさ、解像度、AF速度、色消し、コントラスト、手振れ補正など、レンズとしてのあらゆる性能がぴか一です。おそらくどこにも不満がでない、究極のレンズだと思います。 野鳥撮影用として500mmは標準レンズと言われていますが、これ以上焦点距離が長い600mmや800mmは手持ちで振り回すのは困難で、個人的には体力的にこの500mmが限界と思っています。 500mmF4でも、DXフォーマットで、1.4倍のテレコンを使うと35mm判換算で1050mmF5.6相当となり、野鳥撮影システムとしてはかなりの望遠となります。 |
もっと体力も財力もある方は
さらなる望遠が必要な場合は、600mm F4E FL、800mm F5.6E FLもありますが、500mm F4E FLよりもさらに1~1.5kgも重くなり、機動性が悪くなります。ショールームで全部持ってみて、個人的には500mm F4E FLが手持ちで振り回す限界サイズでした。体力とお金があり余っている人でしたら600mm以上の超望遠レンズもおすすめしますが、筋トレも必要ですし、レンズ代金を回収するのはなかなか大変です。
500mm F4E FL |
600mm F4E FL |
800mm F5.6E FL |
まとめ
以上のように、レンズだけで比較しても、数万円で買える300mmのレンズから、100万円を超える500mmのレンズまであります。光学製品は残念ながら性能と価格は指数関数的に比例してしまいます。皆さんがどこまで要求するか、また、総重量、予算などに応じてステップアップを考えてください。そのためにも、レンズ交換式のカメラをおすすめするのです。数万円のボディに数万円の望遠レンズを使っても良いし、百万円オーバーのレンズを使うこともできます。AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VRをD5600ボディで使っている人もいます。もちろん、素晴らしい映像が撮れます。
現在でしたら、ミラーレスの望遠レンズがついたセットを使ってみて、より望遠が必要と感じた段階で、FTZを介してAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRにステップアップするか、もしもう少し予算があるようでしたら、AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRにステップアップすることをおすすめします。おそらくこれで野鳥撮影においては満足できる組み合わせになると思います。
初心者はボディの性能を気にする人が多いようですが、写真の良し悪しを決定するのは、レンズです。ボディはFXやDXのフォーマットである程度の水準を満たしていれば十分に使えます。限られた予算を配分するとしたら、レンズに多く配分すべきでしょう。必要に応じてレンズもステップアップできます。
予算的に厳しい場合は中古店を利用するのも良いでしょう。運が良ければレンズを下取りしてもらい、リーズナブルな予算でステップアップできることがあります。
ご自身の体力と技術、予算に合ったセットと巡り会えることを祈っております。
追記
2021年末にいよいよNikonのミラーレスフラグシップZ9が発売になりました。現在自分の仕事現場やフィールドでテスト中ですが、野鳥撮影においても理想的なパフォーマンスを発揮しています。世界的な半導体不足やコロナの影響で供給が追い付いていない状況ですが、野鳥撮影におすすめできるボディです。
カメラが鳥を認識し、目を検出してピンポイントで目にフォーカスを合わせてくれる画期的な被写体検出機能が搭載されています。
Fマウントレンズ資産もFTZ IIを介して問題なく使用できます。
追記(2022年4月22日)
Nikonから画期的なレンズが発売されました。
NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S です。F6.3ですが、位相フレネルレンズ仕様で、800mmとしては既存の800mm F5.6の重さ半分、価格は1/3です。5段のVRで、800mmの超望遠レンズながら手持ちで使えます。野鳥撮影目的で予算が許せばこのレンズがイチオシになります。
ハイアマチュアや仕事で使う人にはNikon Z9+ NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S の組み合わせが最強の野鳥撮影マシンかもしれません。もしくは、Nikon Z50+ NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S が最軽量野鳥撮影マシンではないでしょうか。どちらでも35mm版換算1200mm F6.3の超超望遠レンズを手持ちで使えるところが今までにない画期的な仕様です。おそらく今までの超望遠レンズの概念を良い意味で覆されます。